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メガシンセシス・ケンブンロク pt5・FMエディット II

令和のスーパーハードウェア、メガシンセシスのお話。
今回はFMエディットの第2回目。

メガシンセシスFMトラックの基となっているYM2612はFM音源なワケですが、FM音源に関しての詳細は巨大インターネット辞書でチェックしてもらうとして、ここではそのYM2612の事をサララーっと書きたいかなと。

何回か書いているのですがYM2612は4オペレータ、8アルゴリズム、6音(6ch)を持つOPN系と呼ばれるFM音源でSEGAメガドライブやFMタウンズパソコン、UFOキャッチャー機等で使用されているチップ。
まあメガドライブ(欧米ではSEGAジェネシスの名前で知られる)の音源としてが最も有名だと思います。

そんなFM音源のYM2612、よく聞くオペレータだとかアルゴリズムってのは一体何なのかってお話ですね。
これは細かく書くと超メッチャ面倒で複雑で怪奇な感じになってしまうのでライトな感じに説明しますと・・・


うーん、ライトな感じにってどんな風になるかなあ。


例えば・・・4人の人間が居て、それぞれがハリセンで他の人をぶっ叩くんですね。
すると叩かれた人が叩かれた怒りを更に強くして別の人を叩いたりするんです。
最後に叩かれた人とか、叩かれなかったけど叩かれたテイで難を逃れた人が面白おかしい変な声を出します。
そんで、叩く・叩かれるのは順番や経路が決まっていて、この経路(フォーメンション)が8種類あり、そのフォーメーションによって最後の変な声が変わると言う感じです。
また1番目の人は特殊な人物で、何と自分で自分をハリセンで叩く事が出来る変態で、自分を叩く強さを変えることによって次の人を叩く時の怒りゲージが変わると言うとんでもない迷惑な人だったりします。

こんな感じで叩いたり叩かれたりして最後に「ホゲェ」って叫んだ(これは1人であったり、複数人であったりフォーメーションで変わります)声がFMサウンドとして出力されるって感じです。

おわかりの通り、叩いたり叩かれたりする1番~4番の人がオペレータ、8種類あるフォーメーションがアルゴリズムと言うワケ。
1番の自分で自分を叩くと言うのはフィードバックと言います。
また、叩く人達をモジュレータ、最後に叩かれる人(人達)をキャリアと呼びます。
ちなみにキャリアは叩かれていなくても叩かれたフリをして、そのまま「ホゲェ」と叫ぶフォーメーションあったりします。

これがメガシンセシスのオーバーレイシートに描かれたアルゴリズム。
1~4の数字がそれぞれのオペレータを示しています。
この形と番号は基本的にYM2612のものと同等(これを模したソフトウェアやハードウェアによっては番号が逆だったり絵の方向が逆だったりしますが、信号が流れる経路は全く同じ)になります。
アルゴリズムの1~8によって作りやすい音色の傾向があります。
また1番のオペレータにはあみだくじの別経路みたいな枠線がありますが、これがフィードバックを示しています。

この図だと、アルゴリズム1は1番の人が2番を叩き、2番が3番を、3番が4番を叩いて、4番が「ホゲェ」と叫ぶわけですね。
図の中では枠線がモジュレータ、白色になっているのがキャリアとなります。
アルゴリズム7は1番が2番を叩き、2番が「ホゲェ」と叫びますが、3番と4番は叩かれても居ないのに「ホゲェ」と叫んだりもします。
「ホゲェ」が重なって面白い声(音)になるって感じですね。
アルゴリズム8に至っては誰一人叩かれていないのに全員が「ホゲェ」と叫んでいます。
が、1番だけは自分で自分を叩く事が出来るので、より目立つ「ホゲェ」が出来る可能性があります。

ちなみにメガシンセシス(YM2612)ではハリセンに相当するもの(波形)は正弦波と言う「ポー」ってサウンドのみとなっていますが、機種によっては「ビー」とか「ピー」と言う様な正弦波以外の音を使う事が出来るものもあったりします。
ハリセンなのか、バレーボールなのか、はたまた鉄球なのか、これによって出て来る「ホゲェ」が劇的に変化します。

例えばTwisted ElectronsのBlast Beatsは正弦波以外に矩形波等、計8種類の波形から選択する事が出来ます。

Blast Beatsの波形(8種)とアルゴリズム(5種)はこんな感じ。
アルゴリズムの番号によってフィードバックが2つになったりするのが独特ですね。

FMシンセシスのイメージとしては(厳密に言うとちょっとニュアンスは違うと思いますが)まあこんな感じで良いかと・・・
※異論は認めます。そもそもここでは細かいFMシンセシスの講義は行われないので、詳細はWebで!

てなトコがアルゴリズムとオペレータに関する部分です。オーケイ、アンダスターン?
イエス、アンダスタン、アンダスタン。
ではもう少しだけ進めましょう。

FMエディットのサウンド編集に入った後は完全にフリーダム。
自由自在に音色を作って行けばよいのですが、まあまずはどんな傾向のサウンドにしようかって事でアルゴリズムの選択をしてみます。

こちらはメガシンセシスのマニュアルに記載されているアルゴリズム説明表。 アルゴリズムによって上記の様な特性のサウンドに近づけていけるので、目的としているサウンドがある場合は近道となるアルゴリズム番号を選ぶと良いでしょう。

アルゴリズムの選択はステップボタンの1-8番となっています。
やや見づらいですがオーバーレイシートの白色のエリアが該当のボタンとなります。
アルゴリズム番号を選択するとディスプレイに[ALG1]の様な表示がされます。

アルゴリズム選択ボタンのすぐ上にある1-4番のボタンがオペレータ番号の選択となります。
現在選択中(エディットを行う)のオペレータは赤色に、それ以外は緑色になります。
またfuncボタンを押しながら各オペレータ番号を押すと、そのオペレータをミュート(オレンジ色)する事が出来ます。
当然のことながらサウンドを出力する(「ホゲェ」と叫ぶ)キャリアがミュートされていると音は出ません。
また、モジュレータに関しても中間経路のモジュレータをミュートすると、キャリア自体の設定値でのサウンドしか出力されません。
例えばアルゴリズム1で3番目のオペレータをミュートすると4番目(キャリア)で設定された正弦波サウンドのみが鳴ります。
これは1番、2番をどんな設定値にしていてもこれらは3番目がミュートされた時点で無視されてしまいます。
途中でハリセンで叩く人が居なくなったので4番目の人は誰からもハリセンで叩かれなくなった為、怒りを表す必要が無くなった結果となりますね。ちょっと違うか。いや、きっと合ってる、かも。

尚、オペレータ番号の右にある5番・6番はそれぞれオクターブの-と+となります。
FMエディット中にサウンドチェックをする場合は鍵盤を押すのですが、これのオクターブを上下させる機能ですね。
通常モードではOctaveノブに割り当たっているのですが、現在のモードではOctaveノブは別の機能に割り当たっている為、ボタン自体の機能がオクターブに変更されている形になります。
その右側のLEGACYはサウンドの特性変更(オフ、FILTERとLADDER、あるいはFILTER&LADDER)を行うキー。
さらに先のCLRはエディットをキャンセルしてFMエディットモード(サウンド編集)を離脱するキー、OKはエディットした音色をセーブ(OKを一度押すとディスプレイにSAVEとなるので再度OKを押すと保存されます)するキーとなります。
最終的に通常モードに戻る場合はCLRを数回押します。


と言った所で今回はここまで。
次回はFMエディット時の各種パラメータに関するお話が出来ればなあって思っています。

しかしやっぱFM音源の説明って複雑ですね・・・
こんな解りづらい説明文ですいませんが、もう少しお付き合いください。

メガシンセシスには現在、第二次生産分(3月以降に出荷予定)の予約が始まっていますので超気になるって人はMEGA SYNTHESIS製品ページ(こちらのページから予約ページへとジャンプできます)にとりあえずレッツゴーです。
またページ上部の[オンラインマニュアル]からMEGA SYNTHES日本語マニュアルやPCMリスト等、各種マニュアルをダウンロードする事が出来ますので併せてチェックしてみてください。

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