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テイクアウト生活 (その1)

 結婚以来ずっと、平日に一回オフ日として単独で、週末に夫婦でどこかにお出かけがてらに一回と週2回の外食というペースで過ごしてきたのですが、コロナ以来3月の最終週あたりから一旦外食が途絶え、まあ5月終盤くらいからはたまには出かけているものの、お出かけ自体が激減していたりもするので、その代わりに平日一回(大体金曜)と週末一回(大体土曜)と週2回くらいは晩御飯をテイクアウトでいただく生活が続いています。

 3月末から4月の間はがち近所の徒歩圏でやりくりしていて、その後連休明けからは散歩も兼ねてそこそこ遠出もするように。テイクアウト自体も当初のStay Home的なノリというわけでもなく、家庭料理では作らない/作れないようなものを家にいながら自分のペースで食べられ、また、多少多くとも余った分は翌日に回せばいいや(これはどのメニューなら翌日再加熱で行けるかの判断含め自己責任になりますが)的な気楽さがお手軽かつ便利なので、全体に雑なわが家の雰囲気にマッチしているというのもあってコロナ云々とは別に、お店の方で続ける限りはわが家の習慣として定着しそうな気がしています。

 特に決めてはいないのですが、金曜日は仕事後に職場や家の近所でさくっと買えて、ビールなんかと合わせて気軽にいける居酒屋とかエスニック的なもの、週末は従来の外食に替わる、ちょっとしたご馳走的なフレンチ/イタリアン的なもの、が多いですね。

 持ち帰りという特性上当たり前ですが、出来上がりから時間が経ち、温め直してから頂くことが前提となる以上、お皿の上で多要素を複雑に組み合わせることが多く、また調理場からテーブルに供されるまでの時間も計算に入れるようないわゆるモダン系は不向き、生ハムやパテなどの冷菜から、メインは煮込みやよく火を通した長時間ローストなどのビストロ/トラットリアもしくは地方料理や伝統料理が向いているということで、フレンチやイタリアンでもそちらを得意とするお店を選ぶことが多いです。もっとも中には白金のリストランテ・センソのように、夜のコースは洗練度の高いモダン・イタリアンを出しつつ、ランチとテイクアウトでは伝統色の強いトラットリア的な料理を提供するなど、モダン系のお店でも基礎としての伝統的調理法がしっかりと基盤にあるお店も少なからずあるので、一概には言えないのでしょうけれど。

ということでこれまでにテイクアウトをお願いしたお店について書き並べていったのですが、フレンチだけで力尽きました。まずは第一弾として。イタリアンその他は要望があり、また気力的に可能であれば機会を改めて書きたいと思います。


フレンチ

サラマンジェ・ド・イザシ・ワキサカ (銀座)

公式サイトに「フランス、特にリヨン地方の料理の伝統をありのままに伝えたい。否、フランスよりフランス的であることを目指す」とある、ガチのクラシック・フレンチ。メニュー的にビストロ?とも思わせつつ、一つ一つの作り込みと精度が全然違う。と、銀座の本格的なフレンチでありつつメニュー選択次第では一人一万円ちょいくらいで上げることも可能なハイCP店でもあるので、個人的にはこの価格帯の古典フレンチとしては白金高輪のラシェット・ブランシュ

http://www.filmscan-print-s.com/E00301-RESTRAN.html

と双璧と思っています。

 テイクアウトでもアラカルト・メニューのほぼ全てで対応可、またはその中から代表的かつテイクアウト向きのメニューをプリフィクス的に選択するセット(一人前、税込み四千円)もあり、わが家ではアラカルト、セットどちらでも利用しています。セットのお買い得さもいいですが、そこには含まれないフォアグラなどを用いてパイ皮に包み焼き上げたパテ・アン・クルートは東京でも有数の美味しさなので、それを目当てにアラカルトでもいいですね。


サンフォコン (代々木上原)

上にあるサラマンジェでの勤務経験もあるシェフが当初幡ヶ谷に開き、後に代々木上原に移転したお店。ワイン・ビストロを自称し、サラマンジェにも通じる精度の高い古典的調理をベースにしつつ、かなりマニアックな内蔵料理やジビエへの傾倒と、古典の再現にとどまらず、かといってよくあるモダン・フレンチにも走らない独特のセンスでより華麗な料理を提供する個性派実力店。お店も店主も癖は強いので万人向けとは言い難いですが、単に美味しいにとどまらない、ここでなければ、という皿を作れるという料理人は有名店でも中々いないのでそういう意味でも貴重なお店です。
 とはいえテイクアウトではマニア向けのジビエばかりでもまずいと判断したのか、パテドカンパーニュ、ハーブチキンのローストなどオーソドックスなビストロ料理で揃えたビストロ・セットとアナグマ、鹿、熊を用いてかなり尖ったジビエ・セットの2系統を設定。ジビエセットは通常版と豪華版の2種がありますが、分量的なことも考慮して、わがやではビストロ・セットとジビエ・セット(普通)を各1名分づつでいただきました。上で書いたようなマニアックさを持ちつつ、精度の高い古典料理の美味しさを楽しめましたが、まあ、それぞれどういう味か全く見当がつかない人がいきなりジビエ・セットに行くと受け付けない危険性はあるとは思います。もちろん、そうした癖も含めた味わい深さを楽しみたいという向きには絶好のセットになりますし、テイクアウトでここまで尖った料理がいただけるのも珍しいでしょうし。あ、尖っているといいつつも古典フレンチベースなので、パイ包み焼きなど、むしろテイクアウトに向いているメニュー構成ではあると思います。


オーガストロノム・フルヤ (赤坂)

 こちらはまだ通常利用したことがないお店ですが、クラシック・フレンチに定評があり、いつか食べてみたかったので。
 テイクアウトのメニュー構成もポタージュ、ジビエのパテ、牛ほほ肉の赤ワイン・ブレゼなど直球の古典料理が並び、それらからコース仕立てで盛り合わせにしたセット(二人前8千+税)があります。
 わが家ではそのコースをお願いして、内容はスモークド・サーモン、ジビエのパテ、フォアグラのテリーヌ、牛ほほ肉の赤ワイン・ブレゼ(煮込み)などというやはりド直球の古典フレンチでした。中でもジビエのパテが本当に美味しくて、今回色々テイクアウトした中の冷菜では際立って美味しいものの一つと印象深いですね。その他のメニューのそれぞれにレベルが高く、お店の実力が良く伝わるセットでしたので、ぜひ機会を作って店内利用もしてみたいと思います。その場合一人当たりの単価が1万5千~2万近くになりそうですが。

シュマン (赤坂)

*公式にテイクアウトについての記載がないので、FB/インスタにて情報を確認することが必要。

こちらも通常利用はしたことがないお店なのですが、メニュー構成的にはお弁当、それもフレンチの前菜/メインを弁当形式に落とし込んだシュマン膳(一人前3300-3600)をメインに考慮されている感じが。わが家ではそちらを選ばず、十種の前菜盛り合わせ(3500)+メイン二品(各2千円代)を頼んだのですが、正直、注文の仕方を間違った気がします。といいますのはこちらの前菜盛り合わせ、内容的に多分、シュマン膳の前菜パートを独立させたものらしく、揚げ物なども含めた和弁当のおかず感が結構強いので、イメージしていたフレンチ前菜とはちょっと違い、また肉のロースト(これは美味しかった)と白身魚のポワレという伝統的フレンチ系で選択したメインともあまり合わない感じだったので。
 とはいえ、各料理の味付けや火加減の巧さなど、レストランとしての実力の高さは明らかなので、ここの使い方としてはフレンチ風お弁当としてのシュマン膳に行くか、あるいはアラカルトで明確にフレンチとしての前菜+メインで行くのがいいように思いました。

 なお、リンクの公式からではテイクアウトのメニューにはたどり着けないので、下に8月12日のFB投稿にあったメニューを張り付けておきます。
余りひんぱんには更新されていないようですが、その時々で多少変動があるようなので、注文時にはお店に確認を。なお、メインのローストビーフは本当に単品で付け合わせなどはないので、その辺りも計算して注文を組み立てる必要はあります。
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お会計は現金、PayPayのみとなります。
シュマン膳 お1人様用コース仕立ての盛り合わせ
(前菜・デザート付)            豊洲から魚介 \3300
イベリコ豚 \3200  ローストビーフ \3600
人参のムースととコンソメジュレ ウニ添え \1500
イノシシ肉とフォアグラのテリーヌ  \1200
フォアグラとイチジクのテリーヌ  \1800
トウモロコシの冷製スープと車エビ  \1000
おまかせオードブル8種盛り合わせ(2人前) \3500
豊洲から本日の活白身魚のポアレ 季節野菜添え \2000
熊本県産エコメ牛のローストビーフ \2200
エゾ夏鹿のロースト  \2000
イベリコ豚のロースカツ 150g  \1800
青森県産セップ茸、アミ茸のリゾット\1800
松茸と淡路産鱧、新銀杏の炊き込みご飯
1.5合(1時間要) \2800円
    桃のコンポート \600  本日のケーキ  \500本日のマカロン5個入り  \600自家製パン1個  \100
ランチタイムにもご用意できます。15:00まで
メンチカツ・白身魚・車エビのミックスフライ弁当  \1500
フォアグラ煮込みハンバーグ弁当(野菜付き)30分要 \1100
特製スパイシーポークカレー 夏野菜添え      \1200
イベリコ豚ロースサンドイッチ\1100円
(20分要)
真空でご用意できる冷蔵配送商品
シュマンボックス (2人前の一例)         \10,800~
テリーヌ2種フォアグラやジビエ/
鮎のパテ たでソース/
シェリーヴィネガー風味のラタトゥイユ/
江戸前アナゴのパネ トウモロコシ風味/
ウズラのファルシー/
青森県産天然茸リゾット/
焼き菓子etc
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ビストロ・シンバ (新富町。銀座からも歩けます)

*上の公式サイトですが、アップデートが現状に伴わないので、テイクアウトおよび最新情報についてはFacebookかInstagramで確認してください、とのことです。

https://www.instagram.com/bistrosimba/

ビストロ、との名の通りメインはシンプルなお肉のローストなどを主にしつつ、前菜や魚料理では地中海色を入れて繊細で彩り鮮やかな所を見せるなど、いわゆるビストロの枠は大きくはみ出てレストラン的な洗練も兼ね備える名店。テイクアウトは二人セットが基本で、

*おつまみとしてを想定した主の3千円セット
*前菜3品程度+メインにブイヤベースの軽めのコースとなる5千円セット
*前菜4品程度+ブイヤベース+その日の肉のローストをメインにした1万円セット。
の3種。その他にパテやブーダンノワール、時々の素材を使ったフレンチ風炊き込みご飯、肉のローストなどの単品料理も随時オン・メニューされています。
 わが家では1万円セットを一度、5千円セット+炊き込みご飯という組み合わせで2度お願いしておりますが、1万円のセットはほぼ2回分相当のボリュームでした。
 おつまみセットとアラカルトを組み合わせて、とかも可能でしょうし、各セットの方もリクエスト次第で内容の変更は可能との但し書きがあるので、かなり自由度の高い選択が出来そう。価格帯も幅広いし使いやすさでは今回並べているお店の中でも1,2を争うお店ですね。もちろん味も美味しいです。


ラ・クレリエール (白金高輪)

 *こちらは5月でテイクアウトは終了になっています。

 ミシュラン一つ星。モダンと古典のどちらも高いレベルで提示できる正統派フレンチの名店。テイクアウトにおいても持ち帰りと温めなおしという特性を理解して、家庭で(しかし誰にでもできるレベルの簡単な)ひと手間を加えることで美味しくいただけるご飯ものやパスタをメインに据えつつ、フレンチ・レストランならではの華やかさを加えたメニュー構成は料理に対する思考の深さを感じさせるもの。二人セットで8千円くらいと値段もお手頃で、テイクアウト生活でもベストの一軒でしたが、残念ながら非常事態宣言解除後は店頭営業に専念したいということで、テイクアウトはやめておられます。とはいえ、若手によるテイクアウトの再考を匂わせるような インスタの投稿もありましたので、期待したいところです。


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