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クラウドファンディング体験

動かない状況からのスタート(誰か蹴飛ばした?)

 2023年10月23日午後5時から「女神転生Ⅰ・ⅡリアレンジCD」のクラウドファンディング(Kickstarter)がスタートしました。目標は必要最低限の金額で自分が動けばなんとかなるギリギリのところ。ドキドキしながらローンチボタンを押すと最初はゆっくり、除々に加速するように金額が上がり、3時間後には目標金額を超えました。そしてそこから暴走のような上昇が始まります。

 CD制作のきっかけは12年前になります。故・成澤大輔氏に20年ぶりに会って色々話したときに「自分にとっての最高のゲーム音楽は魔界幻想だ。アレンジアルバム出して欲しい。」「んーいつになるかわからないけど、作ってみる」「楽しみにしている」と話したのが小さな灯火となりました。
 それから数年後に異常に痩せた自撮り画像を見て心配になり、そして突然の訃報を目にします。

 生きているうちに約束を果たせなかったなと思いつつも忙しさにかまけ、引越し、仕事環境再構築等々でゆとりを持てない日々を過していました。
 そして昨年、毎年Facebookで通知が来る成沢氏の誕生日。今年は何故か「今回は作る!」という気持ちが強くなりました。きっと後ろから蹴飛ばされたに違いないかと。

動き始める~クラウドファンディング選択

 最初は自分の環境内だけで作れるリアレンジCDを作ろうと、ヴォーカルなどはバーチャル・シンガーを使って等々、同人的なCDを考えていました。ある程度作りはじめると、著作権周りの確認を考えていたところアトラスを通じてバンナムに繋げていただきました。非常にラッキーなタイミングでした。

 実はバンダイナムコエンターテインメントでの発売案の話が上がり検討したのですが残念ながらまとまりませんでした。しかし、この作業で歌は生録りしたいという思いが強くなります。
 そして、どうしてもお金をかけても良いヴォーカルで歌を入れたいという思いから、クラウドファンディングを使う方向で動くことになります。

 選んだサイトはKickStarterの一択でした。「13月のふたり姫」で身近に見ることが出来たこと、今年参加したglobal game jam 2023で別チームでしたがアナログゲームをローンチして中心となった人の解説を見て見込みと結果を確認することが出来き、自分の気持ちの中で身近であったという流れがあります。
 また手数料5%が最大の魅力でした。そして失敗しても損失は何もありません。失敗しても手数料を取る、集めた金額が少額でも最低5万円取るというサイトもあったりする中で、KickStarterは群を抜いて利用者のための運営をしていました。

 もう一つ、クラウドファンディングを検索して紹介サイトがいくつも出てきますが、その中にKickStarterを見つけることは困難です。日本語にも対応して最安値で世界中からの支援を得られる可能性があるのに、です。
 以前から商品紹介記事(オススメの~)は読者にとって本当に正しい情報を提供していないという感じがあり、特に自分が得意な分野に関しては実際に入手し使った比較・感想がないチラシのコピーで閲覧数とアフィリエイトを稼いでいるに過ぎない、ネットから情報を集め評判の良い当たり障りのない記事が多いことに辟易していました。もちろんそうでないサイトもあります。
 逆説的に、そこに載っていないからこそという気持ちもありました。

ローンチに向けて実作業

 まずは版権関連の整理から始まりました。各社には随分お世話になりました。「今回は~」「増子さんだから~」という言葉が頭につく許可を頂きました。ありがとうございます。
※クラウドファンディングを利用することも含めて例外な対応をしてもらっているのかもしれません。
※またみなさんに品物をお届けするまでの間、まだまだ版権関連の作業は続いていきます。

 そして金額の設定のための様々な試算は以前の見積もりの際に考えた内容の最低ラインそのままに150万としました。本当に必要最低限です。自分の利益は一切無視状態です。クラウドファンディングとしてはあまり良くない(トラブルに対応できる余裕がない)ことではありますが、一般販売できれば後から収益になるという見込み~一般的なCD制作のお金の流れ~での設定です。

 バックする項目(納品する品物)と金額設定が一番悩んだところでもありました。2000円のCD価格だけなら750枚、他にキーホルダーでも付ける?トレーナー?Tシャツ?自分なら欲しくないなぁという感じで、版権絡みでやり取りしている担当の方に意見をもらったり、ずっと悩む期間がありました。
 その結果、CD単体、自分が参考に作るラフアレンジ段階のCD、直筆サイン、一緒に食事、そして最後に自ら作曲という項目が決まりました。特にラフアレンジの案が出たときの自分を褒めてあげたいです。今の段階のアレンジとこれから作るヴォーカル入り+追加アレンジ+プロのミックスダウン+マスタリングは全くと言っていいほどに変化するはずですが、今の段階でも自分的にはオリジナルから比べればシンプルながら楽曲として繰り返し聞ける状態であると思っていたので、形にできることが嬉しいと思います。

 没になったキーホルダーのデザイン、CDジャケットのデザイン、作りたい曲の動画作成とそのためにラフアレンジから音源抽出、文章作成、英語文章作成等々の作業は山積みでした。その全てに版権関係の確認が付き、時間がどんどん消費されていきます。

 しかし、この作業はローンチ(公開)後に大きく響く部分でもあります。自分がどのような思いでこのクラウドファンディングをスタートしたのか、金額的に納得できるのか、バッカーの身になって考えなくてはなりません。バッカーが喜び自分も満足できるラインを互いに無理ない範囲で設定する作業はこのイベントの原点です。

 もう一つ、世界中に発送するために料金体系の確認、取り決めが大変でした。結局大まかに地域分けをして発送料金を設定しましたが、国によっては多少高くなったり安くなったりするけどもトータルでは過不足ないぐらいの設定になりました。細かく国ごとに設定していたら時間がいくらあっても足りません。

そしてローンチ

 結論として3時間で目標に到達しました。これは女神転生という有名タイトルのアレンジCD制作であり多くのファンがいる環境という特殊な例ではありますが、以下の公開データはこれからクラウドファンディングをやってみたいという人の参考になれば幸いです。

進捗グラフ 
上位リファイラー

 上位のリファイラー(どこのリンクから飛んできたのか)を見てみるとTwitterがダントツで1位です。多くの方がリポストして下さり、情報が一気に拡散されました。自分の書き込みもリンクの記事を引用しない形で進捗報告したときはプレッジ(支援)数は大きく伸びず、リンクを引用して投稿したときはリポストの数も増えプレッジ数も伸びました。
 常に簡単にサイトにたどり着けるように記事の投稿を続けることの重要性が形となりました。

 そしてリンクが不明なのはアドレスをコピーしてブラウザを立ち上げたりなど利用者の手段の違いであり、情報を得たのはTwitter(現在のX)など上位のリンク元であろうと予想しています。

 その次にKickstarter内からのリファイラーです。サイトに入ってから検索をかけたケースが多いと思いますが、1557名のバッカーのなかで1000名が新規登録(または今回初めて)の支援者であり、アカウントを作成して検索をかけ支援していただいたという流れが多かったためと見ています。

  そして、バンダイナムコエンターテインメントを通じていち早く記事にしてくれたファミ通.comさんなど、ゲーム関連サイト記事から飛んできて支援してくれた人も少なくありませんでした。海外の掲示板の書き込みから飛んできた人もいたようです。

 以上から当たり前の結果ではありますが、NETで情報を得て支援してくれたが大多数であり、いかに広く情報を伝えるのかが支援者を集める肝になるようです。自分にとってはTwitter(現在のX)が一番の情報拡散となりました。もちろん魅力的なクラウドファンディングの内容であることが一番ですが。多くのフォロワーや支援者を抱えているインフルエンサー的な人にとっては拡散するには有利な環境ですね。

 自分の中で今回の作業については色々と反省点もありますが、真摯にバッカーの皆さんに向き合い、また良いものを作る決意と制作経過を報告して安心をさせることを肝に銘じて動けば、(ひょっとしたら?)次回にも繋がる結果を出せると信じて、制作を頑張りたいと思います。

 今回の結果は、あくま(悪魔?)でも「女神転生」という今も続く大きなタイトルの曲という背景があり、今も尚ゲームを愛してくれている多くの人がいるという土壌の上に花開いたものではありますが、上記データなどが今後クラウドファンディングを行う人の参考に、またはクラウドファンディングを取り入れるきっかけになれば幸いです。

 そして何より支援していただいたバッカーの皆さんには、心より感謝申し上げます。

追記2023.11.22

 さて、その後の入金に至るまでの情報を追記させていただきます。

 無事目標額を達成した後、Kickstarterから支払いの準備期間後に支払いが行われる旨のメールが届きます。準備期間は14日となっています。

11/6 18時 終了と同時に達成メールが届く
11/20 18時 登録口座に向けて送金したメールが届く
11/22 銀行口座に入金を確認

 対応銀行によっては海外からの送金は1週間みて欲しいという銀行もあるようですので、確認しておいたほうが良いと思います。自分は三菱UFJ銀行でした。

 それと差し引かれる手数料は、日本においては
Kickstarterの手数料 ファンディング総額の 5%
決済手数料 ファンディング総額の 4.5%
となっています。決済の手数料はカード会社を利用するためにどうしても発生してしまう部分ですね。トータル9.5%が手数料として引かれます。それを見越して金額の設定をすべきでしょう。

以上、お金を受け取るまでのエトセトラでございました。
参考になれば幸いです。

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