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メガシンセシス・ケンブンロク pt9・PSGトラック

メガ・・・それはキロでもギガでもない、ネバーエンディング麗しの言葉。
そんなメガを名前に持つ、メガシンセシスに関するお話です。

前回までは中核部分のFMエディットに関してですが今回はサブ音源部分であるPSGトラックについて。
メガシンセシスの基となっているハードウェア、メガドライブではFM音源の他、SN76489相当のPSG(Programmable Sound Generator)音源が搭載されています。
ちなみに厳密に言うとSN76489はPSGではなくDCSG(Digital Complex Sound Generator)と呼ばれ、PSGとはサウンド的には似ていますが内部構造が全く違うらしいのですが本記事ではメガシンセシスの仕様と日本語マニュアルに則り、これらをPSGトラック/PSG音源と呼称します。
まあ小難しい事書いていますが「ピコピコ・ザー」って音が鳴るトラックだと思ってください。
※メガシンセシスマニュアル中ではFM音源部であるYM2612に関しては言及していますがSN76489に関しては言及していません(ただし公式Webサイト上では「SN76489を再現」と謳われています)

と言うワケでPSGトラックについて進めましょう。
PSGトラックはメガシンセシスに2つあり、4番目と5番目のトラックとなります。
これらは2トラック合わせて最大4音のポリボイスを供給しています。
オリジナルのSN76489では3ch+1ノイズchの4音構成となっていますがメガシンセシスでは好きなように構成できます。
同時発音4音は好きなように割り振れます(基本的に後着優先で鳴ります)がトラック4でピコピコ3音、トラック5でノイズ1音とかってやっておくと解りやすいかもしれません。
ただメガシンセシスにはパラメータ・ロック(後述)機能もある為、特定の条件下において1トラック内にピコピコとノイズを混在させることもできます。

PSGトラックで利用できる波形は全部で11種。
と言っても基本は矩形波(ピコピコ音)と高中低のノイズの組み合わせとなります。

これらはPSGトラックを選択中にBANKノブを回す事で切り替えられます。選んだ波形によってSOUNDノブの挙動が変わります。

SQAR・・・基本となる矩形波波形。再三になりますが、いわゆるピコピコしたサウンドが特徴的な音。
NL:S・・・ローノイズ>矩形波。これは最初にローノイズが鳴った後、矩形波へと直ぐに移行する音色です。
NM:S・・・ミッドノイズ>矩形波。これは最初にミッドノイズが鳴った後、矩形波へと直ぐに移行する音色です。
NH:S・・・ハイノイズ>矩形波。ハイノイズが鳴った後、矩形波へと直ぐに移行する音色です。
PULS・・・パルス波。デューティー非約9:1のパルス波です。
簡単に言うとパルス波は矩形波の周期が変更されたもので、少し尖った様な、線の細い感じのサウンドとなります。
NL:P・・・ローノイズ>パルス波。これは最初にローノイズが鳴った後、パルスへと直ぐに移行する音色です。
NM:P・・・ミッドノイズ>パルス波。これは最初にミッドノイズが鳴った後、パルス波へと直ぐに移行する音色です。
NH:P・・・ハイノイズ>パルス波。ハイノイズが鳴った後、パルス波へと直ぐに移行する音色です。
ここまでの波形はSOUNDノブは-63~+63のデチューン効果(最大上下半音ずつ)となります。
またノイズ混合波形の場合はノイズ部分はデチューンされません。

NS.LO・・・ローノイズの音色です。
NS.MD・・・ミッドノイズの音色です。
NS.HI・・・ハイノイズの音色です。
これらのノイズは聴こえる音程が変わります。
ただしノイズパート(ノイズジェネレータ)は鍵盤等による音程変化は行われません。
波形きり帰以外での周波数変更はできず、常に選んだ音程(ロー or ミッド or ハイ)で生成されます。
この3種のノイズ波形のSOUNDノブはディケイ効果となります。
値は0~127で、値が大きければディケイが長くなります。
小さい値の場合はノイズをハイハットの様に使う事ができ、大きい値の場合は風のようなサウンドにできます。
また126以下ではノートオンをしていても徐々に小さくなりますが、127の時はノートオン中はサウンドが持続するホールドモードになります。
例えば、これと音量(LEVEL)ノブを組み合わせる事により、海の波音等を表現したりできます。

ATTACKノブとRELEASE&GATEノブはそれぞれ音の立ち上がり速度(Attack)とノートオフ時の音の減衰速度(0~41でゲートタイム/10~90%、42~127でリリースタイム)を調整します。

これらのパラメータやスウィープ、パンやFX等を利用すればメロディーラインのみではなくドラムトラックなんかも作り出す事も出来ます。
ごく短いゲートタイムでノイズを鳴らせばハイハットに、少し長めにハイノイズを鳴らせばシンバル的な使い方、また矩形波を短く鳴らせばパーカッション的な使い方をすることもできます。
またスウィープ機能を組み合わせる事によってバスドラムやスネアドラムのサウンドを作り出す事もできます。
これらはステップごとに記録できるパラメータ・ロックを使用する事により、1つのPSGトラック内でもリズムを組むことなんかも可能です。
尚、PSGトラックのレガシーモードはフィルター特性(FILT)をOn/Offする事が出来ます。

名作スーパーハイドライドから「The Skyscraper」。
このゲームのサウンドは独特でPCMトラックとして利用することが多いリズムトラックをPSGトラックで作り出しています。
本家の方は低音から高温への連続ノートを高速で再生させることにより、ドラムっぽさを醸し出していますがメガシンセシスではステップの最小ノート分解能が1/32の為、ドラムサウンドに聴こえるような高速再生ができません。
そこでサウンドに可変する音程感を付けるスウィープ機能を併用してドラムっぽさを出しています。
またそれに合わせてノイズを鳴らす事により、スネアドラムの再現にも試みています。
この辺りは研究途中の為、雰囲気としてはスーパーハイドライドっぽさは再現できたかなあっと思いつつ、オリジナルと聞き比べると全く違う感じとなっていて、まだまだ研究の余地ありだなあっとは思いつつ、まあPSGトラックでもこんな表現もできますよって事で・・・。
ちなみにスウィープのカーブ特性が上がるタイプと下がるタイプと両方使いたかったため、トラック4と5でそれぞれのカーブ特性を設定している関係上、矩形波とノイズのシーケンス位置がトラック毎に入れ替わっています。
こう言ったこともパラメータ・ロック機能で出来るのが良いですね。

と言ったところで、今回はPSGトラックに関してのお話でした。
次回はPCMトラックに関してを少し出来ればなあっと思っています。


メガシンセシスには現在、第二次生産分(3月以降に出荷予定)の予約が始まっていますので超気になるって人はMEGA SYNTHESIS製品ページ(こちらのページから予約ページへとジャンプできます)にとりあえずレッツゴーです。
またページ上部の[オンラインマニュアル]からMEGA SYNTHES日本語マニュアルやPCMリスト等、各種マニュアルをダウンロードする事が出来ますので併せてチェックしてみてください。

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