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草創期 1(小児癌と向き合う家族の記録)

草創
我が家の次男坊
そうちゃんの名前はこの言葉からいただいた

自然にまつわる漢字を使いたくて
あれこれ考え
名もない花や抜いても抜いても
たくましく生えてくる雑草が好きだったので
草という漢字にたどり着いた
草のつく漢字を検索すると無限に出てくる中目に止まった爽やかな字面

物事の新しい始まりを意味する
神社仏閣の再建時にこの言葉が使われる
たしかそんな意味合いだった
モノ作りを生業としている夫の家業もあり
創るという漢字も良かった 

山で子育てしよう
そうちゃんがおなかの中にいた頃
決意したので
物事の新しい始まりという意味合いが
ピッタリだった

あまり関係ないけど
元々お寺の静けさが好きな私は
神社仏閣にまつわる漢字
その漢字の並びから見える清々しさ
ただそれだけでも決まりだった

そうちゃんが生まれてからすぐには
移住できず
もうすぐ2歳になるという頃に
家族4人と猫一匹で移住した

移住後の生活はすこぶる忙しかった
慣れない古民家暮らしと
まだ手のかかるやんちゃ坊主二人

職場が遠くなった夫は朝早く夜遅い
わかっちゃいたけど慣れない山暮らしで
ワンオペはキツい

面倒くさいことが好きな性分なので
山暮らしは肌に合っていた
ただ、許容範囲を超えていたのは事実

自分達で決めて移住したのに
初めから泣き言もたくさん、情けない
でも仲間がいたので大変ながらも
楽しめたのが救いだった

そんなこんなで慌ただしく日々は過ぎ
古民家をリフォームし
こどもたちはこども園に通い始め
私はお仕事を始め、山の四季を体験し、
よし、2年目は応用編

いつのまにか空を見ればお天気がよめて
洗濯物の取り込むタイミングがわかってきた

薪集めに苦労したけど
今年は薪棚もなんとか完成
薪もドッサリ準備万端!
とはいえ古民家はすきま風だらけ
こども達が破いた障子に
こども達の絵を貼り付けて応急処置

まだ建具がついてない場所は
プチプチで塞いだりこんな一時凌ぎな生活がいつまで続くのかな、、
なんて思いながらもジワジワと迫ってくる
寒い冬はもうすぐそこ

とりあえず今年も凌ぐだけ、
また来年がんばろう
なんとなく、やっとのことで
生活リズムが回り始めた矢先のできごと

そうちゃんが

頭が痛いー!

と言った

え、、?こどもの頭痛って??

初めはメンタルからきてるかなーと思った
前から時々足を痛がることもあった
様子を見てると、数分後にはケロッとして
遊んでいる

だからさほど気にならなかった
けれど、念の為こども園には伝えておいた
10月に入ってから
平均体温がいつもより低いのも気になった

いつ頃からだったのか定かではない
でも日増しに目立って訴えてくるのは
明らかだった
園の先生もいつもと違う様子を心配してくれそれをきっかけに病院へ向かった

様子をみましょう、
案の定そう言われ家に帰る
後日、頭痛を訴える回数があまりに多く
伏せたままうずくまる息子

やっぱり様子がおかしい
夜間救急に何度か電話
どう対処するべきか相談した

早朝、2回目の救急外来でCTを撮った
まだそうちゃんが赤ちゃんの時に
別の事で一度受診したことがある
その時と同じ先生だった

レントゲン写真を見て

お母さん
よく救急で来てくださった
すぐに入院しましょうと言われた

このフレーズが頭に焼きついている

頭が真っ白にはならなかった
夜、何回も電話して良かった

判断力のなくなった私の代わりに
朝病院に電話してくれた夫にも感謝した

これで毎日頭を痛がる息子を
夜一人で心配しなくて良いのだ
不安な日々は終わるのだ
治るのだ
そう思った


2021.4.22 

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