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ラスボス退治後半戦

最後の治療、大量化学療法

その名の通り大量の投薬をしたのだと思う
けど比べる対象がないので実際のところ
なにがどのくらい多いのかよくわからない
(聞いたところで私ではよくわからない)

抗がん剤投与の後も抗生剤や輸血など
複数の点滴が毎日続く
それを初回から4クール終えて今回が最後
今までで1番頻回な気がする

トータルで身体に入った薬や輸血の数は
いちいちカウントしていないけれど
さっと思い返しただけでも
結構な量だと容易に想像できる

加えて医療麻薬も定期的に身体に入っていく

息子の身体の中で起きている事が
想像を超える

実際そんなこと考える余裕などなく
副作用をいかに軽減できるかを
模索しながら対処療法に追われ 
日々が過ぎていった

これをすれば副作用は出ないという
明確なものは無く
ほんの少しラクになるとかその程度

痛いものは痛いし
吐き気も下痢も無限ループ状態

医療麻薬も使い過ぎれば吐き気に繋がる
使わなければ激痛に耐えるには
計り知れない時間と戦わなければならない

もう早く終わりたい
その気持ちは本人よりも
私のほうが強かったと思う

そうちゃんはまだ各予測がたたない分
自分に無駄な不安を煽ることもない
ひたすら耐えるのみ

私はといえば毎日カレンダーや
治療スケジュール、過去のデータと
にらめっこして、この日くらいには
良くなってくるんじゃないかとか
脳内も常に忙しいので余計に疲れるのだろう

最終的には血球があがらなければ
回復しないのであれこれ予測することに
疲れ、もう終わりたい連れて帰りたいと
思うようになる

よくなる兆しは
私がジタバタしてもしなくても
その通りにやってきて、少しずつ少しずつ
痛みも吐き気も下痢も回数が減っていった

起き上がる時間も少しずつ長くなり
毎回大変な思いをして入浴した
ベビーバス沐浴は日ごとに楽になっていった

それに伴って意欲も少しずつ出てきた
大好きな粘土遊びは
もっぱら私が作る専門だったけれど
作っている様子を見ながら楽しんでいる

なるべくそうちゃんの意見を取り入れたくて何色で作るか、何を作るか、何個作るか、
毎回聞いた(最後は二人してちょっと飽きた)

始めの頃はいろいろ作ったけれど
次第にメロンパンとコッペパンに落ち着いた

色を混ぜて捏ねる作業は手伝ってくれた。
マーブル模様にしたり大きさもいろいろ
カラフルなパンがたくさんたくさん
たーくさん!!できた

それを毎日握って眠るそうちゃん
枕元に並べて嬉しそう

寝る前は本を読んで、電気を消して
きらきら星、twinkle twinkle
アンパンマンの歌を唄うのが
ルーティーンになった

ラミナ越しでも初めだけ手を繋いで眠る

副作用が少なくなってきてからは
そんな穏やかな日々があった

ネックになったのは食事と歩行
完全に食べない日が一ヶ月続いた
背中の肉と足の肉がおちて
ホッソリしてしまった

味覚障害が出ることは事前に聞いていた
なにを食べても不味いらしい
そうちゃんは苦いと言うことが多かった
(4才なので表現が浅いのもある)

お茶も飲めないので
高カロリーの点滴に頼って過ごしていた

血球があがってラミナがとれ
まもなく大部屋に移動したけれど
まだ食べれない

そろそろ体重が13キロ切ってしまう
その前に食べれなければチューブを入れますと言われてしまった

それは嫌だな、、と思った矢先、
食べてくれたのだからそうちゃん、、
状況よくわかってるね、本当感謝!

初めに食べられたのは
いりたまごにケチャップをかけたものだった
それは毎回出せないと言うので
試行錯誤しながら辿り着いたのは
ケチャップごはんとケチャップソーセージ
あれだけ大好きだった
ポテトや焼きおにぎりはダメだった

酸っぱくて甘いケチャップがそうちゃんには食べやすい味だったようだ
ごはんにケチャップを三杯かけて
混ぜて食べる、ケチャップの量すごい。。
味見すると、、濃、、濃い!!

でもそうちゃんはこのくらいじゃないと
食べれないらしい
大量化学療法恐るべし

この治療、二度目は無いな

もうコリゴリだ
あまりにも壮絶すぎる

思わずその場にいた先生に伝えた
先生もウンウンと頷いてくれた

医療よ、ここまで進歩してくれたのだから
痛み苦しみが少ない治療まで
この先もどうか進歩しておくれ

2021.8.29


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