相続税税務調査の話共有不動産②

親子で共有となっている不動産の家賃収入が何棟もあり、その家賃が親に入ったり子に入ったり、親子で不動産収支の精算のためお金を振り込んだり、振り込まれたりがもう何十年も続いていたのでもはや正しい金額はわかりません。相続税の税務調査では、家族間でのお金の入出金が頻繁にある場合は、法人税と違って帳簿や過去の取引の証憑は存在しておらず個人の生活費が常にお金の動きとして入り込んでしかも何十年という年月が経過した結果を調査するので、もはや正しいものが何かという唯一の答えというのが存在しないのが特徴です。

そのため法人税とは比べものにならないくらい、曖昧な事実をもとに分かる範囲で判明した事実を頼りに税務調査で指摘を受けて納税者が納得した親の財産であらうと認めたものを修正申告するということは少なくありません。

当初申告した時には、長男の不動産名義に帰属する収入や経費、借入の返済や税金の返済、会社員としての給料等考えられる収支をできる限り遡って長男に残っているであろう推定預金額と実際に残っているであろう預金額を比較していました。そこに大きな差がなかったことから、父親は収支の精算をきちんとやっていたものと推察されたので、長男の預金口座に父親が受け取るべき預金は含まれていないと判断しました。

税務署署ではどのように判断するのか、どこまで厳密に調べてどこまでが長男の預金でどこまでが父親の預金とするのか、分析結果を逆に示して欲しいと思って調査結果の回答を待ちました。

続く





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