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草創期 13(小児がんと向き合う家族の記録)

2クール目が始まった頃から
介護休暇を使い付き添い介護の日々

一度目の治療の反省を教訓に
やるべきことを二人三脚で頑張る日々

口腔ケアは必須で歯磨き、うがい薬、
保湿を徹底した
それでも治療が始まりしばらくすると
口内炎ができる

口が痛いのでごはんが食べられない
ゼリーやプリンをシリンジ
(注射器のようなもの)で1時間かけて食べる

そんな日々が続いて途方に暮れ始める頃
少しずつまとまって食べられるようになってくる

幸いおなかには副作用がでなかったので
下痢で苦しむことはほぼなかった
(最後の治療では苦しむことになったのだか)

髪の毛はいつのまにかたくさん抜けて
一度目の治療でほとんどなくなっていたが
まつ毛や眉毛もなくなってきたので
少し病的に見えやすい顔になってしまった

治療中はベッド生活が多い上に
身体を動かす機会がなく意欲も低下するため
あっというまに体力は落ちていく

子供なので回復は早い
けれど大人と違って聞き分けはできない
嫌なものは全力で嫌がる
ごはんも薬も歯磨きも毎回一苦労だ
でも少しずつ学んでくれ、入院生活の後半はルーティーンは確立されていた
成長も感じる日々

血球が下がるとラミナという
大きな空気清浄機のようなものが
ベッドにつけられる
その間はトイレやお風呂以外は
ベッドから出られない

幸いそうちゃんはベッドから出たがる子ではなかったので助かった面もある
ベッドでできる遊びをあれこれ考え
始めの頃はおもちゃでベッド周りがあふれた

次第にプラバン作り、ゲーム、粘土遊びなど固定の遊びに落ち着いた

なかでも長い入院生活のお供になった
タブレットはそうちゃんや家族にとって
強い味方になってくれた

初めは早いのではないかと迷ったけれど
治療中、いろんな制限がある中で唯一自分の思い通りに操れるアイテムなのではという、ありがたい助言の後押しもあり渡してみた

始めはわけわからず一緒にやっでいたけれどしばらくすると一人であっという間に
使いこなしている3才児、恐るべし

おかげで入院生活の退屈しのぎになった
入院仕立ての頃はどの子もゲームや
タブレットに没頭している姿を見て
軽くショックを受けたが、案外持たせて
良かったと思う

役に立つアプリも多いし
地震や火事の時はどうしたら良いか
病院はどんなことをするところなのかなど
いつのまにかアプリで学んでくれていた

兄むくにもタブレットを持たせてみたけれど
こちらもわかりやすく没頭している
実家にお世話になっているので
通園に1時間以上かかる車の中では
必須アイテムになった

でももっと他のことに興味を持って
もらいたいお年頃でもある
車から眺める移り変わる景色を見たり
大部屋の子とのお喋りなど
タブレットがなくても二人とも過ごせるはず

画面に向かっている時間を
子供らしく遊ぶことに費やせたら
どんなに良かっただろう
他の物に興味がいきづらくなったり
しないだろうか

けれどこの時期はこれが最適で
なにより子どもたちは
テレビやタブレットが好きだった

テレビ=悪だった私の価値観は
ガラガラと崩れたが
代わりに便利アイテムとして見れるように
なったことは良いことだと思っている

求めていた生活や子育てとは
真逆に行くしかない状況になり
自分を見つめ直す良い機会になった  

子は親を映す鏡だというが正にその通り
子どもたちは良い顔をしていただろうか
私は満たされていたのだろうか
私が求めていた自然と寄り添う生活は
どこか偏りがちだったのかもしれない
幸せになるために移住をしたのに
大変なことがいっぱいで
見失いかけていた大切なことが
たくさんあったのだと思う

時間は戻せないけれど
ここからまた始めれば良い
またスタートラインに立っている
いつだって進んでいる感じがしない
いつだって始めからが私の人生なんだな、、

ぼやきでこの回はおしまい

2021.7.20

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