結婚

この頃私の周りで結婚や離婚が相次いでいる。私にとって結婚などというものはフィクショナルというか、少なくとも私の人生には一切関わりのないものと認識していたが、歳を重ねて交友関係が広がるにつれ、ごく一般にありふれたものであるということがわかってきた。

現在私は結婚を積極的にしたいとも、絶対にしたくないとも思っていないが、そもそも人が何故結婚するのかということがいまいちよくわかっていない。ゼクシィの調査によると、「相手と一緒に将来を生きたかったから」「相手と一緒に生活をしたかったから」といった理由が大半を占めている。しかし二人の間に恒久的な愛情のあることを無機質な書類によって証明することは些か滑稽であるし、その際に第三者の証人が必要だというのも意味不明である。互いに愛し合っているのであれば、そのような面倒な手続きを踏まずとも勝手にすればよいのではないか。同性婚や夫婦別姓など「先進的な」制度改革を求める人々についても、何故そもそも婚姻届や戸籍制度といったものからの脱却を図ろうとしないのかが不思議でならない。税金や保険料の削減といった具体的な恩恵を得られる場合もあるだろうが、それらはあくまで副次的なものだ。

もっとも、子供を作る予定がある、或いは子供が出来た場合、少なくとも現行の制度が存続する限りにおいて、結婚というものには大きな意味があるのだろう。それは制度としてのみならず子供の心身の発達にも大きな影響を及ぼすだろうし、個人的な直感としても子供がいるのならなるべく結婚はすべきであるように思う。しかし私は絶対に私の遺伝子をこの世に残してはいけないと考えているし、そもそも鬱病の無職である私に、子を育てその責任を負うだけの余裕のあろうはずもない。相変わらず結婚というものは、私にとってリアリティに欠けるものであり続けている。

ところで、「絶対に子供を作らない」という意思表示をすると「じゃあ絶対にセックスをするな」などと言ってくる人間がいるが、これは車を運転する全ての人間を人殺し予備軍と見なすような暴論であると思う。

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