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モルディブ旅行その3:リゾート島の選び方

 ということで、やや間が空きましたが、今回はモルディブ旅行のほぼすべてを決定づけるリゾート島選びの話になります。長いですW


 モルディブのリゾート島への旅行をする場合、基本的には一つの島に(トランジットを除く)全日滞在し、その島全体を占める一つのホテルにて食事やイベントなど滞在に関わる全てをこなすので、当然、どの島/ホテルに泊まるかが旅行の肝となります。
 そういう意味ではモルディブ旅行をするにあたってガイドブック的なものや交通機関の調査などはあまり必要ないので、怠惰な人、きちんとした調べものをした上で、正確な行動を取るのが苦手な人には向いた旅行先ですね(笑) 

 現在モルディブでは約170島(以前のノートで140島と書きましたが、予想外に増えていました。ここ10年くらい、開発に力を入れているのは確かなのですが、ここ数年でさらに激しくなっているようです)がリゾートホテルとして開発されていて、うち、日本の代理店で取り扱いがある島だけでも100は優に超えるので、そこからどう選ぶかが問題になります。 

 まあ、とはいってもモルディブの場合どの島に行っても海はきれいですし、そのリゾートだけで一島を占有している関係でビーチは管理されていて人も少ないので、他のリゾート地と比べても海リゾートとしての必要ラインをかなり高い水準でクリアしています。なので、本当に海しかない、けれどその海は類を見ないくらいに素晴らしい、という旅行先としての特性を理解していけば、そこまでシビアに選ばずとも満足できる可能性は高いとは思います。 

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(こういう景色なら大体の島で普通にあります) 

実際、Tripadvisor(https://www.tripadvisor.jp/Tourism-g293953-Maldives-Vacations.html)なり各予約サイトなどでの口コミ点数(それがどの程度あてになるものなのかはさておき)を見ると、ほとんどのリゾート島が4.5/5あるいは8.5/10以上のアベレージを得ていますし、特に初めての滞在なら、とりあえず人気のあるところから雑に選んでも高い満足度が得られやすい旅行先ではあるように思います。


どういう滞在にしたいかを明確にする

とはいっても自分がどういう望みをもって行くのかをはっきりと認識した上で行先を選ぶことが旅の満足度を大きく左右するのは当然の話です。

海しかない離島ですごすモルディブでのリゾート島選びにおいてですが、やはり海しかないなりにどういう滞在をしたいかが軸になります。

ということで考えられるのは、

1)基本的には海は眺めるだけでよく、部屋、ビーチ、バー、レストランでだらだら過ごすのが主。まさに何もしないをしに行く。

なのか、

2)せっかく部屋即海、ビーチや部屋から数メートルから数十メートル泳げば珊瑚礁が広がり、無数の色鮮やかな魚が泳ぐ巨大水族館状態で泳げるという、世界でもほとんど類をみないモルディブの環境を生かして水中世界での時間を重要と見る。

のどちらかになると思います。 

* あ、ダイビングが目的でモルディブ旅行をするという方は一定数以上いて、この場合、島/ホテルからアクセスできるダイブサイトと入っているダイビング・サーヴィスの質/評判が最重要要素の一つになってくるのですが、わたしはダイビングはやらないので、この観点からの選び方については皆目分からず、参考になることが書けません。すまぬ。 

で、後者のような滞在をする上で決定的に重要なのが、ハウスリーフの有無と質になります。 

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(ドロップオフを望む。これはエルニーニョ以前なので、立派なテーブル珊瑚が元気でした) 

ハウスリーフとは? 

ハウスリーフという聞きなれない単語はなにかというと、それぞれのリゾート島に付属する珊瑚礁のことです。

海には魚がいるといっても、一様に分布しているわけではなく、その多くは珊瑚礁を住処としています。特にカラフルな熱帯魚風の魚はほぼ珊瑚礁にいると考えてください。というわけで、リゾート島がアクセスしやすい珊瑚礁をもつかどうかはシュノーケリングがどれだけ楽しめるかに直結します。要は水族館で見るようなごつごつした珊瑚の合間をカラフルな熱帯魚が舞うような水槽が数百メートルから場合によっては1キロ以上も続く場所と認識してもらえれば想像ができるかと。

 このハウスリーフの存在、そしてそのハウスリーフが崖のように落ち込んで外洋との境目になっているドロップオフ(ここには珊瑚礁の外に生息するより大型の魚が寄ってきます)がリゾート島/部屋からいつでも直で行けるのはほかの海リゾート地ではなかなか味わえないモルディブ独自の強味ですね。なので、個人的にはモルディブのリゾートを決めるにあたってアクセスしやすく充実したハウスリーフの存在は必須と考えています。


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(これら、および下に貼ってある水中写真はどれも部屋からすぐのビーチ、あるいは部屋からダイレクトで海に入ってから数十~数百メートルくらいの範囲でとったものです)。 

 これまでシュノーケリングには縁がなかったので想像がつかない、という方も多いかとは思いますが、わたしも初めてモルディブに行くまではほぼしたことがないも同然でしたが、いざやってみるとめちゃくちゃ楽しくて、天候が乱れない限りは午前午後それぞれ数時間づつ泳ぎに出るくらいにはまってしまいましたので、全く泳げない、生きた魚を見るのは興味がない、それなり以上に恵まれた海でシュノーケリングはしたことがあるけれど興味をそそられなかった、という方以外はまずはハウスリーフに定評がある島を選んだ方がいいのでは、と思います。 

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 なお、以前はハウスリーフの質において、どれだけ立派な珊瑚が生きているかも大きな基準だったのですが、残念なことに2016年~17年にかけてのエル・ニーニョ現象に伴う海温上昇によりモルディブ全域の珊瑚礁は大打撃を受けて、大型のテーブル珊瑚の類は一旦ほぼ死滅してしまっています(このエル・ニーニョにより沖縄やグレート・バリア・リーフの珊瑚もまた大打撃を受けました)一部回復の兆しは見えてはいますが、大きなテーブル珊瑚などは育つのに10年単位は余裕でかかるので、かつての姿を取り戻せるにしても、まだまだかなりの年月がかかることは間違いないです。 

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というわけで、シュノーケリングなどの海中を楽しむ上で部屋、あるいはビーチからアクセスのいいハウスリーフの存在とドロップオフの近さは必須なのですが、珊瑚が発達している海はごつごつした黒いものが水面下に見え隠れするし、ドロップオフの先は外海のように濃い群青色の海が広がるので、いわゆる南国の海らしい淡いソーダブルーのラグーンが広がる景色とは相反してしまうということはあります。
 逆にいうと映えるきれいな海というのは魚が少なく、泳いでも面白くはない海ということになります。もっとも、ハウスリーフが発達している島でも回り全ての至近距離にハウスリーフが広がる島はそんなになく、珊瑚礁エリアとある程度広いラグーンが広がるエリアの両方がある場合が多いので、そんなに心配する必要があることではないですが。 

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(こういうラグーンは泳いでも面白くはない。まあ、ここは浅すぎて最初から泳げないですが)

自然はリゾート島のグレードと相関しない。

 面白いのは、リゾート島のグレード/価格帯とビーチと海中の質に関しては全く相関性がないということです。
 最安クラスのリゾートで知られるビヤドウエンブドゥなどがハウスリーフの良さに定評があったり、逆に最高級クラスにあたるソネバジャニ(ナチュラル・ラグジュアリーの元祖的なソネバグループの最新リゾート、部屋ごとに海に滑り込めるスライダーがついていたり、ヴィラの天井が開閉式であったりと豊富なギミックでも有名)やシュヴァル・ブラン(LVMHグループが経営)、以前はやはりソネバグループの傘下にあった新婚旅行客に人気が高い、ギリ・ランカンフシなどはハウスリーフがなかったり、あっても貧弱との定評がありますし、ベッカム夫妻などセレブに多く使われるとのうわさの高級リゾート、オン・アンド・オンリー・リーティ・ラにいたってはハウスリーフがない上に、島全体が効率よくヴィラを配置できるように海を埋め立てて、人工的に拡張していたりもするので、海とビーチを楽しむというモルディブらしさとはかなりかけ離れた環境になっていたりも。
 こういうリゾート島での滞在は、上の1)で書いたように、海中世界を楽しむというよりは、豪華な部屋や施設から外に広がるきれいなラグーンを眺めてリラックスした滞在に主眼があり、また海中散歩が必要とあればボートでもなんでもチャーターして出かければいい、ということなのだと思います。また、モルディブ基準では貧弱なハウスリーフであっても、バリ、グアム、サムイやプーケットなどのビーチからのシュノーケリングに比べれば優れているとはいわれますし。 

海以外の重要ポイント、島の傾向、部屋、食事。

 さて、海中に関してはハウスリーフの有無と質が決定的として、もう一つ重要なのは海から上がった時にどう過ごすかですね。これはまずリゾート島自体がカップル/ファミリーなど、どういう客層を対象にしているのか(島によっては何歳以下の客は受け入れない、という年齢制限があったりしますし、逆に家族向けの大型の部屋やキッズクラブを用意して、積極的にファミリー層を受け入れている島もあります)、団体の受け入れはあるのか、リゾート外からの立ち入り客も受け入れているのか、滞在客の国籍が極端に偏ることはあるのか、などを考慮した上で、部屋のカテゴリー(水上コテージにするか、島の陸地にある部屋にするか)広さ、設備(プールの有無、バスタブの有無など)、あたりを選んでいきます。 

まず大事なのは島の傾向。

ハウスリーフの有無と並んで一番大事なのは島全体の雰囲気と思います。基本、大人のカップル向けなのか、あるいは家族連れを積極的に受け入れるのか、静かで落ち着いた雰囲気がいいのか、ある程度は社交的な交流も欲しいのか、公共プール、テニスコート、ゴルフ場(!)などの設備も欲しいのか、レストランの数は一つでいいのか、あるいは変化をつけるために複数以上は欲しいのか。当たり前の話ですが、そうした公共の施設を充実させるためには島全体がより大き目(といってもモルディブだと一周徒歩40分~一時間くらいのサイズ感であることがほとんどですが)となるので、よくも悪くも絶海の孤島感は薄れますし、移動に際しても自転車なりカートなりに頼る必要性が高くなります。一周徒歩10-15分程度の小さ目の島であればすべての移動が徒歩でも可能なので、基本的にストレスがないのに対し、一周30分以上、あるいは水上コテージの桟橋が数百メートルから1キロ近くの長さがあるなどする場合、カートでの移動も考慮する必要が出てきますが、込み合っている時期など、このカートが中々スムーズに捕まらないという話はわりとよく聞きますので。

** また、島の規模に対して適切な人数に押さえているかも重要だったりします。例えばタイのセンターラ系列の2島、センターラ・グランドセンターラ・ラス・フシなどのように、島のサイズに対して部屋数が多すぎるようなリゾートは個人的には避けたくなります。 **


 もう一つ気にしておく必要があるのは島の周りの環境ですね。絶海の孤島感を味わうには近くにほかの島がない方が好ましいのですが、首都マーレおよび国際空港からアクセスがいい島だと、夜にその光が目に入ったり、また船の交通量が多かったりするので興をそがれる、という声もあったりはします。また、タージ・エキゾティカのようにマーレ国際空港への航空機進入路の直下にあるために、国際便がしょっちゅう直上を通過するとか、先ほどもふれたセンターラ・ラス・フシのようにゴミを集め燃やす島の近くにあるために、夜間はそれを燃やす炎が見えたり、さらには風向と強さの具合によっては異臭を感じることもあるとの口コミが複数見られるようなロケーションにある島は内実は知らないまでもやはり避けてしまいます。

具体的な探し方、国内ガイドブック、代表的な国内代理店

こうしてハウスリーフの有無と、自分にとって望ましい方向性の島で絞り、予算でフィルターにかけると、最初100以上あったリゾート島からかなり絞れてくると思います。

 ではハウスリーフの有無、島回りの環境、島の大きさと部屋数の関係を見るにはどうするか、ですが、一つには空中撮影ですね。空中からの全景を見ると、島の周りの海が淡い青のラグーンなのか、珊瑚が多く黒っぽいハウスリーフがあるのか、また部屋やビーチとハウスリーフやドロップオフとの位置関係などが見えてきます。空撮写真にを探すにはgoogle mapで探す、booking.com、agodaその他の旅行サイトに挙がっているのを見る、公式サイトを見る、とにかくググる、など色々な方法がありますが、

http://maldivescomplete.com/maldivesv/main.aspx

にある

http://maldivescomplete.com/maldivesv/finder/search.aspx

などを見るとまとまってあって便利ですね。あとは上の方でリンクを貼っているTripadvisorで写真を漁ると大体はみつかるように思います。  

 モルディブに関する日本語ガイドブックとしては「地球の歩き方」、「るるぶモルディブ」、「楽園モルディブ」があるので、それらを利用するというのもまあありですね。基本的にはどれもが写真を多用したリゾートホテルの紹介がメイン・コンテンツとなっていて、正直内容は薄いというか、検索を駆使した方が余程多くの情報が取れるようには思いますが、それでも紙(もしくは電子本)でまとまった一覧性の高さは便利ではあるので、書店で立ち読みして気に入ったら一冊買ってみるのはいいかもしれません。
 ただし、書店で一番見かける「るるぶモルディブ」はほとんど現地取材なしで、ホテルから提供された宣伝写真に頼っているのでは、という内容のなさ(あと写真も過剰にレタッチされた感じのが多くて、見栄えもいまいちだったりする)なので、これはマジでおすすめ出来ない感じですね。「地球の歩き方」は比較的多角的な紹介をしようという努力は見えるのですが、現在店頭でみかけるのは17-18年度版なので情報面で遅れている可能性大、まずはアップデート版待ちがいいように思います。
*追記。今夏最新版に更新されました。書店とかでも見かけやすいので、とりあえず立ち読みでどんなもんかとめくってみるのもいいかも。

となると、残るは「楽園モルディブ」(https://www.amazon.co.jp/dp/B07TPYY566/) 一択になってしまうのですが、こちらは大体70リゾートぐらいを写真入りと文章で紹介していて、ある程度は独自取材/撮影もしていそうです。写真を眺めて気分を上げるのにもいいと思いますので、まあ毎年はいらないですが、一度は買ってみるのもいいのではないかと。

 もう一つ参考にしやすいのがモルディブ専門の代理店のサイトですね。もちろん、商売でやっていることなので、サイト上は長所にフォーカスして書いているわけですが、それぞれの代理店でどこのリゾートの取り扱いがあり、どういう紹介がされているかは見ておく価値があると思います。

代表的な代理店を挙げておきますと、

STW

https://stworld.jp/earth_info/MV/

専門的な代理店としては最大手。約50くらいのリゾートの取り扱いあり。サイト上でリゾート、日程、航空会社で細かくツアー料金を参照できるのは非常に便利。代理店の中でも安めのツアー設定が多いので、次に紹介するWTPのサイトと並べて参照すると大体の相場観が養えると思います。

何度か使っていますが、メールでのやりとりは事務的。担当によっては時々小さな抜けがあったりは。複数支店があり、来店も可。支店によっては必ずしも詳しい担当がいるわけではないのは大手代理店に近いかも。

ワールド・エクスプローラ(WTP)

https://www.maldives.cx/index.php

専門的な代理店としてはSTWに次ぐ規模。約100くらいのリゾートの取り扱いあって国内代理店では最も取り扱い数が多いです。ただし、サイトにリストされていても現在は取り扱いがなさそうなリゾートもあり。STW同様、サイト上でリゾート、日程、航空会社で細かくツアー料金を参照できるのは非常に便利。やはり代理店の中でも安めのツアー設定が多いので、STWと並べて参照すると大体の相場観が養えると思います。こちらも何度か使っていますが、やはりメールでのやりとりは事務的。直接来店相談も可能とは思いますが、やったことはありません。

グルーヴィー

https://www.groovymaldives.jp/

日本におけるモルディブ・ツアーの最古参。約50くらいのリゾートの取り扱いあり。サイト上ではツアー価格の記載はないので要問合せ。私自身は利用も相談もしたことがないのでツアー価格~サービスのどちらもコメントできないのですが、きめ細かい相談で高評価を与えているブログなどはいくつか見ています。サイト上に条件を絞って相談できる問診フォームがあるので、問い合わせはしやすいように思います。

ブリュクシー・トラベル

https://www.bluexseatravel.com/

去年倒産したリゾート&サファリのモルディブ担当者が独立して作った比較的新しい代理店。約60リゾートくらいの扱い。どちらかというと高級~ハネムーン向きに強そうなラインアップ。リゾート&サファリを含め使ったことはありませんが、リゾート&サファリ時代に見積もりをお願いしたことはあり、その際の応対は好印象でした(その見積もりはSTW、WTPと近い線にありつつやや及ばずの価格だったので依頼せず)。かなり小規模な代理店で、リゾート&サファリ時代から代表の方自身がたびたび現地視察を重ねてブログで紹介していたり、モルディブ好きが伝わる感じで、代理店としての機械的な紹介以上に突っ込んだ相談をしやすいと常連さんが多くついていたと記憶しています。

 もちろんこれら以外にもモルディブ~南の島を専門とする代理店はいくつもありますので、上記ガイドブックの広告などを参考にして探していただければいいように思います。また、これも私自身は使ったことがないのですが、複数の旅行代理店に一括見積りが出来るサイト、タウンライフ旅探しでもモルディブの見積もりができます。

https://www.town-life.jp/travel/

といってもいわゆる専門業者からは書いているWTP、冒険の島など一部しか参加していないようなので、こちらはこちらで参考にしつつ、上記WTPやSTWのサイト上のプランや料金と見比べていくのがいいように思います。

後は英国やドイツなどの海外代理店にリゾート島の手配を頼み、航空券は自分で手配するというやり方もありますね。これは日本の代理店では取り扱いがないリゾートへのアプローチが可能になるという利点はありますが、まあマニアックなやりかたになりますし、私自身も検討したことはあれどコンタクトするまでにはいたっていないので、深くは触れません。

部屋選び、水上コテージか陸上コテージか?

 さて、リゾート島を絞ったところで、部屋をどうするかですが、まず、大きなところでは水上コテージにするか、陸上にある部屋にするかがあります。モルディブといえば水上コテージのイメージが強いですが、目の前にビーチがあり、その先すぐに広がる海というのも捨てがたいので、ここはもう好みですね。もしくは移動の面倒さをふまえても陸上、水上二種類の部屋に滞在を分けるという手もありますし。 
 ごく少数ですが、そもそもが陸上コテージしかない(アンサナ・イフル、リヒヴェリなど)あるいは逆にココア・アイランド・バイ・コモなどのように水上コテージしかない島がありますので、どうしてもどちらかのカテゴリーに泊まりたいという場合にはそれがない島は自動的に選択外になるわけです。

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 また、陸上コテージの場合、ビーチフロントであるか、内陸にあって直接海が見えないタイプであるかの二つに分かれまして、後者の方が値段は安くなるのですが、これに関していえばせっかくの海リゾート、せっかくのモルディブなので海が見える部屋にはしたいと思いますが。

 モルディブ、特に日本人客の間では水上コテージの人気の方が高いのですが、一応、大まかに見た水上コテージと陸上コテージの違いを比較してみます。 

陸上コテージ

長所
1) ビーチフロントのタイプであれば、海だけでなくビーチも好きな時に楽しめる。
2)レストラン、フロント、ダイビングセンターなど島内設備に近くて利便性がいい部屋がある(同じ島内でも単純に遠い場合はあります)
3) 悪天候時でも波の音に悩まされにくい、大地に立てられているので波による振動もない。 

短所
1) ビーチフロントのタイプの場合、前のビーチを人が通過しやすい。
2) プライヴァシー確保のため周りに植物を多く植えてあるのと、開口部が少ないので、昼でも室内は暗めになりやすい。
3)南の島なので虫が侵入しやすい。また近くとトカゲやヤモリは普通にいることが多い(個人的にはトカゲもヤモリもかわいいので長所にカウントしてもいいのですが、苦手な方もいるので)。
4) レストランなどの共有部と近いと夜など音が気になったりすることも。
5) 島によっては水上コテージに景色をふさがれたり、近くのローカル島に面する部屋があったりも。 

水上コテージ
長所
1) 海直結。いつでも好きな時に海に入れる
2) 海に面しているので開口部を広く取れて明るい
3) 虫が少ない。特に蚊はほとんど出ない(桟橋で陸とつながっている関係でか、Gは出ることもあります。陸上のコテージでも水上コテージでもそんなに頻繁には見ないですが)。
4) プライヴァシーは確保しやすい。ただし前の海を人が泳いで通過することはある。またリゾートによっては他の部屋や陸上などから一部見えたりする構造になっていることはある。
5) 視界が広くて光源が少ないので、晴れた夜の星空は圧巻。満点の星とはこのことかと納得します。   

短所
1) 規模や桟橋の長さ、位置にもよるが、レストランなどの共有部からの距離があるので行き来が面倒になるときも。
2) 部屋の位置、季節の海流や天候によって波の音がうるさい場合もある。また海が荒れると部屋の揺れを感じたりすることもある(個人的にはそんなにきになるほどの事例はなかったですが)。
3) 価格的に陸上コテージより高い設定になっているリゾートが多い(これは一概にはいえないですが)
4) 当然ながら隣接したビーチはない。
5) 建設の都合上水上コテージは砂地で珊瑚などはないところであるケースが少なくない。こういう場合は部屋から海にダイレクトに入れてもシュノーケル向けのポイントからは遠く、結局はわざわざ島に上陸してビーチから行く必要がある場合も(これは島によります。ほんとうに珊瑚礁ぎりぎりに部屋がある場合もあるので、一般論ではなく、それぞれのリゾート/部屋の配列の問題ですね)。 

 ということでそれぞれ長短並べましたが、個人的にはやはり水上コテージの方が好きですね。ふと外を見た時に、遮るものがない海が広がって、気が向いたらいつでも即座にドボンといける開放感はなかなか他では出来ない体験ではありますし。 

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(水上コテージのテラスから海を望む。すぐ近くの水面下が黒くなっているのはそこに珊瑚があるからで、海の色が濃い紺色に変わるあたりで一気に落ち込むドロップオフになっている)

 また、リゾートのグレードにより部屋の広さ、豪華さ、部屋にプールが付くかどうかが違ってきます。ことに近年多くの国際ブランド系列のホテルがモルディブに新規リゾートを開く中、部屋の大型化、豪華化が進み、2000年代前半だと部屋の大きさは50〜100m2、部屋にプールがつくのはかなり珍しかったのに対して、ここ5年以内に出来たホテルだと100m2以上、プール付きが標準に近くなってきた感じがあります。
 わたしの場合、滞在中海に出ている時間が長く、部屋は夜寝るか、泳いでいる合間の休息に利用するくらいなので、個人的にそれほど重視しないポイントだったりしますが、逆に、そこまで海に入ることを重視せず、部屋でゆっくりしつつ海は眺めること旅行がしたいという指向であれば、ここも重要なポイントになると思います。
 モルディブの客室の豪華化、一般に泳ぎが苦手で海に出ることよりも部屋に滞在し、SNS映えを重視する中国人客の激増と時期が一致しているところに関連性があるのでは、と思っています。
 ただし、こういう豪華な部屋の設備を売りにしている国際ブランド傘下のリゾートの部屋、従来からモルディブに根差してきたホテルの部屋に比べて豪華ではあるけれど、海からシャワー・ルームへの動線や、水上コテージから海に入る階段が耐久性とメンテ性を重視してかシュノーケリングのために足にフィンを付けた状態での昇降を全く考慮していないような金属製の梯子状のものになっていて、形はあれども実際の使い勝手に難を感じさせる傾向はあるように思います。
 そういう意味では250m2、テラスにプール付きのアウトリガー・コノッタの部屋よりも、75m2のココア・アイランド・バイ・コモや50m2程度のミリヒの部屋の方が使い勝手がよく落ち着けたという実感ですね。もっとも部屋の広さや数による居心地は同行者との関係や心理的距離にも関わるところが大きいでしょうから、ここも個別にどこを重視するかは異なることではありますが。
 いかんせんサンプル数が少ないので自信を持っては言えないのですが、同じ価格帯のリゾート同士で比較した場合、新しめで部屋が豪華な国際ブランドのホテルの方が食事メニュー的にもいかにもホテルの食事という感じで弱くなる気はします。あと、またこうした国際ブランドのホテルは団体を含めた中国人*を多く受け入れがちなのも個人的にはマイナス印象になりますね。
*モルディブのリゾートにおける中国人客の多寡はポリコレ的にセンシティヴな問題をはらみつつ、リゾートの居心地にかなり大きな影響を与えることななで、リゾート選びにおいて避けては通れない問題ではあります。現在のモルディブにおいて中国人は圧倒的最大マーケットではありますが、とにかく数多く受け入れるべく、食事メニューなども中国人向けにアジャストしようという姿勢のリゾートから、一定国に客層が固定されるのを避けるためにそれぞれのエリアの販売数を調整しているリゾートもあります。
また大規模団体客の受け入れがあるか否かでもまた島の雰囲気は大きく変わってしまいますが、そうした情報はやはり専門代理店の方が持っているので、それらも考慮に入れて行先が選びやすいというのも代理店を利用したツアーの利点になると思います。

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(広くて豪華だけれども微妙なところで使い勝手に難があったアウトリガー・コノッタの部屋) 

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(海に降りる階段がこのように梯子タイプだとフィンを履いて昇降がしにくくて落ちそうになる上、途中で腰かけての着脱もできないので非常に不便) 

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(水上コテージから海に降りる階段としてはこういうなだらかで途中で腰掛けられるタイプの方がそこでフィンの着脱ができて圧倒的に使いやすい)


**食事条件、日本語スタッフと必要な語学力について **

 もう一つ重要なのは一つの島の中で滞在が完結する以上、食事ですね。これは個々の好みと経験値に大きな違いがある以上、中々口コミなどでは読み取れないところではありますが。魚以外の食資源のほとんどを輸入に頼るモルディブなので、中級以下(大まかに雨季6泊朝夕食付きで30万を切る金額でツアーが設定されているくらい?)になると、まあ食べられるけれど、食事が楽しみという感じではなくなることが多いようです。
 これは雨季で6泊40万くらいのツアー設定がされているクラスのリゾートになると大分緩和されるのですが、それでもシェフの腕や味付けの方向性はそれぞれなので、中々判断を付けにくいところではあります。過去の口コミなどで食事の評判はよくともシェフは頻繁に変わりますし。
 まあ、上記に記したように食材の多くを輸入品に頼らざるを得なく、また離島への輸送経費もかかる関係で、基本的にモルディブでの食事は価格に対しての満足度は下がる傾向はありますね。とはいえ、ココア・アイランド・バイ・コモのようにかなり凝った地中海/アジア・フュージョン料理を提供して、価格さえ気にしなければ東京でもかなりいいレベルに行けそうな食事を提供している宿もありますので本当にケースバイケースになりますが。
 後、体感でいうと、どこのリゾートもカレーは美味しかったです。逆にいうとあまりにも食事がいまいちなリゾートだと滞在3日目にはカレーしか食べるものがなくなったりします。アンガガ、お前のことだぞ。 

 もう一つ、食事関係で話題に上がりがちなのが、ツアーにどの食事が付属するかですね。 

主だった食事条件としては
B&B **(=Bed & Breakfast。朝食のみ含む)
**ハーフ・ボード 
(朝夕食こみ。夕食時のドリンクは別)
フル・ボード **(朝昼夕食こみ、昼と夕のドリンク別。このパターンは少ないです)
**オール・インクルーシヴ
(食事及びドリンク込み。ただし一般に使用可能なレストランや適用されるフード及びドリンクに制限があり、それ以外のメニューにはプラス料金がかかることが多いです。とはいえ、これはリゾート及びプランで大幅に変わるので、個別に要確認です) 

 個人的にはモルディブの食事条件、量的に欧州人を基準としているせいか、一般的な日本人が飲み食いする量だと概して割高に設定されているので、あえてオール・インクルーシヴを追加する必要はなく、個別にB&Bかハーフボードで行って、ドリンクとお昼は(B&Bなら夕飯も)現地清算する方が大体は合理的だと思いますが、これはわが家の場合、昼間は泳ぎっぱなしでお酒は入れない滞在スタイルだからというのはあるので、あまり泳がない、昼からビーチ・バーや部屋でゆっくり飲みながら半酔っ払過ごす旅行がしたい場合オール・インクルーシヴの方がお得になる可能性はありえますし、また、たとえ割高であろうと、現地での追加費用を気にせずに飲み食いできる/語学が苦手な場合コミュニケーション・コストが下がる、という利点がオール・インクルーシヴにはあるので、そういう意味で選択するという考え方もありですね。
 近年では基本設定がオール・インクルーシヴのリゾート島もかなり増えてきているので、そういう島に行く場合は必然的にそれしかないわけですが、そうでない島であれば、各食事プランを見比べて、自分がアラカルトで飲み食いしそうな量(+税金)を概略ででも計算してどうするかを判断すればよいように。 

 語学力に関連してですと、自信がない場合は日本語スタッフの有無、というのも一つ大きなポイントになるとは思います。ただ、注意しなければいけないのは日本語スタッフがいるとされていても人は異動するということと、また休暇などで不在になるということはあり得るので、最悪の場合は自力でどうにかする覚悟は必要とは思います。 

 モルディブ旅行、事実上リゾート島内で完結するだけに要求される語学力はそれほど高くはないです。
 基本的には食事のオーダーが出来、各イベントやチェックアウト時のコミュニケーションが取れれば大丈夫だと思います。その辺も各自のコミュ力次第では指差しと気合で大体は行ける可能性が高いですし。まあ、トラブルが起きた場合にある程度対処できる能力はあるにこしたことはありませんが。  

 さて細々と整理されずに長くなりましたが、最初に書きましたように、モルディブは本当に海しかない、けれどその海は類を見ないくらいに素晴らしい、という旅行先としての特性を理解していけば、そこまでシビアに選ばずとも満足できる可能性は高い場所ですし、行ったら行きっぱなしで交通機関の調査などは必要ないですから、きちんとした調べものをした上で、正確な行動を取るのが苦手な人には向いた旅行先であります。そうした先で得られる非日常感は、ある意味究極のリゾート地ですので、興味をお持ちの方は一度トライしてみると面白い体験ができるように思います。

ではよいご旅行を!





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