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三兄妹が真似ぶ時

2018年、次女が生まれて片山家は5人家族になった。2013年に結婚しているから、5年で5倍の成長率である。改めて考えると、長男が産まれた2014年以来、赤ちゃんがずーっといる。自分の子どもがいない時は、おおよそ2歳半くらいまでの幼児は「赤ちゃん」のジャンルに入れていた。4年間ずっと大きくなる兄妹を見ていると、面白いもので観点の細分化が起こる。今、片山家において純粋な赤ちゃんは、生後6ヶ月くらいまで。拡大解釈しても1歳半までがいいところで、それより大きくなると幼児のジャンルに見えてしまう。ハイハイからつかまり立ちをし、歩を進め、食事が大人と変わらなくなり、発語に差はあっても喃語でやり取りができる様になる。ああ、もうこの子の赤ちゃんは終わろうとしているなと、しみじみ思う。よく言われていることだが、体感してみると一瞬。親からしたら、赤ちゃんの頃は本当に一瞬で終わる。次女の写真はやはり長男に比べると少なくなるが、噛みしめるように可愛がられているのは彼女だけだから、まあそれぞれ得してる部分はあると思う。
2019年時点で4・2・1歳の兄妹を見ていると、特に下2人の成長が異常に早いと感じる。長女は2歳になる前に2文節くらいの会話を始めた。次女は10ヶ月前に名前を呼ばれて手を挙げだした。今から考えると時間が有り余っていた長男の子育ては、好きなのも高じて読み聞かせしまくり、語彙に関しては伸ばしまくった手応えはある。しかし、下2人には申し訳ないほど何もしていない(正確には物理的にできない)。しかし、どんどん成長していくのである。学ぶ事は真似ぶ事、というセオリーは前職で得た見識だが、それを目の当たりにしている心持ちだ。思考言語を獲得する前の彼女らは、色んなものをひたすらに注視して真似る。そしておそらく、自分のサイズに近いものほど真似しやすい。下2人は、明らかに兄姉を見て学んでいるのである。
「兄妹はいた方がいいし、2人よりも3人が良いよ。」
子持ちの諸先輩方から伺ったアドバイスが身に染みて分かる。真似ぶ環境を作れば、子どもは(ある程度)勝手に伸びる。
そう考えると、伸びる環境を作ることに注力しなければならない。まず長男はトップランナー。色んな事にチャレンジしているところを妹たちに見せて欲しい。お父さんやお母さんと背伸びした会話ができるようになって、早く思考言語を習得して欲しい。よって片山家はお出かけ好き。行き先は常に長男の関心どころに合わせている。お父さんお母さんは長男とお話しするのが大好き。送り迎えの時間、食事をしている時間、寝る前の時間、日常的に彼との会話を楽しみたい。関心を広げ、色んな事や人と繋がって欲しい。彼の在り様は、そのまま妹たちに真似される。
真似される、という環境も作らなければ。まず、下2人が物心つく前に、長男には「のどかちゃん(ひなせちゃん)はお兄ちゃんが大好きだねえ」とひたすらインプットする。面倒見の良い兄になれば、赤ちゃんたちは勝手に寄ってくるからだ。長男と次女はうまくいっている様だが、長男と長女には苦戦中。2歳差の嫉妬はなかなか乗り越え難いのか。
今後の課題は本である。現在の絵本蔵書は280冊程度になったが、ほぼ0-5歳向けの内容。長男向けのラインナップを増やさなければならない。いわゆる児童書だが、絵本に比べて私の選書の嗅覚が効かない。良い図書館良い本屋を見つけるべきだが、なにぶんこの5年で3回引っ越しているので、中々発掘できていない。
本が整えるのと平行して、そろそろホワイトボードの準備を始めなければならない。字だけでなく、絵や図も書かせていく。リビングで3兄妹のグループワークができる状態が理想である。そのスキルを長男から身につけてもらう。余計に長男はお父さんお母さんと論理的な話がある程度できなければならない。彼の思考力が今以上に伸びていく環境をどう作るかは、まだ直近の一手が見つかっていない。
子どもたちの環境整備について、やるべき事が多過ぎて追いつかない。しかも予防接種と違って、1回やれば済むような事はあまりなく、日常的に続けなければいけない事が多い。大きな本棚を買い揃える事は1度で済んでも、中に入れる本が循環しなければ使われなくなる。分かっていたことだが、今は正に、日常的に、子どもたちに関わっていかなければならない時代なのだ。この大仕事を、夫婦でやりたかったのだなとつくづく思う。

教育においてここ10年、「教授する」から「学習する」へ大きなシフトが起こっている。学習することは則ち真似ぶこと。私たちが考える以上に、手本を見せる事の意味が大きく、効果的である。今見せる手本は、同年代同士にかなわないとしても、これから私は親として、何を見せれば良いのだろう。子どもたちの体や思考言語が発達した先に、私たち親が真似ぶ対象として極自然に入ってくる時、どうあるべきなのか。2014年、親になると決まった時から、私自身の在り様に、ゆっくり確実に揺さぶりがかかっていた。

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