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防音設計の基本となる防音材・建築知識

木造住宅・マンション、音楽防音室など建物の防音設計・工事に不可欠な製品が「防音材」です。専門業者によって、分類や諸機能の呼び方は異なりますが、基本は「遮音・制振・吸音」の3つの機能をもつ製品です。

防音職人では、これに加えて制振効果を併せ持つ「絶縁材」という受注生産品があります。さらに防音効果を高める「剛性補強」という専門用語があります。私の設計手法は「遮音・制振・吸音」+「絶縁・剛性補強」という5つの分類になります。

もちろん、防音材は複数の機能を併せ持つ製品がありますので、必ずしも防音工事の現場で5種類の防音材を使うわけではありません。建物構造・用途や防音レベルにおいて、組合せて設計します。

受注生産の防音材にこだわる理由

受注生産の防音材を多用するようになったのは、「剛性補強」と「制振」および「絶縁」の3つの機能を強化するためです。また、同等の遮音性能(透過損失)をもつ市販品は、私の特注品より単価が高くなったからです。約15年前頃までは、ほぼ単価は大差なかったのですが、5年前から差が出てきました。

そして、今年の市販品の再値上げでは、受注生産の値上げ率を上回る15%から20%アップという製品も出てきました。私が使用する防音材は、メーカーに交渉した結果、5%から10%という値上げ幅で収まりました。一部、私の努力でもう少し抑えている製品もあります。

ある市販の樹脂の遮音マットは、同じ厚さである受注生産の異なる素材で加工された防音材に比べて、面密度も剛性補強・制振機能も低下していることが分かりました。このため、施主が契約する新築業者には、受注生産の中で建築会社と直接取引に応じてくれるメーカーを紹介しました。

防音材と一般建材を組み合せる防音設計

そもそも、一般建材も今まで述べてきた防音設計上の機能を持つ製品があります。例えば「剛性補強」は、下地材である構造用合板が持っている機能です。「吸音」は皆さんの多くがご存知のように、グラスウールやロックウールという既製品が該当します。

また、軟質木製シージングボードには、軽量音に対する吸音・制振性能がありますので、音響を含めて調整材として活用できます。専門的な防音材と併用することによって、効果を高めることが可能です。

このように、防音職人では、「専門的な防音材」と「一般建材」を組み合せることで、生活防音や木造防音室などに必要な構造体・機能を構築してきました。

防音材の専門的な知識だけなく、一般的な建築材料や製品に関する知識と実践経験が重要なのです。とくに、木造建物では不可欠です。木材が音響調整に役立つという経験・知識があるかどうかで、木造音楽室は製品選定が決まってきます。大工職人が施工しやすい設計仕様を提示することも重要です。

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