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創作『シャン』#1

この平和な街には、ドロドロとした商売をしている者がいるという。それはそれは血生臭い、ということもなく、精神をボロボロにするという意味では、さほど表現に差異はないとも言える。

それを聞いたのは友人からだった。
「この市内には、悪を成敗する代わりにお金をもらう奴がいるって。」
ふと、言い出した友人を凝視した。
「え?急に?」
「急なんかじゃないよ。あんた、困ってるっていったじゃん。」
まあ確かに、困りごとはある。高校生だからね。若い子どもにはたくさんあるでしょうよ。
「お母さんがグチグチうるさいとか。」
次の言葉を悲しげに言う。
「いじめとか。」
…。
「あんたの友達のクラスで、いじめがあるって。さらって言ってたけどさ、実は相当心配してるの知ってるよ。」
「あの子は、まだ標的にされてない。」
だが、時間の問題だと思っていた。いじめっ子たちは片っ端に物静かに暮らしている子たちを襲うのだ。
あの子…さくらも静かに事を荒立てない性格の子なのだ。狙われてもおかしくない。
「…ちょっと昼休みになったら確認してくる。」
そういうと
「いつもお疲れ。」心配するような憐れむような顔をして、肩を叩かれた。

昼休み。
「さくら…?」
クラスにいなかった。そうすると教室内からすぐに駆け寄ってきた人がいた。
「さっ、さくらさん、姫香さんたちに連れられてって…」
すぐに嫌な予感がした。教えてくれた子から場所を聞いてすぐに向かった。姫香さんというのは、いじめっ子のリーダーだ。

パシン!!
「なんとかいえよ!!!!」
姫香さんだと分かる声がした。ここは先生も生徒もほとんど通らない角の教室だった。そこにさくらはいた。

「うるさいよ。早く要件済ませてくれない?」さくらの声。
急いで見に来ると、数人に抑えられているさくらがいた。片頬は少々赤くなっているようだ。
「だ、大丈夫か!!」思わず駆け寄った。
ふんっといい、姫香さんたちは去っていった。
そうすると、さくらはうつむいた。そして、逃げるように走り出していった。
「な、、、、」なんで…?逃げるの。
悲しい気持ちで一杯になった気持ちのままその日を終えた。

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「おにーさん。悲しい顔をしてるね!なんかあった?
話、聞こうか?」少年のような声、華奢な体の人物が近づいてきた。

「飴をください。」これは暗号。

「まいどあり。」少年の声はより楽しげになった。

「僕はいじめられている。いじめっ子を制裁してほしいんだ。」
「ほぉ、詳しく教えてよ。」
そいつの映る僕の目は、怒りに満ち溢れていた。

「さくらくん?だったよね」
獲物が目の前にいる動物のように少年の目は輝いていた。


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