プリキュア20周年とオールスターズF

プリキュアオールスターズFを見終わりあまりもの衝撃に頭の中の整理が出来なかったのですが、今回の映画に関する情報を調べたり様々な人の意見を聞いたりして少しずつ気持ちを切り替えることが出来たのでnoteにまとめたいと思います。
ちなみに過去作や今回の映画についてのネタバレを端々に書くと思うので、これから見る予定の方はこの記事を読まないことをお勧めします。


1.プリキュアとの邂逅

そもそも何で私がこんなにプリキュアを追いかけているのかと言いますと、出会いは2012年のスマイルプリキュアからキャリアがスタートします。
その前々作のハートキャッチプリキュアのキャラクターデザインがおジャ魔女どれみシリーズでおなじみの馬越嘉彦氏を起用することにより一定層のファンがざわつきだしたのが目についたのが始まりでした。
その後、スイートプリキュアではキャラクターデザインを高橋晃氏が担当し、更にムーブメントが広がっていっているように感じました。
そして、スマイルプリキュアのキービジュアルが発表されたときには「大きなお友達に寄せすぎだ」という意見もありましたが、私は立派な大きなお友達なので食い付くには十分な理由でした。

これから私とプリキュアと私の長い旅が始まったのです。

毎週行われるぴかりんじゃんけんの勝ち負けに一喜一憂し、過去作を遡りながら現在進行形で成長し続けるプリキュア達を見守り続ける気が遠くなるほど長い蜜月を繰り返すのです。
そうしていくうちに月日は流れプリキュアは20周年を迎え78人になりました。そんな私は40歳になり所帯を持ち、我が子にプリキュアを伝える立場になったのです。
私の20年も紆余曲折あったようにプリキュアの20年も簡単ではなかったでしょう。少なくとも20年間続いているアニメシリーズなんてそうそうありませんし、1年毎にキャラクターが一新されるアニメはプリキュアぐらいだと思います。(同じ東映の特撮作品はもっと歴史が長いので脱帽ものですが)

2.プリキュアって…何…?

見出しのセリフはプリキュアオールスターズFの予告でもあったプリム(キュアシュプリーム)が放ったセリフなのですが、皆さんはどうお考えでしょうか?
ちなみに作中では誰一人はっきりと答えを出した人はいませんでした。
でも、それでいいんです。それがいいんです。答えは沈黙。それが答えなんだとクラピカみたいに言いたいところですが、私個人の考えでは今回の作品であるひろがるスカイ!プリキュアのテーマの一つとして「多様性」が挙げられています。
初めての男の子プリキュアや成人のプリキュアが誕生しメインのプリキュアのカラーが青だったりと今までの固定概念を打ち崩し行くスタイルなのです。(専門学生でハマーH3を乗り回しているあげは姉さんの実家の太さが羨ましいです。)
なので、それに対して一つの答えを求めること自体が無粋ですし、それは見ている人それぞれの胸の中にあるもので十分なのです。
映画のレビューサイトやyoutubeで感想を一通り見て回りましたが、最近のユーザーは何でもはっきりとした答えが出て当たり前だと思っている傾向が少なからずあるようです。
別に悪いことではないのですが、曖昧で難しい質問に対してはっきりと答えを言ってしまったらプリキュアシリーズは終わってしまうのです。どうありたい、どうなってほしい、そんな気持ちを含ませつつ見守るべき存在なのです。
それが思い通りにいかないことも沢山あるでしょう。でも、それが彼女たちが導き出した答えなのです。人は皆悩みながら生きていくものだと思いますが、プリキュアも悩み価値観の変化や成長を遂げていくように流動的なものだと私は考えています。
だから今回のプリキュアオールスターズFも自分なりの答えを見つけていただけたら幸せなことだと思っています。

3.プリキュアオールスターズF所感

3-1.映画館へ行こう

映画の公開日は2023年9月15日の金曜日と平日なこともあり正直この日は仕事が手につきませんでした。今考えると休みを取ってでも行くべきだったと思いますが、私のプリキュア映画の楽しみ方の一つにいくつか条件があるのです。

①行く日は日曜日の昼間が望ましい。
②席は出来るだけ後ろの方を取る。
③時間に余裕を持って行動する。

①についてはプリキュアの放送日が日曜日の8時30分からなので、ガチ勢(幼女先輩)達が一番映画を見たくなる日だと思っています。
しかも、映画の放映期間中はOPとEDが映画の映像に差し替えられているので余計見たくなるんじゃないでしょうか。私は見たいです。
何でガチ勢が多い日がいいのかと言うと、現場の臨場感が段違いになるからです。
最近では劇場前のロビーでコスプレした子たちを見かけるのも珍しくないですし、大人たちが中々身に着けることが難しいグッズを平気で着こなしています。私が見たときはキュアスカイのツインテールの羽がついた髪留めを身に着けている子がいました。やっぱこういう子たちのためにプリキュアは存在するべきだなと改めて思わされました。
そして、上映中でもミラクルライトの数や応援の声は勿論、オールスター等ではない映画の時は皆でオープニング曲を合唱してる時もありました。
こんなミラクルがあるから劇場に足を運ばずにいられないのです。
②についてはそんなガチ勢を観察するためとミラクルライトの光が一望できるので、変にオタク根性を出さずに後ろから見守るぐらいのスタンスで見るのが一番楽しい鑑賞方法だと思っています。
③はどの映画の時もそうですが、劇場にポップや巨大ポスター等が飾ってある時があるので、それをじっくり見たいですし、グッズだって欲しい。
映画館にいる時間をどれだけ優雅に過ごせるかでプリキュアを堪能できるかどうかが決まってくると言っても過言じゃないでしょう。

そんなすべての条件を揃えて劇場に向かいました。唯一の誤算はあまりにも楽しみすぎて前日は全然寝られなかったことぐらいでしょうか。
おじさんになっても夜寝れないぐらいのワクワク感を与えてくれるプリキュアに感謝です。

3-2.プリキュアオールスターズFの感想(ネタバレ)

前置きが長くなってしまいましたが、映画本編について書かせていただきます。
私はコロナ禍や個人的なライフイベントが重なり「スタートゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」以降の映画は見れておりません。もしかしたら間違ったことを書くかもしれませんが、その時はお手柔らかにお願いしたいところです。
ちなみにこの星のうたに~もプリキュア単体映画としては非常に面白く、SFとロードムービーをうまく掛け合わせた傑作だと思います。この作品もプリキュアオールスターズFと同じく監督と脚本がW田中のコンビでしたね。
この話もしたいところですが、話が逸れてしまうのでまたの機会にさせていただきます。

一言で感想を言えば大きなお祭りといった感じで私みたいに昔から追いかけているようなマニアから見たら過去最高傑作だと手放しで言える作品だと思います。正直序盤のキュアプレシャスとキュアサマーの壁蹴りからずっと泣いてました。
しかし、本来のメインターゲットは幼女という名のガチ勢が相手です。
そこに対する配慮が欠けている点もいくつがありました。

一つ目は、ミラクルライトの説明についてです。
プリキュア映画でミラクルライトが配布される時はかならずオープニングでキャラクターたちはミラクルライトの取り扱いの説明をします。(振り回さない、光を近くで見ない等)
そして、ミラクルライトを使うタイミングで必ずキャラクターが見ている人に呼び掛けてくれます。そこで子供でもわかりやすく今使うんだなってのが理解できる仕組みなのです。が今回はそれらがありませんでした。
そういったメタ発言があることで没入感が失われるのもわかります。
しかし、ミラクルライトは映画の小道具なんかじゃなく一つのアトラクションなのです。皆で応援するのが楽しみの一つだったのですが、どのタイミングで光らせたらいいのかわからない人が多かったように見受けられました。

二つ目は賛否両論分かれるところですが、過去の名シーンを走馬灯のように移す場面がありました。
映画でそういった演出をはっきり見せるのは初めてだと思うのですが、これの良さについて来てる人はどれだけいるのだろうか?しかし、恐らくこのシーンの時には未就学児の大半が集中力を切らせているので何もかも子供向けに作る必要はないかと個人的に思ってはいます。(子供の集中力は年齢+1分とよく言われております。大人しく見れるのも大体30分ぐらいが限界なんじゃないでしょうか)
勿論薫と満をスクリーンで見れたのは嬉しかったし、キュアハートがレジーナを救う場面やキュアピーチとイース様が黙々と拳で語っているシーンもどれも素晴らしい。
これを理解を得られなかった人が一定数いるのが非常に悲しい。是非プリキュア20作品、言い換えれば80クール全て見終わってからもう一度見返してもらいたい。さすれば道は開かれん。
そこまで見れないよ!って人は映画のプログラムを買うとどのシリーズの何話のどのシーンだよって教えてくれるので、かいつまんで見てもいいかもしれません。

前置きが長くなりましたが、本編について語りましょう。
前半のストーリーは予告編の通り気が付いたら見知らぬ土地にいて、各プリキュアが4チームに分かれて遠くにある城に元の世界に戻れる手がかりがあると信じて旅をするロードムービー。
これがまた良かった。何が良かったのかと言うとプリキュアオールスターズの醍醐味の一つとして各作品とのクロスオーバーがあります。
それを限られた時間の中を工夫してしっかり見せてくれたのが嬉しかったし、最新作だけでなくララとゆかりのような意外な組み合わせもあったりしました。
オールスターズ名義の作品は2018年のプリキュア15周年記念作品、オールスターズメモリーズ以来ですが、前作ではそういった演出は少なめだったので、余計に嬉しく思えました。(オールスターズメモリーズは独自路線で面白い演出はいっぱいありましたが、それもまたいずれの機会に)

中盤では4チームが結集し城にいる”アーク”という敵を倒しシュプリームの正体が明かされます。
簡単に言ったらシュプリームは強さを求め星々を破壊していく存在でプレデターやドラゴンボールのブロリーみたいなものだと思っていただけたら間違いないと思います。
プリキュア5GoGoを見ていた方ならわかると思いますが、ミルキィローズが力なく撃墜される様を見てヤバさが伝わってくるはずです。
そこでもまたプリキュアの醍醐味があります。クロスオーバー作品で毎回行われる闘魂伝承的なイベントです。
先輩が後輩を守り未来を託していく通過儀礼があるのですが、今回は史上最強の敵であるシュプリームに対して先輩プリキュアが後輩を逃がすために時間稼ぎをしてくれます。
この闘魂伝承は作品ごとに形は違いますが、今回は自ら盾になって後輩を守るという痺れる展開なのです。こんなベタな展開は昨今のアニメでは中々ありませんが90年代のジャンプ漫画みたいなのはおじさん大好きです。

終盤はシュプリームが力を分け与えたプーカがミラクルライトの奇跡によって世界を巻き戻すという見せ場に入ってきます。
毎度思いますが、ミラクルライトが万能すぎて本当に好き。プリキュアに力を与えるだけじゃなくて世界の不文律すら修正していくとか神に等しい力を持っているんじゃないかと思えてきます。
そして元に戻りゆく世界と共にプリキュア達も復活していき、ついに78人のプリキュアが地球の存亡をかけたリベンジマッチが始まるのです。
ここでキュアスカイが「今こそプリキュアの出番です!!」の号令でラストバトルが始まるのが圧巻でした。ここからはもう大号泣でした。人は理屈とか無しで凄い映像を見せられただけで泣けるんですね。
挿入歌のAll for one Foreverと共にプリキュア達が戦うのですが、恐らく戦闘用の書き下ろし挿入歌は初めてなんじゃないかと記憶しています。
曲がなんだかJAM Projectみたいだし戦闘がスパロボのソレになってしまいがちですが細かいことはいいんですよ。面白ければ。
プリキュア初代のコンセプトは「女の子だって暴れたい!」でしたが、それを存分に描かれたと思います。そこでも色んなプリキュアの掛け合いが見れます。
個人的にはキュアマーメイドとキュアラメールの人魚つながり、キュアマカロンとキュアショコラの大人なやりとり。私も女にあれこれ聞かずに察することができるダンディな男になりたいです。
あとキュアフェリーチェがシュプリームに「遍く命は祝福されるのです!」と投げかけますが、この言葉は凄く好きです。
人や動物、植物に限らず全ての命は尊いもので意味もなく奪ってはいけないという当たり前と言っては当たり前なんですが、プリキュアはいつでも私たちを導いてくれる存在なんだと再確認しました。はーちゃんの時はあんなにアホっぽいのにいざって時になると芯食った言える凄い子なんですよね。
そしてプリキュアは妖精や色んな仲間たちの力を借りて勝利し、シュプリームと和解します。
ここで最後で最大のプリキュアの醍醐味として打ち上げです。
大体プリキュアは集まるとパーティやりたがります。パリピなんてなまっちょろいもんじゃありません。疲れ知らずのパーティモンスターです。仕事は土日休みなのに月曜から暇な大学生とクラブで遊んでるレベルです。
昔はプリキュアの映画は毎年春と秋の2回やっていましたが、春の映画では大体ラストは花見やってます。秋も秋で何かしらパーティやってます。
確か映画プリキュアドリームスターズでキュアホイップが倒れそうになった時に先輩であるキュアミラクルがハッパをかけるのです。
「何のために戦ってるの!?お花見するためでしょ!」と言うのですが、やっぱり戦っている最中も打ち上げのことしか考えてないんだなと実感しました。ライブの内容よりも打ち上げで何が食べられるのかが楽しみなバンドマンそのものです。私もそんなタイプです。
今回も例外じゃなく何か皆集まってるしパーティやろっかと白々しく提案してきます。本当は打ち上げのことしか考えてないくせに。
そこで当然のようにプリムも誘います。よく一般的にプリキュアの良い所に「敵を倒すんじゃなくて浄化させる」と挙げている人がいますが、個人的には厳密は違うと思っています。
どちらかと言うと「敵を倒すことよりも理解しあう方を選択する」といった方が正しいんじゃないかと。浄化させるのは手段の一つであって浄化させずに言葉で理解しあう敵もいっぱいいました。最終的に分かり合えずに倒すという手段を取った敵もいます。
そんな中、ゆいはプリムは「同じ釜のご飯を食べた仲間」だと言います。
男塾の序盤でもそんなセリフありましたね。和実ゆいちゃんは男塾出身なのでしょうか?こんなことをナチュラルに言えるのは筆頭レベルです。
プリムもここで一人じゃない、皆がいるから強くなれるというプリキュアの強さの秘密に気づくことになるのです。

大まかな道筋としてはこうなのですが、もっと映画で気づいた点や皆さんに教えたいことは多々あるのですが、これ以上は私の文章力と語彙力が追い付いていないのでこれぐらいにさせていただきます。
ちなみに映画館でもらえるクリアカードはドキドキプリキュアでした。菱川六花ちゃんが最推しなので一発で当てられてめちゃくちゃ嬉しかったです。

3-3.レビューサイトや見終わった人のリアクション

映画のレビューサイトを見ると子連れの方々も概ね好評だったみたいです。
単純に大きなスクリーンで好きなプリキュアを見れたという特別感があったんだと思います。内容としてもTV版と一味違ったスペシャルなものであったわけですしね。
低評価付けている人は決まって逆張りした意見や重箱の隅をつつくような粗探ししている人たちしかいなかったので、目は通しますが参考にはしませんでした。批判するのであればもっと公正で根拠を持った意見をしていただきたいものです。
劇場に早めに入場してどんな人が来ているのか観察しましたが、今回は子連れと同じぐらい20代前半の人たちが多かった印象です。数えていませんが体感として、親子連れ4割、20代前半の女性5割、プリキュアおじさん1割といった感じでしょうか。
やはり20周年というのもありリアルタイムでプリキュアを見ていた子達が懐かしんでいたんでしょうね。こうやって回帰できる作品に出会えるのも人生を豊かにするでしょうし、世代毎に想いがあるのは歴史を感じさせます。
エンディングがいきものがかりだったのですが、これも20代前半の子たちに刺さっていたようです。
この年代になると学校の卒業式とかで"YELL"や”ありがとう”を歌っていた世代なので思い入れがある人が多いらしいです。こういったところも戦略として見据えていたなら凄いもんだなと感心しました。

4.あなたにとって”F”は何ですか?

予告の時点で"F"の意味を匂わせてましたが、本当に様々な意味を持った"F"だというのが全体を通しての感想でした。
放映前は様々な憶測が飛び交ってましたが、皆さんはどんな"F"を見つけましたか?friend、future、forever、final、fight…これについては私は特に答えなんて無いと思っています。プリキュアにちなんでflyやfloraなんてのも素敵だと思います。
皆さんが思い描く"F"そのものでいいと思ってますし、"futari"なんて意見を出す方もいましたが、頭が柔らかいなと感心しました。
私の場合は、favorite、feel、forなんて言葉が思い浮かびました。
ここで私が言いたいことはプリキュアを様々な視点や楽しみ方の懐が広く広い層に突き刺さる面白さがあると思っています。
散々私なりのプリキュアの楽しみ方や考えを書いてきましたが、それに捉われることなく皆さんなりの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。きっともっとプリキュアが好きになるはずです。
あなたの心の中の思い出の中にプリキュアがいますし、そして未来のあなたの心にも新しい思い出が刻まれるでしょう。もしプリキュアについてあまり知らずに最後まで読んでいただけた方がいらっしゃったら是非プリキュアを見てください。
1年毎で移り変わってしまいますが、彼女らと過ごす時間を大事にしていただけたら素晴らしい追体験を得られるでしょう。


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