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草創期 6(小児がんと向き合う家族の記録)

治療が始まりしばらくは
自邸の古民家から通った
なるべく今までの生活リズムを
崩さないように
夫と長男へ私から提案した

家族のリズムが崩れて
バラバラになるのを防ぎたかった

治療はスケジュール通りに始まった

そうちゃんの身体に合わせて
数回の手術が行われ
抗がん剤を数日間投与
血球が下がるので必要な量の輸血や抗生剤、
副作用に合わせた吐き気止めなどの点滴が続く

抗がん剤も点滴なので副作用が出るまで
抗がん剤治療をしている実感は殆ど無い

なにしろ初めてのことばかりなので
状況把握するだけで精一杯

流れるままに抗がん剤治療が始まり
ただただ見守るしかなかった

それよりも入院で感じるストレスの方が辛く
本人はもちろんのこと看護する私達にもあった

同時にたくさんの書類事や申請を
しなければいけなかったのも辛かった

小児慢性特定疾患という名前がついたときの
絶望感にも近い悲しさ

本人も辛いけれど看病する側も相当キツイ

それでも毎日お見舞いに行った

それが段々と苦痛になってきた頃が
一番辛かった

我が子が入院しているのに病室へ行くのが
億劫で駐車場で泣いたりもした

病室へ行けばそうちゃんのストレスが
200%こちらに飛んでくる

看護士さん達の前では
温厚なそうちゃんだそうだ

当たる場所が親の私達にしかないのだろう

わかってる 仕方ない

そんな日々が続き疲労困憊

病棟に入るたびに生気は吸い取られ
息子を看護する意欲は失われた

副作用でぐったりしているそうちゃんの横で
今のうちに自分も休憩などと思いうたた寝をし、

ただただスマホで情報を漁り
気分転換に病棟の漫画を借りて見たりしていた

おいおい あんた親だろう

何も知らない私だったらそう思うダメ親な姿

でもそうならざるを得なかった

なぜスマホばかりさわるのか、
うん、私も辛いから、息抜きしたいの。
自分を保っていたいの、どこにも行けないからそうするしかないの。

当時の私ならこう答えるだろう

心が追いつかないまま
向き合わなければならない辛い現実
親として気丈に振る舞うことができない
未熟な私は人として壊れてしまいそうだった

悪い夢を見ているような気がして
夢ならさめてほしかった

朝も起きれなくなり
ごはんを作るのもしんどい

スーパーのお惣菜に頼る日々が続いた

長男も育ち盛り、これはマズイ、と思い
ごはんは近所の友人に
差し入れのお願いをした

これがありがたくて、、本当に感謝しかない

この頃の私達家族の胃袋は
友人たちに支えてもらった

本当に改めて感謝している、
どうもありがとう。ありがとう。

2021.5.2


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