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ブロガーやクリエイターがこぞってMediumとnoteを使う理由(note編)

お待たせしました。

起業家やブロガーがこぞってMediumとnoteを使う理由の後編、note編です。

ぼくがnoteを愛してやまない2つの理由。

まずはMedium編のおさらいからすると、

ぼくがMediumを愛してやまないのは、
1.書いていてとにかく気持ちが良い。最高のライターエクスペリエンス(WX)
2.Mediumそのものの世界観が素敵。
の2点が理由としては大きいです。

と書きました。

一方、僕はMediumと同じくらいnoteのことを愛してやまないのですが、その理由はMediumとは全然違います。

具体的に僕がnoteを愛してやまない理由は、

1.Mediumとは全く異なる世界観があり、それに対しても大変強い共感をしている点。

2.これまでにない新しい課金プラットフォーム。コンテンツ課金に限らず、無限の課金の仕方が存在する点。

の以上2点です。それぞれ簡単にご紹介しましょう。

「インターネット的」なMediumと「出版社的」なnote

新しいメディアのカタチとして注目を集め、noteのことを「日本版Mediumだ」と評する向きもありますが、両者は全く持って異質なもの。似て非なるものだと思っています。

抽象度高く表現するのなら、Mediumは「インターネット的」でnoteは「出版社的」なDNAが脈々と流れていて、それゆえ世界観が全く異なるからです。

Mediumを創業したのは、「ブログ」という概念を生み出したBlogger(後にGoogleに買収される)や、マイクロブログという概念を生み出したTwitterなど、インターネットの生き字引ともいえるEvan Williamsです。

一方、noteを生み出したピースオブケイクの加藤貞顕氏はアスキー、ダイヤモンドを経て起業をされている出版社バックグラウンドの方です。

それゆえ、見た目上、機能上は似ているように思えるサービスも、世界観や生態系が全く持って異なるのです。

「インターネット的か?出版社的か?」の違いの機能的な部分の最大の違いが「課金機能の有無」です。

厳密に言えば、MediumもGumroadと組み合わせれば記事内の課金ができるのですが、そんなことを知っているユーザーはごくわずかでしょうし、知っても実際にやる人はほとんどいないはずです。

それはなぜか?Mediumは「インターネット的」だからです。インターネット的な世界においては、"Content is free."です。つまり、Web上のコンテンツは無料で然るべきだという考え方です。BloggerやTwitterも同じですよね。どんなに著名な方のブログもツイートも課金しないと読めない、といったものは一つもありません。

一方、noteは極めて「出版社的」です。

「note」が1周年、ネット上に”儲かる仕組み”は作れたか-ピースオブケイク加藤貞顕氏に聞く(HRナビ)

「noteは最初からやりたいと思っていたサービスで、ずっと必要なものだと思っていました。コンテンツの集合的な場としてのcakesに対し、さらに小さな個人単位のメディアであるnote。これは雑誌と書籍の関係に近いと思っています。例えば菊池寛が興した「文藝春秋社」は、『文藝春秋』という雑誌を創刊して、コンテンツがたまってから、芥川龍之介の単行本などを出版するようになったんです」

noteの使命はネット上のコンテンツに「儲かる仕組み」をもたらすこと

”noteの使命は「ネット上のコンテンツに「儲かる仕組み」をもたらすこと」”

そう加藤さんが仰っていることにすべてが詰まっているのですが、「出版社的」なnoteのアプローチはあらゆるコンテンツをフリー化してしまった「インターネット的」な世界観へのアンチテーゼなのです。価値あるコンテンツには、それ相応の対価を支払い、書き手が受け取れる仕組みをつくろうと。

「インターネット以前」はコンテンツを供給し、受信する方法が基本的には出版物(本・雑誌・新聞その他)しかなく、出版物は一部のものを除き、それなりの対価を支払うことでしか得ることができなかったので、コンテンツの価値と金銭の等価交換が行われていたわけですが、現代では「PV数との等価交換」に置き換わってしまったワケです。

インターネットがもたらした副作用としての「PV至上主義」「コンテンツ需給の非対称化」に対する加藤さんなりのアンチテーゼ。

それがcakesでしたし、さらに一般化したのがnoteだった。そう僕は解釈しています。

「ネット上のコンテンツに『儲かる仕組み』をもたらす」

という加藤さんの目指す世界観に対しては心から共感しますし、リリース直後の2014年4月頃にブログ「note」は情報のメルカリだ。なんて表現で取り上げて、以来ずっと注目してきました。

これまでにない新しい課金プラットフォーム。

2つ目は、極めて機能的な観点から。上述の通り、noteは『儲かる仕組み』をもたらすことを使命として開発され、早リリースから2年近く経つのですが、このnoteならでのはの課金の仕組みがきわめてイノベーティブなのです。

noteのスタープレイヤー、イケダハヤトさん、はあちゅうさん、梅田さんのnoteを実際にそれぞれ見てみましょうか。

まずは月商300万円稼ぐプロブロガーのイケダハヤトさん。


記事を読み進めていくと、「まえがき」があっていざ本編を読み進めようとすると、こんな画面が表示されて、課金すると続きが読めるようになるという極めて簡単な仕組みです。

「購入して続きをみる」をポチっとすると読める。極めてシンプルな仕組みですね。

最近では朝の情報番組でもコメンテーターを務められているはあちゅうさんのnoteはこちら。


仕組みは同じなので割愛しますが、はあちゅうさんはマガジンを非常にうまく活用されていて、特に月刊はあちゅうコンテンツ論~自分をメディア化する方法~が爆発的に売れています。12月の売上レポートを見ましたが、バカ売れしてました。

その他、外してはならないのがTHE STARTUPでおなじみの梅木雄平さんのnote。エッセイメインのnoteマーケットにおいて一線を画す「2015年に1億円以上資金調達したスタートアップ125社のTheStartp独自投資判断」などがこれまで爆発的な売り上げを記録。

どれだけ売れたか?についてはTHE STARTUPにて詳細に書いて下さっているので興味のある方はコチラをご覧ください。

仮説:コンテンツの質に課金しないが関係性の質には課金する。

皆様が「コンテンツの質」を武器にnoteをヒットさせているのを見て、よっしゃ!それなら僕もやってみよう、とチャレンジしてみました。

それで書いてみたのがこのnote。

今では加筆修正したので課金せずに全文読めるようになっていますが、当初は100円課金しないと読めない仕様になっていました。コンテンツの深さも、取り上げるテーマも極めてライト。他のnoteユーザーの記事を参考に。

「100円だったらこのくらいのボリューム感だろう」とイメージして投稿しましたが、見事に玉砕。NewsPicksで完膚なきまでにダメ出しをされてしまいました。興味がある方はこちらをのぞいてみて下さい。マジでふるぼっこです。(笑)

しかしさらにその翌日、奇しくもあのLINE執行役員の田端さんもnoteを投下されたのです。

こちらのnoteはさすが田端さん!というだけあって、300円という金額に値する素晴らしい内容で、僕とも違ってバカ売れしたそうなのですが、NewsPicksでは同じく大バッシングが。興味がある方はこちらをご覧ください。

これを見て僕が感じたことは一つ。

「インターネット的な価値観に良くも悪くも占有されたインターネット空間に置いて、コンテンツそのものに課金するのは極めてハードルが高い」

ということでした。

じゃあ、何に対してであれば人は課金するのか?

その問いに対して答えようと思考を巡らせた時に出てきたものが、僕が2年前に書いた「「note」はメルマガをリプレイスするか?」というエントリーでした。

有料メルマガにもうまくいっているメルマガとそうでないメルマガがあります。

うまくいっていないメルマガは単なる情報発信にとどまってしまい、ブログとの差別化ができず、書き手のモチベーションも低下してしまい廃れるパターン。

一方うまくいっているメルマガは「購読者限定のQ&Aコーナー」や「購読者限定の招待制イベント」を開催するなど工夫を凝らした結果、圧倒的な支持を集めています。その代表的なものが「堀江貴文のブログでは言えない話」でしょう。

そう、人々は「コンテンツそのもの」ではなく「コンテンツ発信者との関係性の質」に課金していたのです。

「関係性の質への課金」そのものをビジネスモデルにしている会社があります。

オンラインサロンプラットフォームの「Synapse」です。上述したイケハヤさん、はあちゅうさん、梅田さんは3人もれなくオンラインサロンを開設され、大変な人気を集めていますよね。

こういったトレンドを踏まえて、僕の中ではある仮説が確信に変わりました。

仮説:コンテンツの質に課金しないが関係性の質には課金する

というものでした。

実は先ほどの大炎上したクソnoteと同タイミングで、この仮説に基づいてもう一つのnoteを書いていました。

それがこちら、「Pickers Lounge」でした。

自由自在に課金ができるnoteの仕組みをフルに活かして、コンテンツの内容そのものに課金するのではなく、「購入して続きをみる」をクリックするとFacebookグループへの参加リクエストを送信できるリンクが見えるようになる、という「オンラインサロンの課金の仕組み」をnote上で仮想構築したのです。

「NewsPicksで普段見ているあの人とつながれる」という関係性の質に対してであれば、課金するのではないか?という仮説に基づいた実験でした。

やはり仮説通り、コンテンツ課金では惨敗を喫した僕ですが、想定以上の成果が出ました。大スターの皆様と比べれば微々たる金額ですが、たった3日で5万円を超える金額を課金して下さいました。

その結果、記念すべき第一回目のイベントを無事に開催できただけでなく、最新撮影機材による動画の撮影・編集や、プロのライターさんによるレポート作成までを実現することが出来ました。その結果できた記事がコチラです。

メディアは、これからどんどん面白くなる。

以上、書いているうちに熱がこもってしまい、つい長くなってしまいましたが以上です。

1.Mediumとは全く異なる世界観があり、それに対しても大変強い共感をしている点。

2.これまでにない新しい課金プラットフォーム。コンテンツ課金に限らず、無限の課金の仕方が存在する点。

とnoteを使う理由について書き綴りましたが、要するに「ネット上のコンテンツに「儲かる仕組み」をもたらす」というnoteの仕組みに大変共感しているのです。

ただ、逆に言うと機能的な面でははっきり言って「課金機能」以外に、noteを使う理由が見当たらないというのが正直なところです。

WX的な観点でいえば、Medium>>>>noteくらい、Mediumが優勢です。なので、課金の必要があるコンテンツ以外はすべてMedium又はブログで書いちゃいます。そしてnoteはスマホでは無料コンテンツしか作成・編集できません。これは普段スマホでしか書かない僕にとっては致命的です。

その結果、今のnoteの執筆者の顔ぶれはMediumのそれとは決定的に異なります。

イケハヤさんにせよ、はあちゅうさんにせよ、梅木さんにせよ、皆さん「自分をメディア化していて書くことで生計を立てている職業作家さん」なのです。

つまり、構造的にアドセンスやアフィリエイト以外の新たな収益源としてnoteを熱烈に歓迎する立場にいらっしゃるのです。

逆に言うと、そうした立場になく、「書くことで生計を立てる必要のない」アマチュア作家さん(ここには書くことそのものを収益化する必要性のない起業家の方も含みます)にとっては、noteで書く「必然性」はなく、「新しいメディア」によほど好奇心の強い方(けんすうさんや田端さんなど)でなければ、使うメリットを感じずらいというのが正直なところでしょう。そうした方の投稿モチベーションは一時的なものとなり、長続きしません。

その結果、noteの顔ぶれを構成するのは職業作家(あるいはプロブロガー)の方に偏ってしまいます。彼らが良いとか悪いとかではなく、「特定の書き手に偏る」ことによって、プラットフォームとしてのnoteが著しく偏ってしまい、その結果読者の幅を狭めます。

プラットフォームの世界観を形作るのは、他でもない「書き手」そのものです。

そして、「書き手」のモチベーションを決めるのは、プラットフォームそのもののアーキテクチャと、アーキテクチャの土台となる哲学です。

今のnoteは「ネット上のコンテンツに「儲かる仕組み」をもたらす」という哲学を、「誰でも簡単にユーザー課金ができる」というアーキテクチャによって実現し、その結果書き手が「プロブロガー」に偏り、読者体験を限定的なものにしているというのが現状だと思っています。

この現状を打破するには、「書き手のリクルーティング」しかありません。その昔、NewsPicksが梅田社長自ら、前職時代やSPEEDAの時のコネクションをフル活用して、良質なコメントをするピッカーを揃えたのと同じように、「あの人の文章がここなら読める!」と言えるような方を多く集めることが、「偏った読者体験」を解決する唯一の方法のように思えます。

noteで活躍されている中で、一際目立つのがNewsPicksでも良くお見かけするNPO法人Living in Peace 理事長の慎 泰俊さん。

彼はすでに「働きながら、社会を変える。」や「外資系金融のExcel作成術」など本を何冊も出版されている「プロ作家」ですが、彼のような「作家」が日々ネタ帖を書き綴る場所としてnoteを活用してもらい、その「ネタ帖」を有料で読めるよ、という形であれば、「関係性の質に課金する」というアプローチで、出版社時代やcakesで培った作家三のネットワークという既存リソースをうまく活用しながら、cakesとはカニバリゼーションを起こさず、「noteの読者体験を多様化する」ことができるのでは?なんて思っています。

ということで、思う存分書き綴ったところで今日はおしまい。

次回は「総集編」として、西村なりの「分散型メディア」に対するとらえ方について書き綴りたいと思います。

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それでは、おやすみなさい!

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