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草創期 14(小児がんと向き合う家族の記録)

4泊の一時退院があっというまに終わり
バタバタと病棟へ戻る2月の2週目

治療の3クール目は
1、2回目より薬の量が減り
毎日頑張った口内炎予防で
副作用も軽減された

病院生活も慣れてきたのか
楽しみを見つけながら頑張っている
そうちゃん

プレイルームでお兄ちゃんたちが
やっているマリオカートゲームを見て
そうちゃんもやりたい様子
隣りで真似っ子してやってみたりした

他の子とあまり関わろうとしない
そうちゃんだったけど
少しずつ周りを見ながら動いている

でもやっぱりシャイかな
当時みんながこぞってやっていたプラバンは
そうちゃんもハマって毎日一つずつ
たくさん作った
ポケモンのキャラクターが多かったね

一連の流れがわかり
ようやくリズムが出来てきた頃には
もう春がすぐそこまでやってきていた

本来ならこの寒い冬を
山の隙間風だらけの古民家で
ヒシヒシと耐えながら暮らしていたはず

人生何が起こるかわからない
まさかこの冬を病院で過ごすなんて
思いもしなかった

私とそうちゃんは空調設備バッチリの病棟で外気とは無縁の生活を送り
夫と兄むくは私の実家から
片道1時間半かけてこども園へ行く

その後病院へ洗濯物とお弁当を届けてくれ
1時間ちょっとかけて職場へ行く
それを毎日往復なのだから大変だったと思う



治療4クール目に入る前
まさかの風邪をひかせてしまった

一時退院中寒い中公園へ連れ出してしまい
兄むくが発熱
そうちゃんや私達もうつってしまった

コロナが流行ったこの年
連れ出すところも限られていたとはいえ
なんて危機感のない家族なんだろう、、
とても反省した

つかの間の一時退院
少しでも楽しんでほしい気持ちからだった

病院へ行くなり病棟への入室前に
トンボ帰りすることになる

先生方は優しくて怒らないでくれたけれど
それが余計に申し訳なく感じた
そうちゃんにとってはラッキーだったねと
茶目っ気混じりにフォローしてくださった
師長さんにはただただ感謝しかない

一週間後病院へ戻りすぐに治療が始まる
もう3月の後半に差し掛かっていた

前回までの反省を踏まえて
徹底的にケアしていく
その甲斐あって副作用は
今回も最小限に済んだ

そうちゃんも学習してくれて
飲み薬や歯磨きに協力的になってくれたのはありがたかった

時間はかかるけど
話せば聞き入れてくれるようになったのは
彼自身の成長に伴ってのことだったし
病院で過ごすことのメリットも
あったように思う

けれど血球はなかなか上がらず
ラミナがとれるのに時間がかかった

血球があがらなければ気軽に出歩けないので足腰は日ごと弱っていった

ベッドの上でできるリハビリなどを
促してみるけれど
本人のやる気やタイミングもあるので
満足にはできずにいた

言語発達、作業療法、理学療法のリハビリは
長期フォローアップの一部として
様子を見ながらゆるやかに始まった

初めましての時は
緊張していた様子だったけれど
ベテラン職員さん達の素晴らしい働きかけのおかげで毎回楽しみに
待ち侘びるようになった

病棟から出るきっかけになる歯科検診や
耳鼻科、CTなども喜んで行っていた

エレベーターに乗れる、少しお散歩できる、車椅子に乗れる、などささやかな事を
心待ちにしていたのだから
普通に考えたら泣けてきてしまうのだが
その当時は本当にそれが楽しみだったのだから私も心底喜んだ

病棟の楽しみといえばごはんなのだが
そうちゃんの偏食は相当のもので毎日三食、焼きおにぎり、ソーセージ、ポテトだった
オール冷凍食品。。

よくもまあ飽きずに食べる、食べる、、
いろんなものに目移りしないのは良いけれど行き過ぎも如何なものか。。冷食だし。。

野菜摂取は永遠のテーマになりそうだ
がんばれそうちゃん
母も父もやれるだけのことはやっているぞい

この期間、病棟工事のため
病棟丸ごと大移動があった

最後の治療に向けて
個室を用意してくださったのは
ありがたかった

夜間付き添いも簡易ベッドではなく
マットレスで寝られるありがたさ
窓からの眺めも良し、そして静か

大部屋だとそれなりのストレスはある
プライバシーはほとんど無いし
同室の子供が治療の副作用で
寝れなかったりすると
こちらもなかなか眠れない

夜間付き添いは自由なので
帰る人のほうが多かったけれど
私は側にいるほうが
副作用の対処が良くできるので
結果そうちゃんも治りが早くなる→早く帰れる、に繋がる気がして
付き添ったほうがラクだった
これは人それぞれだと思う

2021.8.8

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