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神奈川県庁東庁舎レストランについて思うこと

お世話になっております。
西沢です。
今回は日本大通にある神奈川県庁(キングの塔)の向い側にある東庁舎の不調になりまくっているレストランについて書いていきたいと思います。


そもそも、神奈川県庁とは?

日本で東京に次ぐ人口を誇る神奈川県
そんな県の本庁舎は大体誰でも想像できると思います。

神奈川県本庁舎 2023年12月

神奈川県本庁舎(通称キングの塔)は1928年に竣工の国の重要文化財にしてされている建物です。
地下1階、5階建て(塔屋は9階)の建物には、県知事の執務室や来賓向けのスペースや県職員の執務室、議会を行なっていたスペースがあったのですが、いかんせん巨大に膨れ上がった神奈川県の機能が本庁舎だけでは足りず、新庁舎、分庁舎と建てられていきました。
1955年に旧分庁舎を建設
1966年に県庁の後ろに新庁舎(議会機能はこちらに移設)を建設
1993年に新庁舎の更に後ろに第二分庁舎(現在の西庁舎)を建設
しました。

本庁舎の先に旧分庁舎が見える 2014年9月

旧分庁舎は本庁舎の向かい側、郵便局と横浜開港資料館の間に建ち、60年近くに渡り、長らく使われてきましたが、前述したとおり、膨れ続けた県庁の機能が庁舎スペースだけでは足りず、周辺のテナントを借りていたこと、海に近く、地盤に脆弱性のある本町地区において、地震津波に耐えうる建物であるために耐震補強をするより建て替えたほうが良いと判断され、2015年ごろから解体、新築工事と相なったのです。

東庁舎の特徴

神奈川県庁東庁舎は監理、設計を石本建築事務所、建設施工は松尾、工藤、石井JVにて施工しました。
工期に関しては、旧庁舎の取り壊しに手間がかかったのと、土壌対策や工期中のコロナ騒動による工事のストップの影響もあり、工期は遅れ、結果的に2020年11月竣工となりました。
特徴としては、横浜市の都市景観協議地区に入っている当該地区において、新築として建てられるギリギリの高さの建物45mとなっていることから、
展望スペースからの眺めが良いこと(今現状、11階の展望スペースは平日の官庁の営業時間中であれば見学することができます)
景観に合わせた低層階フロアの石を基調とした外観と、上層階の近代的な作りの融合した外観
防災の観点から免震層や発電機の整備等あります。
そして、多くの人が気になっていたのは1階と12階にカフェやレストランスペースを設ける事でした。
(因みに、景観条例によって東庁舎はライトアップができないのですが、噂によると13階が演出で光る設備があるようです)

東庁舎11階から 2023年12月
本庁舎から東庁舎 2023年12月
左東庁舎 日本大通 右本庁舎 2023年12月

なかなか決まらない1階と12階のスペース

前述した東庁舎の1階にはウッドデッキを備えたエリアがあり、カフェを想定してスケルトン状態で用意したスペースと、12階には全面ガラス張りで横浜港や横浜三塔、みなとみらいを見渡せる展望の良いレストランを想定したスケルトンスペースがありました。
しかし、竣工したタイミングはコロナ禍真っ只中であり、両スペースともに事業者は決まる事なく庁舎としての運用が始まりました。
1階のカフェ予定だったスペースは2022年に当初の最低賃料を半分以上下げた年間400万程度で入札を行った結果、セブンイレブンが入ることになりました。
カフェという構想はうまくいきませんでしたが、イートインスペースとしてそれっぽくなったという顛末です。

そして、問題の12階のレストランですが、3年間で3回行われた入札はいずれもうまくいっていません。
2024年の6月に4度目の入札が行われおり、結果が気になる状態ですが、どうなるかは未知数です。どうしてこうなったのでしょうか?

12階スペースの不調の原因

ここから、12階のレストラン予定のスペースの不調の原因について解説します。
まず、初めに賃料が高いことが上げられます。
一回目の入札時は5年契約で年間2000万以上の賃料を請求されるお話で、高すぎると問題視されました。一応2回目に応じた事業者もいたのですが、結局辞退し、2024年1月に行われた3回目の入札では1100万円まで値下げ、さらに開業までは賃料を免除する方針まで打ち出したものの、手を挙げる業者はいませんでした。
4回目の今月はさらに1割下げ、一部補助をする方針まで打ち出したもののどうなるか分からない状況です。

ただ、こう見るとただ賃料が原因とも考えられないですね。ほかにあるのでしょうか?

入札より 12階平面図

ここで、平面図が転がっていたのでちらっと見ることにしましょう。
12階にはレストランスペースしかないことがわかりますね。そのためか、ここに用事がないとわざわざエレベーターを使って上がる客はいないかもしれないですね。
また、11階などの庭園でセットバックしているせいかすこしスペースが狭そうですね。また厨房から搬入用のエレベーターは1基しかないので、気軽に搬入をする等細かいオペレーションは厳しそうです。
神奈川県としては、賃料を高くしてできるだけ客単価の高いお店を誘致して、景観を楽しんでほしいという思惑は感じられましたが、実際はこの狭いスペースの中で十分なサービスを提供できないと考える事業者も多かったのではないでしょうか?
また、東庁舎は公共施設のため、1階の入り口にレストランの看板を立てることができず、そもそもお店ができても集客が見込めないと考えているのかもしれないですね。
むしろ、県職員に向けたリーズナブルなお店のほうが理にかなっていると考えていてもおかしくない話ですね。
そのせいか、原則年中無休の営業という要件も緩和するなど、リーズナブルな店舗も入りやすいような要件になってきたのかと思います。

4回目の正直も決まらないと恐ろしい出来事

そもそも、東庁舎が既に手狭になっているという事態になっています。
もともと、収納スペースは竣工後に後付けの棚等を設置しているのですが、面積が旧分庁舎の倍になったのにもかかわらず、職員の増加や書類の保管が思った以上に多いことから通路に物が置かれている事態となっています。
東庁舎の入る管轄が福祉、教育関係の部署であることから一般の県民も訪れる場面もあり、テレワークやペーパーレス化が進まなかったのも要因のようです。
すると、目を付けれらるのは12階の空きスペースなわけで、レストランスペースは会議室への転用や、厨房は書類の保管場所等の想定もぼんやりと想像できるかと思います。(スケルトン状態で竣工しているので、壁や床にコンセント類もなく、工事の必要がありますが)
ただ、横浜港やみなとみらい、横浜三塔などを全面ガラス張りの展望ビューから眺められる施設があるのは大きいので、やっぱりレストランは欲しいと思います。(飲食店だと、夜も営業できて花火の日なんかは大さん橋から上がる花火を特等席で見られるレストランとしても話題になりそうですね)

最後に

今回は東庁舎のレストランの成り行きが怪しいよって話にかこつけて、東庁舎のお話をいたしました。
もう一回言います、東庁舎は平日役所の営業時間内であれば、11階の見学ができます。
本庁舎も平日見学できますが(平日でも来観客はいるそうです)東庁舎の景色も素敵で人も居ないので、お勧めです。
現状、花火が打ちあがる時間帯に入れないのが残念なので、ぜひレストランができて夜に横浜の夜景やタイミングが合えば花火を見ながら食事なんかしてみたいですね。
最後に2023年12月に東庁舎に行った時の写真をさらに放出して終わりにします。

イチョウ並木と東庁舎
赤レンガ倉庫も見える
小さな庭となっている11階
横浜三塔を上から眺められる

いつも、ご覧いただきありがとうございました。
また、よろしくお願いいたします。


追記-レストラン事業主の選定について

2024年7月24日 12階のレストランについて、伊勢海老料理を取り扱っている神戸の「中納言」さんに決まりました。

首都圏では大森ベルポートにあり、神奈川県では初の進出となる予定です。
カジュアルというより晴れの日のお祝いとしての高級路線とはなりますが、今後も楽しみにしています。  24年8月19日追記

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