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分譲マンションの防音相談

新しいマンションほど天井・壁の下地は軽量鉄骨で造られており、防音リフォームとしては大きな制約になっています。

それは壁の一部や梁型だけでなく天井の軸組を途中から切断して解体することが出来ないからです。

依頼者の予算の都合で、壁だけとか、天井だけ改造したいというご希望でも、現場と竣工図を調べると、分割して改造することが無理な場合が多く、提携先の建築士が直接担当できる現場以外では、方針すら決めることが出来ません。

このため、遠方のマンション防音工事の相談は、基本的にお断りしています。また、契約の保証のない相談だけとか、対策をご教示くださいという抽象的なリクエストには対応できません。

大型連休になると増えるマンションの防音相談

ネット上で具体的な事例を探すと、マンションの防音工事のうち、天井とGL壁(鉄骨二重壁を含む)の施工事例がほとんど出てきません。

そのため、連休中にじっくり検索して見つける事例の大半が、私の公開しているページになり、休みになると電話で問合せが来ます。

現在(2021年8月11日)は夏休みだとウェブサイトの「お知らせブログ」に掲示しているのですが、それでもいきなり電話で相談があります。

注意事項すら読まない人は見込みがないので、原則としてお断りしています。賢明な相談者は最初はメールで問い合わせします。

マンションユーザーは非常識な人が多く、民度が低下しているのを痛感しています。それが理由で、マンションの案件はお受けしなくなったという経緯があります。物理的には、投稿画像にあるように下地の大半が軽量鉄骨で構築されているため、天井と壁などを分離させて防音工事を行うことが難しいためです。

天井と壁を一体的改造する前提で既存を解体して対処するという「対策の方針とご予算」を理解していただける相談者の案件だけ契約することになります。今年も、現在ご契約いただいているのは1件だけです。(※ここ数年はマンションの案件は内容に関わらず、契約は1・2件程度で推移)

巣篭りや自宅で仕事をする人が増え生活騒音が顕在化

マンションの生活騒音は、私が開業した当初から防音相談の中では最も多いものでした。

私が専属の施工チームを直接雇用して防音工事を受けていた時は、多少の予算的な問題は職人と相談して個別に判断していましたが、現在は提携先は「株式会社」であり、私が経営している事業所ではないので、経費を削るには限界があります。

最近また、マンションの防音相談が増えてきたのは、自宅で仕事をする人が増えてきたことが大きな要因だと思います。

東京でも、マンションの天井・壁の防音設計・施工ができる専門業者は非常に少なく、大半の相談者が他の業者に断られたあとで、私のウェブサイトにたどり着くことが多く、私の相談には難易度の高い案件ばかりが集まります。

難易度が高い割には予算が小さく、提携先が工事を請ける事自体が無理なのです。最近は、提携先も忙しく、とても不確かなマンション現場の調査を担当する余裕はなく、私も不本意ですが、辞退することが多いです。

基本的にマンションユーザーは住宅ローンに追われながら生活する世帯が多く、一部の高級マンションの需要層とは価値観も違います。

予算と建物構造という両方の「壁」があるのです。それに技術的な問題を解決できる設計手法を持っていなければ設計図自体を作成することができません。流石に、契約者以外に説明図を渡すことは出来ません。

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