♯1【乃木坂46】の映画第一弾は、『超能力研究部の3人』(3人とは生田絵梨花、橋本奈々未、秋元真夏)
0.これを取り上げたわけ
今に至って「君の名は希望」が乃木坂の代表的な楽曲と言う認識が有るが、この時期に「乃木坂46」の基底を創った事を知らないだろう。
「君の名は希望」のMVで、『超能力研究部の3人』(当時は内容も企画も決まっていなかった)のオーデションを行い3人が選ばれた。
後に、黄金コンビと呼ばれる様になった作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦が創った「乃木坂らしい代表曲」となった「君の名は希望」。
発売前から秋元康が神曲と呼ぶ位の楽曲だから、後に『映像の乃木坂46』と言われる様になった原点のMVの作成をしようという事になった。
この時点から映像で見せるものは、少し実験的な創作ドラマであり、結成時点で「演技に力を入れると」と言っていた事を実現する。
1.成り立ち
1).『超能力研究部の3人』
2014年12月6日公開の日本の映画。
監督が「撮影は2013年の活動の合間で、春休みとか夏休みとか飛び飛びだった」と言っている。
主演は、乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未。監督は山下敦弘。大橋裕之の漫画『シティライツ』(講談社モーニングKC)を原作としたフィクション部分と、その映画撮影のメイキング映像が1つになった作品だが、メイキングパートは、フェイクドキュメンタリー(ドキュメンタリー風に撮影したフィクション)である。
『女子高生たちを演じる3人のアイドルが女優として初めて挑んだ映画の現場で苦悩し、成長していく過程を、メイキング風のフェイクドキュメンタリーとして描いた。』
つまり、ドラマはあくまで舞台装置であり、成長物語のドキュメンタリーこそが見せたい主題。
乃木坂46そのものと一緒で、アイドルは舞台装置であり、その中で苦悩しながら成長していく過程そのものがメインコンテンツであることと同じ。
後日『悲しみの忘れ方』と言う映画が製作されたが、この映画の発展形だろう。
秋元康の直感は素晴らしい。
2).乃木坂46秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未が語る「超能力研究部の3人」主演の戸惑い
2014年12月5日 10:00
前記秋元の地元ヤンキーとの喧嘩シーンとか、下記の生田と秋元の喧嘩シーンとか、乃木坂46内では絶対やらないシチュエーション。
秋元真夏が「くそげぼやろう」と言うセリフを言う事に対して、マネージャー(役者)が上司に確認取ると言っていたのが、凄く笑ってしまった。
アイドルが言ってはいけない言葉を暗に設定されているという「思い込み」自体を皮肉っているのだろう。( 笑)
秋元真夏も頑張ってやってOKもらって満足げな顔を見せていた。橋本が拍手している傍で生ちゃんが意外な顔を見せている。
秋元真夏は、「4thシングル 制服のマネキン」から加入したので未だ橋本や生田となじんでいないのが少し透かして見える。
運営か秋元康がわざと真夏を選んだんじゃないかと思ってしまうのは、下衆の勘ぐりですかね。
生田絵梨花が思いを寄せる「役名竹田孝一を演じる葉山奨之」に告白するが振られてしまう。その武田は、秋元真夏に告白して付き合う事になる。
その後、秋元真夏がキスシーンを撮るという事を大マネージャー舟木(役者)が反対するというシナリオにしていて、制作陣ともめるのだが、芸能界のマネージャーってヤクザだな~~と思う様なキャラになっていて笑った。これも思い込みを利用している。
脚本家は、アイドルと言うものは、商品としてキスシーンすら出来ないという事を強調して、まともなドラマや映画の世界にアイドルは出演できないとでも言いたいのだろうか??
秋元真夏が、舟木を説得するシーンで、
「今女優で現場に来ているのだから、演技でキスシーンはやるべきだ」
と言って、OKが出た。
真夏のファンがスタッフに紛れ込んでいるというおまけまであって、バラエティーの放送作家が紛れ込んでいるのかと思った。
何のシーンだったんだろうか?
インタビュアーが、撮影の感想とかを聞いた。
生田:監督のイメージに応えられているかが不安。
インタビュアー:スーパーのシーン(※)で芝居が上手く行ってスタッフが拍手されていたが、生田さんは腑に落ちない顔をしていたのでそれを聞こうとおもって。
※ちなみに、そのスーパーのシーンはこの映画に入っていない。
生田:はじめに出来なかったけれど、監督の指導でできて成長したのが見せられればいい事なんだろう(真夏の事)。
私の場合、出来ていない訳でもなく、上手く出来ているわけでもない、中途半端な状況で、成長が見えないまま手ごたえも無くずるずる進んでいる気がする。
インタビュアー:生田さんどうしてそんなに更に頑張るの?一番頑張っているじゃないですか。
生田:自分だけ頑張っているわけでは無い。
インタビュアー:頑張っているというより「がまんしている」様にみえる。
生田:無言・・・・
(このあたりから怪しくなってくる。涙・・)
インタビュアー:これを使うとは関係なく、生田さんの感じている本音を聞いてみたい。(インタビュアーの悪い癖、仮面を剝がしたい?)
インタビュアー:監督が言っていた事を言うと、芝居は生田さんが一番うまい。その分つまらないと言っていた。
生田:それはよくわかる。何やってもそこそこできるのだけれど、その分面白みに欠けるのは自覚している。
(この時点でボロボロ泣いて、感情が噴出している。)
自分は出来たんだ。ご苦労さん。と言うのが多くて。
何もできていない娘の方が人の感情を激しく動かすのを見ていて・・
2013年生田絵梨花16才か17才で、自分を客観的に見ている視点「メタ認知」の視点を持っているのが凄いと思うわ。
【筆者の感想】
誰よりも負けず嫌いな生田絵梨花らしい葛藤をインタビューで引き出されてしまったのは、結構追い詰められ対処できない混乱がそうさせてしまった。
他のメンバーより少しは演技を経験しているから、演技では多少の自信があったのに、砕かれてしまったという事なんだろう。
こういう(陰キャで超能力オタク女子という病んでいる)キャラは自分の中には無いと言っていた。漫画の世界には多いのかもしれないが、幼少時から漫画も読まない生田絵梨花には想像もつかないだろう。
今では絶対見せない貴重な姿だろう。
筆者からすると、演技を初めてから大した時間が経っていないこの段階で「冷静に自分を俯瞰して観られている」事の方が凄いと思うけれどね。
きっと、秋元真夏だけでなく他のメンバー、例えば西野七瀬とかに対するオタクからの人気を感じているのかもしれない。
今までのクラシックピアノの評価基準とか価値観とかを覆される瞬間なんだな。芸能界は、スキルではなく人の情感を動かしてなんぼという事を学んだ貴重な瞬間を垣間見た。
「超能力研究部の3人」に選抜したのが秋元康なのか?運営委員長の村松俊亮氏の意向なのか?
生田絵梨花と言う女優?音楽家?にとってのターニングポイントになった事は明らかである。
武蔵野美術大学の先輩との会話で、橋本奈々未が思わず本音を漏らす。
「乃木坂46に居ても、漠然と不安。」
そもそもアイドルは続けられないし、アイドルと言う仕事が積み上げるキャリアではないので次の仕事につながらない。
そういう先の人生への不安だろう。
アイドルと言う仕事で得れる最大のものは認知度だけだけど、この時点で「乃木坂46」は有名でもないので、尚更将来の不安は大きいだろう。
卒業後の芸能事務所乃木坂LLC所属とか出来たのは2018年以降だからね。
この映画では、そんな事すらあからさまにされる。
この3人に高い演技力があったら成り立たない映画です。
生田絵梨花にとって、後日卒業を言い出す程の苦悩の始まりとなった。
2.映画製作のもう一つの目的
この映画は、乃木坂46メンバーから女優を輩出する為に作られた映画という側面もある。
■ 映画について気付いた事をランダムに書きます
◎予算が無いのか?まともなセットを使えず、(専門用語は判りませんが)稽古用の仮の質素なセットで本番撮影している様だ。
◎乃木オタ以外の顧客を全く想定していない。
◎秋元康総合プロデューサーが最初の頃から言っていた、
『演劇を目指すアイドル』の第2弾ともいえる。
「16人のプリンシパル」2012年09月01~09日までの全9公演
1部がオーデション、2部がミュージカル
◎『君の名は希望』が2013年3月13日発売なので、MVは1月中旬~2月中旬で撮影していると思われる。
◎一番のキラーコンテンツは、メンバーが追い詰めらながら成長していく様。
■ 気になった場面を紹介します。
配役:
山崎良子 - 秋元真夏
村田育子 - 生田絵梨花
小暮あずみ - 橋本奈々未
山下監督によるダメだしが沢山映っており、演技指導そのものがメインコンテンツ。
■ 生田絵梨花はこの映画で、女優として何かを掴んだ。
■これが、目的だったのかと思う位にこのシーンは際立っていた。
真夏の母親がやっている「スナック」でのシーンで、例によって真夏が山下監督に詰められているんだけれど、その傍らで生田絵梨花が台本に書き込んでいるのが印象的である。
山下監督が生田のプランを全否定。
「育子、違うな」「全体的に中途半端になっている」「考えすぎている事が全部裏目に出ている」「つまんなくなっている」
真夏:「監督が言っているのは、役に入り込むという事だと思うんだ」「生ちゃんなら役に入り込む事は全然出来るでしょう」
これ、山下監督が真夏に言わせたのか?疑惑。
生田絵梨花にとって、ド素人の真夏より演技の経験は多く、役に入り込む事自体は十分にわかっているし出来ているが、育子の役作りが出来なくそれが葛藤の元。
生田は、高いプライドを刺激されている状態。
生田:激高する!
「真夏に言われたくないよ」「なんで言われなきゃいけないの!」「こっちは必死になって考えてんの!」「あんた、何もかんがえてないじゃん」
「こっちは、こんなに考えてやっているのに、そんな軽く言うの?」
「なんでよ~」「私、いつも、なんでよ~~」
■ 生田にとって、正にこの場面が大きなターニングポイントだったと思う。
優等生が一生懸命考えてやっても、ド素人の真夏が監督にのせられてちょいとやってOK出る事に不条理を感じている。
乃木坂の現場でも同様な事をいつも感じていたと思う。
生田の人生を全否定された気分だわな。
「考えすぎだ」と監督の言っていた意味をまだ理解できていないのだろうと思う。
この映画に限らす、アイドルは愛嬌だから、
『上手くやる事ではなく拙いド素人がほんのちょっと成長する様を魅せる』
という事を理解できていない。
アイドルは、顧客の「守ってやりたい」というヒロイズムを掻き立てる事が狙い。
しかも、生田の今までのストイックな人生と全く真逆の人生観だから、受け入れられないわ。
生田絵梨花は、「この役は自分の中に何もない」と言っていて、確かに陰キャのオタク役は彼女の中には無いだろう。
何より生田絵梨花は、今まで激高する様な女子では無かった。
しかし、生田絵梨花だから山下監督が追い込んでこの状況を生み出した。
このシーンの迫力があって、次からの友情の緩和やUFOを呼ぶシーンなんかが存在を保証された。
生田絵梨花のすごい処は、これで何かを掴んだ。
後日、真夏と凄く仲が良くなってしまうのだが、生田の執拗なアプローチによるところが大きい。
この後、2014年初旬にアイドルになり切れない自分を見つけて、辞める事を言い出したのだが、引き留められた。
その時運営が提示した条件は、生田の理解では、
ミュージカル舞台に挑戦する為の本来のストイックな生田絵梨花と、アイドルを遊び感覚で「愛嬌で可愛く・フルの実力を出さないで」と言う二つの人格が別に存在する。
ここが、多重人格の始まり。その後、10人格まで作り上げた?
★映画に戻ると、
あんなことあった翌日は「休撮日」
3人と盛岡さんと4人で遠くにお昼食べに行く
次のシーンあたりから、生田絵梨花が陰キャのオタクキャラを少し表現し始めていたな。
ちなみに、この映画に今話題の伊藤沙莉がいたわ
この映画以降、いかにもアイドルらしい内容のモノしか創作していない。
こういうコンテンツを本格的に続けていたら、乃木坂46の顧客層は違っていたと思うのですがね。
今からでも遅くないから、現メンバーを使って「フェイクドキュメンタリードラマ」を製作して欲しい。
続く
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