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2023/12/30 '22-'23に成立したトレードを応援歌的視点で振り返る

今年も早いもので年の瀬を迎えました。皆様方におかれましては変わりなくお過ごしでしょうか。
応援歌の話題では、今年は何と言っても'19シーズン以来3年のブランクを経て、球場に声出し応援が帰ってきたこと。これに勝るトピックはないでしょう。久しぶりに球場で思う存分声を出して応援ができて、これがどんなに貴い体験であることか、私自身も身をもって感じた次第です。

ところで、前々からなんとなく思っていたことなのですが、シーズンの振り返りを応援歌の視点中心でやってみたら、それはそれで結構的を射た内容にならないでしょうか。
できれば1チームずつじっくりと振り返ってみたい気持ちもあるのですが、今からそれを始めても、筆の遅い私のことですから、全球団振り返りきる前に来シーズンが開幕してしまいそうな気もします。
というわけで、今回は試験的な意味合いも込めて、'22シーズンオフから'23シーズン中にかけて成立したトレードに焦点を当てて、応援歌的視点では成功だったのか、はたまた失敗に終わったのか、軽い気持ちで書いてみたいと思います。

ただ、応援歌を中心に論じようとすると、どうしても野手に関する論評中心となってしまいますので、その点は御容赦願います。
また、NPB公式のトレードのページには、FAの人的補償も記載されているのですが、人的補償による移籍については本記事では取り上げませんので、御了承ください。


日本ハム渡邉・高濱←→阪神齋藤・江越

いきなりですがこのトレード、投手の齋藤を除き3選手が野手ですが、全員移籍前の球団で個人応援歌を持っていました。いわば、過去にそれなりの成績を残したシーズンがあったことの裏返しです。
一方で、トレードの対象になる選手というと、大抵は一時期の旬を逃した選手が多いのも事実。もちろん、トレードを機に再起を果たす選手だって、これまでの歴史の中で多数存在するのですが、トレード直前に焦点を当てると、どうしても成績が見劣りしていることが多々あります。

そんな具合で、日本ハムと阪神が割と個人応援歌の作成に厳しめな球団というのも相まって、渡邉諒、高濱、江越の3選手とも、'23シーズン終了に至るまで、個人応援歌は作られず、今のところはただただ応援歌を失っただけのトレードとなっています。
その中で、渡邉諒と江越については、移籍先でそれなりに出番を与えられたところではあり、このまま汎用応援歌組というのもなんだか物足りないので、来季は新応援歌に期待したいところ。
一方の高濱は、移籍後もなかなか苦しいシーズン。このままだと、日本ハムで応援歌をもらう前年の'21が確変だったと振り返られてしまいそうで、意地を見せたいところです。

西武山田←→日本ハム佐藤

いろいろな意味で似たようなタイプの内野手同士でトレード。佐藤龍は西武への出戻りとなりました。
このトレードは、1年経ってくっきり明暗が分かれてしまった形となっています。西武で個人応援歌があった山田は、日本ハム移籍後個人応援歌は作られず、今シーズンそれなりにチャンスはもらったものの、わずか1年で戦力外。来季は楽天で育成選手として契約したものの、野球人生としては一気に崖っぷちに追い込まれました。
一方の佐藤龍は、トレード前の日本ハム時代も、その前の西武時代も、個人応援歌はありませんでした。今年も個人応援歌がない状態でシーズンインしましたが、こちらはキャリアハイの成績。来季は背番号も軽くなり、おそらく応援歌も作ってもらえるのではないかと期待されます。

広島長野→巨人

過去に丸が広島から巨人へFA移籍した際の人的補償として選ばれた長野ですが、このタイミングで無償トレードにより巨人へと復帰。
当然ながら、応援歌も過去巨人に在籍していた頃のものが復活しました。広島時代も熱い声援を受けていたとはいえ、これはこれで、かつて歌い慣れた応援歌が帰ってきたことを喜んだファンも多かったことでしょう。

日本ハム石川亮←→オリックス齋藤

捕手の石川と投手の齋藤綱のトレード。石川は日本ハムの在籍が9年と長かったですが、なかなか正捕手争いに加われず、個人応援歌はありませんでした。
トレードでオリックス移籍後も、森と若月という盤石な体制が築かれており、出場機会としては相当に限られていました。第3捕手として、シーズンの長きに渡ってベンチに入り、チームを鼓舞する貴重な存在だったとはいえ、応援歌をもらえるまでにはもう少し出番がほしいところです。

楽天涌井←→中日阿部

全盛期はさすがに過ぎたとはいえ、球界を代表する投手の一人として一世を風靡した涌井と、'22シーズンは規定打席を優に超える働きを見せ、押しも押されぬ中日の主力選手だった阿部。この2人の大型トレードには驚いたファンも多かったでしょう。
楽天に移ることになった阿部は、さすがにその実績を考慮されてか、早々に応援歌が当てられましたが、これが栗原流用。旧応援体制の応援歌が流用されたことに、またまた大いに驚かされるとともに、今シーズンの楽天流用ラッシュの先駆けともなりました。

DeNA砂田←→中日京田

中日は数日前に阿部のトレードが発表したばかりで、驚きが冷めやらない中で、立て続けに今度は京田をトレード。京田は'22シーズンに大きく成績を落としていたとはいえ、二遊間の主力選手が揃ってトレードで流出する形となり、輪をかけて混沌の渦に陥れられました。
とはいえ、京田も実績十分の選手ですから、DeNA移籍と同時に新応援歌が作られ、応援歌的には特段の損失はありませんでした。後は選手としての完全復調が待たれるのみです。

現役ドラフト

出場機会が少ない選手の移籍活性化を目的に、'22オフから新たに始まった現役ドラフト。第1回の移籍選手は以下のとおりとなりました。

  • オリックス←ヤクルト渡邉

  • ソフトバンク←日本ハム古川侑

  • 西武←阪神陽川

  • 楽天←広島正隨

  • ロッテ←オリックス大下

  • 日本ハム←西武松岡

  • ヤクルト←ロッテ成田

  • DeNA←中日笠原

  • 阪神←ソフトバンク大竹耕

  • 巨人←楽天オコエ

  • 広島←巨人戸根

  • 中日←DeNA細川

この中で、移籍前に個人応援歌を持っていたのは、陽川、大竹、オコエ、細川の4選手。一方、移籍後現時点において応援歌が作られているのは、西武に移籍した陽川ただ1人。
今季の活躍度合いを見れば、中日細川は来季の新応援歌当確とみて差し支えないでしょう。しかし、それ以外の選手はというと、応援歌が作成されるかどうか不透明なところです。
細川と同じく現役ドラフト成功組として語られる阪神大竹が移籍前に応援歌をもっていたのは、当時のソフトバンクの方針によるもの。投手というポジション柄、よほどのことがない限り個人応援歌は望めないでしょう。
オコエも今年の成績だと、来年応援歌ができるかどうかは微妙なライン。ただ、元々ネームバリューがある選手なのと、今年の巨人は個人応援歌持ちの選手が相次いで退団、引退している状況ですから、もしかするともしかするかも。

その他、移籍前に個人応援歌がなかった選手について、移籍後に応援歌ができてくるようだと、現役ドラフトが成功しているという指標にもなりそうですが、第1回のメンバーだとなかなか厳しそう、というのが偽らざる評価でしょう。
野手組に限れば、渡邉、正隨、大下の3選手になりますが、渡邉と正隨は移籍後わずか1年で戦力外通告という厳しい現実。大下は来季もロッテに残留しますが、応援歌が作られるまでには、まだまだアピールが必要といったところです。

ロッテ加藤→中日

この前に、'21シーズン途中にもトレードで中日からロッテに移籍した加藤匠馬。トレード相手が加藤翔平と、加藤同士のトレードということで話題になりました。さらに、中日加藤翔のほうは、'22に加藤匠の応援歌が流用されたという背景があります。
そこに、'22オフ加藤匠が無償トレードで中日に復帰という新展開。先の長野に続き、出戻り無償トレードがこのオフのトレンドとなりました。
既に流用済みの応援歌はどうなるのか、という点も注目されましたが、結果は加藤匠に応援歌が戻ってきて、加藤翔は歌詞そのままにメロディだけ新曲となりました。加藤匠はロッテで個人応援歌を作られなかったため、選手も応援歌も、中日のみ純増ということに。

日本ハム西村←→ロッテ福田光

リリーフとしてそれなりにチャンスを与えられながら、ものにしきれていなかった西村と、ルーキーイヤーのオープン戦でアピールするも、プロの壁に阻まれるシーズンが続いていた福田光輝のトレード。
福田光は移籍前後通じて、今のところ個人応援歌がありません。日本ハムでもチャンスは与えられましたが、一軍に定着したとは言い難く、ロッテで覚醒した西村とは今のところ差がついている印象。ただ、年齢的には福田光のほうが若いですし、トレードの成否の評価を下すには、来季以降の成長度合いも見極めてからでしょう。

巨人廣岡←→オリックス鈴木

廣岡にとっては自身2度目となるトレード。期待の若手と嘱望され、時折印象的な活躍も見せるのですが、それが長続きせずレギュラーを掴みきれていません。
個人応援歌についても、これまで2球団でそれぞれもらっていましたが、オリックス移籍後も割と早い段階で、中島にも使われていた曲の流用が決定。期待の大きさは相変わらずであり、オリックスでもそこそこよい働きはしているものの、レギュラーには後一歩という立ち位置も相変わらず。

中日山本・郡司←→日本ハム齋藤綱・宇佐見

お互いに投手1名捕手1名を出し合うトレードに。斎藤綱は、先述のとおり'22オフにオリックスから日本ハムにトレードされたばかりなのに、半年足らずでまたトレードです。
移籍前の応援歌事情については、中日郡司にはなかった一方で、日本ハム宇佐見は今シーズン開幕前に個人応援歌が割り当てられたばかり。日本ハム側としては、なんとも間の悪いタイミングでの応援歌発表となってしまいました。
ただしこのトレード、投手も含めた全4選手が、移籍後にそれぞれ持ち味を発揮しており、今のところは成功の雰囲気があります。宇佐見も郡司も、'23シーズン中に個人応援歌が作られることはなかったものの、来季以降の動向に期待。

巨人石川←→ロッテ小沼

ダイナマイト慎吾として、巨人でも根強い人気を誇っていた石川慎ですが、今季は開幕から一軍での出番がなく、シーズン途中にロッテへトレードされました。
移籍先のロッテでは、自慢の打撃力で猛アピール。応援歌も早々に、かつて神戸に使われていた曲が流用されました。'10にロッテの応援体制が改まって以降、日本人同士での応援歌の流用は、これが初めてのはず。

中日高松←→西武川越

中日では割と早いタイミングで応援歌が作られた高松と、西武で一軍戦にもそこそこ出ていたのについに応援歌が作られずじまいだった川越のトレード。
川越は中日移籍後早々にチャンスをもらったものの、インパクトのある数字は残せず。年齢的にも若くはなく、一日も早く応援歌をもらえるほどの活躍が望まれるところです。
一方の高松も、今季トレード後に出番を増やすことは叶いませんでした。こちらも応援歌をもらえないままだと、応援歌的視点では損失を出して終わってしまうだけに、代走要因に留まることなく、レギュラー争いに絡む働きを期待。

DeNA阪口←→ヤクルト西浦

一時はヤクルトの正遊撃手を任されていた西浦も、ここ数年は不振で出番が激減。7月末のトレード期間終了目前に駆け込みの形で、DeNAの若手投手阪口とトレードされました。
ただ、阪口のほうがトレードをきっかけに一軍での出番が増えたのに対し、西浦はトレード後も出場機会を増やすには至らず。実績は十分な選手ですから、汎用テーマのままというのも少し違和感があり、少しインパクトに残る活躍を見せるだけでも、先述のオリックス廣岡やロッテ石川慎と同様に応援歌がもらえそうなものですが、来季以降どうなることでしょうか。


というわけで、軽い気持ちで書き出したはずが、今回もだんだん熱が入ってしまって結果5,000字近い記事になってしまい、つくづく簡潔な文章が作れない人間であることを痛感します。
来年以降も持続的にnoteの記事を書いていくなら、もう少しスマートなボリュームを目指すことを目標としたいですね。

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