見出し画像

終わりの始まり

草創期を書き始めたのが5月頃
最後の治療に入る前だった

自分の書けるタイミングで、過去と現在を同時に書きたいように書いていったので、時系列通りになっていなかったものを並べ替えながら投稿した

少しずつ書きながら、いつ載せようか迷って迷って最後まで書き溜めてしまった

このまま自分用に保存しておくこともできる

けれど載せたい気持ちがある

病院で付き添い過ごした9ヶ月間は
あまりに独特で非現実的だった

病棟のワンフロアだけで過ごす毎日
治療中ベッドから出られない息子と過ごす
長い長い時間
夜中、痛みや寂しさで泣き出す子供たちの声

私と息子が共に病院で過ごした時間は
退院を迎え私にとってかけがえのないものになり、この現実が家族の1ページになった

書いたものを誰かに見て頂くことで病棟での日々を報いたい気持ちなのかもしれない


抗がん剤治療について否定的な意見に対峙することがある

抗がん剤そのものがよくないというご意見だ

私も初めはそうだった 

自分が癌になったらやらないと思う

でも息子の命となると違うのだ

小児がん患児の親はこどもの命を
なんとしても救いたいと思う

どちらを選んでもリスクはある
治療を受けても助かる保障はないのも
情報として知っている

抗がん剤治療は辛い、それでもそこにしか
希望が生まれなければその道を選ぶしかない

だからせめて決断した人が頑張れるように
その選択で大丈夫
共に良い道を探していこうと
個人の意見に寄り添える社会であってほしい

医療の裏側や、からくり的な情報を知ると
とても嫌な気分になったけれど、息子の治療に携わってくれた方々は裏事情などとは無縁でいつも最善を尽くしてくださった

否定からはなにも生まれない

攻撃してもなにも生まれない

私自身、医療や現代の食文化に対して
否定的だった
でもそれは違うとようやく気づいた

医療の恩恵も自然界の恩恵も
両方ありがたくて尊いものだ

悲しみ傷つく人が増えないように
発言は優しくありたい

感謝して生きていかなくてはと思う

でも、もし抗がん剤治療をしなくても
小児がんの子どもたちを救う方法があるならその未来が早く来てほしいと願う

私の息子は抗がん剤治療を受け
様々な苦痛に耐えて命が繋がった

もしあの時治療を拒んだら今頃息子や
私達家族はどこでなにをしていただろうか

民間療法や食養生で前向きに成果を出せているだろうか

元気に暮らしているだろうか
それは誰にもわからない

治療が終わったら治る病気ではない
治療の影響で生じる後遺障害と
向き合わなければならない

それを知って治療に踏み切った

そんな私達にできることは
抗がん剤の恐さを伝えることではない

どんな状況下でも
それぞれの生き方を尊重し応援していく

頂いた命、終わりは誰にでもやってくる
あとは運命に身を任せて
日々を明るく過ごしていくだけだ



草創期
物事の新しい始まり

今がその時期なのだと思う

そうちゃんの病気がきっかけで
気づきをたくさん与えてもらった

物事の新しい始まりを家族で作っていく

今は自邸の古民家を改修している
また家族で暮らせるように
この際だから、がっつり作業している

寒くなる前には戻りたい
山暮らしはやることがいっぱいある
戻ってちゃんとやっていけるかな

だいぶ鈍ってしまった身体
寒さに耐えられますように
とくにそうちゃん、風邪をひきませんように

戻ったら仕事復帰もあるし忙しくなるから
その前に書きたいだけ書いておこう
息子のことを赤裸々に書いたのだから
この際私のことも書かなくてはと思っている

書く作業は楽しい
頭の中が整理されて気持ち良い

幼い息子達がくれた時間
介護休暇と自宅療養がなければこうして
整理することもできなかっただろう

何事にも協力的な夫にも感謝している
長く居候させてもらっている実家にも
お休みを頂いている職場にも深く感謝している

それぞれの立場で苦しい状況が続いたけれどみんなたくさん乗り越えてくれてありがとう
これからも親族含め家族全員で生きていく

そんな家族の中でも一番感情が忙しい
母である私に起きた自分史上人生最大の危機のお話
主人公はそうちゃんなのだけど

みんなを繋いでくれて本当にありがとう

.
.
.
.
.
.

長々と読んでくださった方がもしいたら
拙い文章にお付き合いくださり
感謝申し上げます。

絶望の中にいてもきれいなものに出合う瞬間がたくさんありました。

それは人物や風景など
目に見えるものだったり、感情や空気など
目に見えないものだったり。

絶望の中にいたからこそ出合えた美しさなのかもしれません。

きっと生きていれば誰しもが幾度か体験したことがあるだろう、苦しみの先の歓びに満ちる瞬間。

人生は素晴らしいと感じる瞬間。

愛する息子の闘病生活の中に
素晴らしい景色を見たと言ったら
叱られてしまうでしょうか。

憎きがん細胞に勝つために過ごした日々を
私はずっと忘れません。

私なりにその瞬間を書き留めておきたくて
言葉を当てはめるような作業でした。

息子の癌との付き合いは
これからも家族と共に続いていきます。

彼の人生がきれいなもので溢れますように。
良き理解者に出会えますように。

コロナやSDGSがきっかけで世の中が変わろうとしています。
ありのままの自分を隠さずに生きていける
世の中になっています。

何事にも恐れず前を向いて
目の前の人と誠実に対話できる人に
なってくれたらいいなと思います。

ですがこれは親である私の願望にすぎません。

彼らの思う通りに生きていってくれたら
それでいいよ

行き着くところはきっと
どの親も同じなのかもしれません。

また書きたいことが溢れてきたので
別のお話も書いてみようと思います。

草創期
どうもありがとうございました。

2021.9.5


#小児がん
#小児小脳腫瘍
#髄芽腫
#大量化学療法
#闘病記録
#癌患児家族
#癌と共に生きる
#自然思考

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?