大海

自分で漫画を描くよりも他人の漫画を読む方が楽しいし、自分で作曲するよりも既存の曲を聴く方が感動的だ。

私が絵を描くのが好きなのは、他人の絵をあまり観ないからなのかもしれない。私が文章を書くのが好きなのは、或いは他人の文章を滅多に読まないからに過ぎない。

井の中の蛙が大海を知らないのは幸いなことだ。精神的に向上心のないものは、なるほど確かに馬鹿かもしれないが、人間は基本的に馬鹿なのだ。あらゆる情報が指先だけで手に入る時代、自身の上位互換が嫌というほど目に入る世界で努力を続けられる人間は、馬鹿ではないかもしれないが、私に言わせれば狂人である。

掛け替えのない人生などありはしない。それでも生きていかなければならない。

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