『企画ライブチームバトル』を終えて
『“札束の殴り合い”とはまた違った投げ銭ライブの姿をお見せすることを約束しよう』
…などと大きな事を書いてしまった前回のnoteを見返すたびに冷や汗が流れて止まらなかったが、終わってみれば大成功と言っていい内容だったと思う。
出演者の中には、わずか30分間のライブで200人以上のリスナーを集め、2万スコア以上をマークした人もいた。これもひとえにわざわざ聴きに来てくださったたくさんのリスナーさん達のおかげである。本当にありがたい。感謝してもしきれないので、ここから先は五体投地で書いていくことにする。
【出演者と企画ライブ内容】
🟡もとみこみん「一息桃太郎」
🔵南半球のキウエさん「鬼畜スロット」
🟡おでん「ラジマイBUSAIKU」
🔵イクラちゃん「ギリギリ大喜利」
🔵今そっち「調味料当て歯磨き」
🟡つなぐ「パナキダービー」
🔵先輩と後輩「寿司大食い対決」
🟡シモ「格付けチェック」
🟡山本山本「ガチ歌選手権」
🔵ソワちゃん「ゾロ目スコアゲーム」
■初日〜開会式
初日は、開会式ライブから通常時では考えられないほど多くのリスナーさんが集まってくれた。コメントをくださるのは主に出演者達のファンリスナーさんだが、チラホラと全くのご新規さんのコメントも見て取れる。そしてコメントせずに聴いてくださってるたくさんのリスナーさん達。彼らから感じる「お前ら、さぞおもろい企画やってくれるんだろうなあ?」という無言の圧。ゲボが出そうである。
どうにか滞りなくルール説明とメンバー紹介を終え、迎えた開会式ライブ終了2分前、ここで事件が起きる。このタイミングで突然、Radiotalk運営さんから一本のDMが入った。「激励のメッセージかな?」などと思いつつTwitterのDMを開くと『トラブル発生!開始を10分遅らせて欲しい』という信じられないメッセージが。
「えっ? うそ、今ぁ!?」
予定では開会式の終了と同時、21:00ちょうどに最初の企画ライブが始まる。――2分後だ。
『ライブ開始はくれぐれも時間通りに。予定時刻より1秒でも早く開始すると、そのライブはチームスコアに加算されなくなります』
事前に運営さんからしつこく注意されていた事が脳裏に浮かぶ。あわててコメント欄にいるはずのトップバッター、もとみこみんに呼びかける。
「業務連絡!もとみこみんさん、ライブ開始を遅らせてください!」
…が、反応はなし。無理もない。彼女のライブは2分後にスタート予定、すでに開始準備にとりかかっているはず。すかさずDMを送るも、既読はつかない。ほどなく開会式ライブは時間切れ終了となり、同時にもとみこみんのライブが立ち上がってしまった。
「ストーップ!すぐライブ閉じて!」
あわててライブに飛び込み、すでにしゃべり始めているもとみこみんに向けて中止するようコメントを打つ。
「えっ?えっ?なにー?」
事態が飲み込めずうろたえる彼女に状況を伝え、なんとかライブを閉じてもらった。
■初日〜もとみこみん、キウエさん、おでん、イクラちゃん
こうして1つ目のライブからミソのついた『企画ライブチームバトル』イベントだったが、10分遅れでスタートしてみれば驚くほどたくさんのリスナーさんが集まってきてくれて大盛況となった。
もとみこみんのライブは「息継ぎせずにどこまで『桃太郎』を読めるか?」という企画で、一息で読んでいる間はリスナーがギフトを投げて応援する、というもの。バラエティ豊かな挑戦者たちと、ときにリスナーさんからの飛び入り参加もあったりして大盛りあがりの30分となった。
続くキウエさんの「鬼畜スロット」は、ランダムで絵柄が変わる“ランダムギフト”を使用し、同じ絵柄を出せた人が勝ちというギャンブルチックなゲーム企画。これがハマって、とんでもない数のリスナーさんが我先にとギフトを投げまくり、その場では誰が当たったかを目視で確認不可能な状態にまでなった。(ライブ終了後にアーカイブで確認、発表がされた)
その後におでんが魅せた「ラジマイBUSAIKU」も圧巻で、人気TV番組「キスマイBUSAIKU」をうまく音声配信に落とし込んだもの。ゲストを交えた事前収録音声と“リッチコメント(※)“をうまく組み合わせることで、参加して楽しい!見るだけ、聞くだけでも楽しい!バラエティライブ番組を作り上げた。
初日のトリを飾ったイクラちゃんは、企画段階から運営さんにマークされていたというデンジャラス・クィーン。しかしフタを開けてみればプロ並のMC力で、くせ者ゲスト陣を華麗に取り回し、見事「ギリギリ大喜利」を大盛況へと導いた。緩急自在、ギリギリの一線を超えないような絶妙の手綱さばきは、ライブ終了後もそこかしこで話題に登るほどだった。
※リッチコメント=有料ギフトの一種で、自分のコメントを目立たせるよう装飾する機能。青赤黄の3種類がある。
■2日目〜今そっち、つなぐ、先輩と後輩、シモ
実は初日の開会式直前に、Radiotalkの井上社長がライブをしていた。これは毎週金曜日に行われる定期ライブで、社長直々のライブということで毎回たくさんのリスナーが集まる。そこでソワちゃんはこのライブにリスナーとして参加。リッチコメントを使い『企画ライブチームバトル』の告知を試みたところ、井上社長が期待以上にガッツリと(約2〜3分)宣伝をしてくれた。
それもあってか初日は開始早々から多くのリスナーさんが押し寄せ、完璧なスタートダッシュを決めることができた。が、中日となる2日目にはさすがにそこまでの勢いはなく、若干しんどい立ち上がりとなってしまった。
そんな日のオープニングアクトを務めたのが、今そっち。彼女の企画は「様々な調味料で歯を磨く」という、さすが芸人志望ともいうべき体を張った企画ライブ。さらに「調味料で歯を磨いているか?それとも普通の歯磨きで磨いているか?」をリスナーに当てさせるというゲーム性を持たせ、笑いとクイズの両立を図った。結果、普段の彼女のフォロワー以外にも多くの新規リスナーさんを楽しませることに成功した。
2番手のつなぐが用意したのは一風変わった企画、その名も「パナキダービー」。しりとりで最後「パナキ」に繋がるまでの回数を当てるというもので、あらかじめ収録した5種類のしりとり音声を順に流し、リスナーは思い思いの回数にギフトを使って賭けて楽しんでいた。特筆すべきは収録音声やSE、BGMのクオリティの高さ。ダービーらしさを狙った効果音の数々は、いやがおうにも参加者の期待感を盛り上げることになった。
続く先輩と後輩は「寿司大食い対決」という、これまた芸人ばりの体当たり企画での参戦。2分間で上昇したスコアの分だけ寿司を食べる、という内容ながら、しゃべってばかりでなかなか食べない先輩と、育ち盛りかといわんばかりの勢いで寿司をたいらげていく後輩とのコントラストがバラエティ的盛り上がりを演出してくれた。好きなネタを取り合ってもめたり、食べきれず罰ゲームを受けたりと、終始仲良しコンビならではの微笑ましさが感じられる楽しいライブだった。
この日の最後に登場したのが「一流トーカー格付けチェック」という企画を用意してきた、シモ。チームバトル両チームの大将をゲストに迎え、一流トーカーなら正解して当然(?)の難問・奇問を次々ぶつけていった。リスナーは指定されたギフトを投げ分けることで自身もクイズに参加することが可能で、大将対決を楽しみつつも正解不正解に一喜一憂する姿が印象的だった。
■3日目〜山本山本、ソワちゃん
そして迎えた最終日。
まずは青チーム大将、山本山本とっておきの企画は「ガチ歌選手権」。1ヶ月がかりで準備したというこの企画ライブは、本家「マジ歌選手権」に勝るとも劣らない出色の出来だ。ゲストトーカー5人がマジ歌から面白ソングまで、バラエティ豊かに仕上げた自慢の“ガチ歌”を次々披露し、リスナーは三段階評価でそれぞれの歌に投票するというもの。プロと見紛うハイクオリティなオリジナルソングが聴けたかと思えば、歌かどうかも疑問なモノマネソングが飛び出したり。ラジオトーカーなら爆笑必至のあるあるソングには、リスナーから「ぜひラジオトークの公式ソングに」という声も聞かれた。
この時点で両チームのスコアは、
チームソワちゃん🔵35,000pts
チーム山本山本🟡56,000pts
と、その差は2万ポイント以上。大差で山本山本チームがリードする展開になった。
満を持しての登場となったソワちゃん、大勝負の企画は「ゾロ目スコアゲーム」。とにかくスコアがゾロ目になるよう、リスナー同士が協力するチームワークゲームだ。ソワちゃんはあくまで実況とコメント読みで、ゾロ目をそろえるための指示やアドバイスは一切出さない。ゾロ目の成功報酬として「大人のオノマトペ」「真っ黒い話」などを用意し、参加者のモチベーションアップと展開のメリハリを狙った。
まずライブ前半は、リスナー達が様子を見ながらそろそろと3桁のゾロ目スコアを目指す展開。ドキドキ感と徐々に構築されていくチームワークが見どころとなるも、15分経過時点で900スコアほど。ライブは60分間なので、あと45分で2万スコア以上は取らないと負けが確定する。
――30分経過。リスナーさん達が情報交換やアイデアを出し合って一度はゾロ目を達成するも、2度目の成功は未だ無し。スコアは4,000強。
――45分経過。スコアは7,500。
――54分経過。11,111を狙ったが、二人同時に大きめのギフトを投げてしまい、惜しくもオーバーしてしまった。ちなみにここまで、ほとんどのリスナーさんがチームスコアについてはまったく気にしておらず、ただ純粋にゲームを楽しんでいる状態だ。
残り6分、スコアは12,000。次のゾロ目は22,222、さすがに遠すぎる。ここまでか?
そう思った瞬間、何人かのリスナーさんが立て続けに大きめのギフトを投下。「もしや、22,222目指せるのか?」沸き立つコメント欄。ただ一人ソワちゃんだけが内心でチームスコアを気にしてドキドキしている。さらに投げられるギフト。コメントとハートも連打され、スコアが上がっていく。17,000…18,000……残り4分。19,000…20,000……残り3分。
「よし、行ける!」
誰かがそうコメントした。…21,000…21,500…残り2分。
「よしみんな、そろそろゆるめて…あーっ!」
そのとき、二人が立て続けにギフトを投げた。コメントもハートも急には止まらない。残り1分、スコア表示は……22,362。
コメント欄を埋め尽くす、ため息と悔しみ。すぐにそれは即席の仲間たち(初見同士もたくさんいた)への賞賛とねぎらいに変わり、ほどなくしてライブは幕を閉じた。
■3日目〜閉会式
直後に開いた閉会式ライブ中に、運営さんより最終チームスコア集計が発表された。結果は…
58,092 対 56,153 で、チームソワちゃんの勝利!
こうして3日間に及んだ『企画ライブチームバトル』は幕を閉じた。
■イベントを終えて
今回のライブ企画のサブタイトルには「真に面白いライブはスコアも取れる」と書かせてもらっているが、正直本当にそんなことができるのか?青臭い理想論にみんなを巻き込んでいるだけではないのか?と言う思いが、ずっと心の片隅にうずくまっていた。だが終わってみればそのモヤモヤは、最高のエンタメ野郎どもの素晴らしいアイデアと、入念な下準備と磨き上げられたライブ力により完全に吹き飛ばされてしまった。スコア合戦には見向きもせず、リスナーさんや自分自身と向き合い続けたトーカーさんが本気を出せば、こんなにも人を魅了し、楽しませることができる。と同時にギフティングの楽しさを示し、配信者もリスナーさんもお互いに気持ちよくライブを楽しむことができるってことをまざまざと見せつけられた。
その証左として、いつもはほとんど課金しないリスナーさんがアツくなり、楽しみながらギフトを投げていたのを見かけたし、何よりほとんどの企画ライブ中に投げられたギフトがみな100コイン以下のお手頃ギフトだった。これはつまり、ごく一部のお金持ちがドカンと投げてできたスコアではなく、多くのリスナーさんが参加し、皆がまんべんなくギフトを投げたその積み上げで達成されたスコアであったことを意味している。
さらに今回、開会式ライブのときに「同情や義理でのギフティングはご遠慮ください」と再三アナウンスしておいたのだが、ほぼすべてのリスナーさんがこれに従ってくれたのがとても大きい。同時に配信者側にも「投げてください」というような、無闇にギフトをあおるような言動は一切無かった。おかげで、理想とする「純粋に楽しいから思わずギフティングする」というライブの形が実現できたように思える。
もちろん、すべてのライブがこうあるべきとは全く思わない。「All talks are good」――Radiotalkの基本理念にあるとおり、色んなライブがあって良い。ただ、あまりに多くのライブがギフトやスコア一辺倒になってしまっては、リスナーさんの選択肢を狭めてしまう。初心者ユーザーがとっつきやすい、TVのゴールデンタイム番組のようなわかりやすいバラエティライブ、エンタメライブがもっとあった方が良いのでは?
今回の『企画ライブチームバトル』を見て、聴いて、なにかのヒントやきっかけになってくれたら嬉しく思う。そしてもっと自由に、スコアやランキングや収益に縛られず、様々な番組がどんどん生まれてくれたら最高だ。
1ユーザーとして、1リスナーとして、今よりももっともっとラジオトークを開くのが楽しく、ワクワクするようになることを願ってやまない。