午前三時、化粧を落とす

時間は有限だ。
どんなに時を止めたいと思っても無情に進んでしまう。自分にとって有意義な時間の使い方をして死に絶えたい。そう感じるようになったのは何時頃からだったか、最早思い出せない。
例えば美味しいものを食べたり、ゲームで勝ったり、そんな事でも構わない。
ただ、普通に暮らしたい。やりたいことをやって、笑って、時々悲しくなって、そんな日もあったね、と思い出に浸りたい。
それがどれだけ難しくて、どれだけ大切な事なのか、私は知っている。
明日の食事の為に不安を感じたり、明日誰かを殺そうかと悩む、切迫した心がどれだけ苦しいか、私は知っている。

こんな私でも、今日を生きながらえている。
そして、こんな私を、誰かが必要としてくれている。

だから今日も頑張った。
だから明日も頑張ろう。

やっと、一通りの事を終えて化粧を落とす午前三時。
気が付くと誕生日が終わっていた。

私ももうすぐ母が死んだ年になる。

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