見出し画像

ピアノ室を託された防音職人の技術

約20年前に開業して今年で20年目になります。
防音職人が培った防音設計の技術は、多くの依頼者(契約者)から託されたピアノ音楽室など夢を実現することで成長してきました。
私を信じて木造音楽室や住宅の生活防音の実現を期待して頂いた多くの依頼者(プロの音楽家、音楽教室の先生、新築住宅のオーナー、リフォームの施主など)に、改めてお礼申し上げる次第です。

どんな遮音設計マニュアルにも、専門分野の書籍にも書かれていない貴重な体験談、木造防音室など実務経験から得られた、かけがえのない生きた経験と情報の蓄積によって、防音設計・コンサルティング技術が生まれました。
そして、防音材など受注生産品のメーカー各社からご厚意で頂戴した数々のデータは、私の頭の中にストックされています。

防音設計技術のマニュアルは自分で創るもの

とくに、木造防音室や木造住宅・マンションなど住宅の生活防音技術は歴史が浅く、専門資料やネット上の情報が分散しており、マニュアルとして確立されていない分野です。
東京に集まる多くの専門業者や設計担当者・施工担当の職人の保有するノウハウはお互いブラックボックスであり、見えない世界です。このため、実践経験や実例情報などを経験値として蓄積しながら自分で防音設計マニュアルを創るしか無いのです。

トータル38年以上の建築・研究活動をベースにして、自営業者としての防音設計実務の中で、ようやく目途の付いた分野に近年集中し始めたところです。私の一代だけでは完成しないかもしれませんが、できる限り精度を高めていきたいと思います。

依頼者の防音対策完了後の生の声

私のモチベーションを支えているのは、業務完了後にご報告いただいている依頼者の声です。課題を残した案件でも向き合っています。
中には、依頼者自らが実験台になることを申し出ていただいた現場もありました。本当にありがたい貴重な資料となり、防音設計の補正データとして生かしてきました。

前例のない建築現場を一人の専門家に委ねることは、とても勇気のいることです。今でも、「ある依頼者の言葉」が胸に残っています。
「いろいろな専門業者や建築士に期待を裏切られ、防音職人を最後の砦と表現されたある女性の声」「施主自らが苦労して資料を集めながら、複数の専門家へのヒアリングを経て防音職人を指名された言葉」など生涯忘れることはないでしょう。

私も若い頃に比べて大分体力が落ちており、年々担当する件数は減っています。このため、相当の覚悟を持って契約を交わすことにしています。自分ができない事は金額の大小に左右されることなく辞退して、出来る事は確実に履行できるように心がけています。
誠実な依頼者には誠実に向き合うというスタンスは、今後も変わりません。
防音設計技術の研鑽は地道に、これからも続けていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?