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Ø(ZERO)からはじめるAmbient pt.1

今回の記事:AmbientØのファーストインプレッションおよび概要について。

MEGA SYNTHESISでおなじみSONICWARE社の最新作LIVENシリーズAmbientØ(以下Ambient0)。
3+1の4レイヤー(トラック)を6つのストラクチャ(音源方式)を駆使してアンビエントサウンドを作る独特なマシーンとなっています。

私自身は過去にnoise Defusionというアンビエントサウンドを意識した著作権フリーBGM集をリリースしておりますが、この時は全編ソフトシンセでの制作となっていました。
アンビエント系はジャンルとしては未知に近い領域にあるんですが、何年も音楽制作を続けていると自分の得意とするジャンルに固定されてしまいがちになり、なかなか冒険をする事が無くなってしまうんですよね。
最近ではソフトシンセで様々な音を出すことができるようになったので制作ジャンル固定と言う部分では薄れてきたかと思いますが、やはり受け身になってしまうのも事実。
そんな折に突如発表されたのがLIVEN新作のアンビエントマシーン。
MEGA SYNTHESISで慣れてきたLIVENスタイルでアンビエントサウンドに浸れるってので魅力を感じつつ、でも未知のジャンルだしなあ・・・って思いましたが、公開された動画を見て、少ない操作なのにソフトシンセでしか聴いたことが無い様なアンビエントサウンドが出てくるのを見てびっくり。
いや、まあ勿論、それをしっかりとやりこんでいる人ならば既存のハードウェアシンセでもサウンドを作り出せるんでしょうが、アンビエント・ビギナーとしてはやはり驚愕したわけで。
前置きが超長くなりましたが何を言いたいかっていうとですね・・・

まあ、導入したわけですね。
てへぺろ。

シンセスキーの皆様ならわかると思いますが、ソフトにしろハードにしろ、新しいシンセを導入する時って自分に納得させるための言い訳を長々とするんですね。
上記がそれですよ。うん。

と言うわけで「今日から始めるアンビエントミュージック」の為に導入したAmbient0に関してのアレコレとなります。
予定では何回かに分けで書いてく感じになります。

Ambient0に関してですがメインのシンセサイズにBLENDWAVE MODULATION SYNTHESISと言う名称のシンセエンジンを採用しています。
端的に言うとアンビエントサウンドを少ない操作で生成ができる方式となるみたいです。
直訳すると混ぜる・変調・合成って感じなので、トム・ヤム・クン(煮る・混ぜる・エビ)みたいな感じでしょうか。
いや、違う。
絶対違う。

Ambient0では32個のWaveを持つオシレーターがあり、それに対して128段のテーブルを持つハーモニックを設定したり、デチューンやピッチを変更したりモジュレーションをかけたりできます。
これらはBLENDWAVE MODULATION SYNTHESISの4個のノブで行われますが、SHIFT併用で第2パラメーターにアクセスできます。
つまり専用のノブ(エンジ色のノブ)で最大8個のパラメーターを設定して音色を作り上げていきます。
また口述のストラクチャによってオシレーターの数が変更され、これらのバランスを調整することによって複雑なサウンドを作り出すことができます。

Ambient0では4つのレイヤー(うち4番目はノイズ&PCM専用)とレイヤーごとのシーケンサー、レイヤー1~3ごとに選択できる6つのストラクチャ、高品位なリバーブ(ノーマル+シマー)、1系統のマスターエフェクトなどを駆使してアンビエントなサウンドをシンプルな操作で生成できるマッシーンとなっています。
上記の説明だけ見るとシンプルではなく複雑な感じがしますがベースはLIVENシリーズとなるので他LIVENシリーズを利用したことあるユーザーであればそこまで難しくはないかと思います。
LIVENシリーズの要である小型ボディに機能が詰め込まれており、よく考えられた操作法となっています。
一方で小型ゆえにサブ機能へのアクセスも多く、例えばMEGA SYNTHESISではfunc(ファンクション)のみだったサブ機能へのアクセスボタンがSHIFT(ノブのサブ機能へのアクセス)とFUNC(ボタンのサブ機能へのアクセス)の2種を使い分ける必要があったりします。
ちなみにSHIFTに関してはサブ機能アクセス中に両手でノブを回せる様にホールド機能も付いています。

と、ここまでで既にチンプンカンプンな方もいらっしゃるかと思いますが、
ここからは一つづつ見ていきましょう。

まずレイヤーについてですが、これはトラックと同義となります。
本体上には1-4のレイヤーアクセスボタンがありますが、1-3にそれぞれDRONE、PAD、ATMOSと書いてあります。

これらはレイヤーで利用されるストラクチャーの名称となりますが便宜上の名称となり、レイヤーごとにストラクチャーが固定されるわけではありません。
例えばレイヤー1(DRONE)に対してPADのストラクチャを設定しても良いし、レイヤー2(PAD)に対してATMOSを設定しても良いわけです。
もちろんすべてのレイヤーをDRONEにしても良いのです。
一方でレイヤー4のみノイズとPCMの固定となります。
これはアンビエントサウンドに最適なホワイトノイズおよびナチュラルループする8種の高品位ステレオPCMサウンドを持っています。
ノイズとPCMは比率変更(0~100%)が可能となっている他、PCMに関してはプリセットサウンドを上書きする形となりますが8秒間のサンプリング(きれいなループ作成のためのIN/OUTフェード設定可能)することもできます。
各レイヤーはfuncノブと併用することによりミュートをする事が出来ます。
ミュートに関してはMEGA SYNTHESISと同様にシーケンサーのみをミュートする(演奏はできる)モードとサウンド自体をミュートする(演奏はできない)モードを選択できます。

Structure:
ストラクチャはサウンド合成の方法を変更するものです。
Ambient0のオシレーターは32個の波形を持っており、これに様々な変調を施すことにより複雑なサウンドを生成しますが、この変調を行う全体的な構造(または経路?)を設定するのがストラクチャとなります。

ストラクチャは以下の6種となり、1-3のレイヤーごとに任意のものを設定できます。
DRN1K&DRN2・・・ドローンサウンドに適したストラクチャ。
このストラクチャ選択時はデフォルトオクターブが1つ下がります。
PAD1&PAD2・・・パッドサウンドに適したストラクチャ。
ATM1&ATM2・・・アトモスフィアサウンドに適したストラクチャ。

ストラクチャはSHIFT+structureノブ(4つのエンジ色ノブの一番左)により、いつでも任意のものに変更が可能です。

上記が本体に記載されているストラクチャの図。

ストラクチャ(構造)は本体に記載されている図によって確認できます。
空白の六角形がオシレーターを示しており、これに対して各主要パラメータがどの様に作用するかがわかる様になっています。
またオシレーターは黒と白の陰陽となっており、それぞれが黒(陽)オシレーター、白(陰)オシレーターを表している他、モジュレーションのかかる方向が陰陽図(太極図)の様に正の方向と負の方向の様に逆になっています。
その他、[M]はMODパラメータ、[P]はPITCH、[H]はHARMONIC、[d]はdetune、[b]はbalanceを示し、メイン調整用の各ノブがつながった先に作用します。
例えばDRONE2(DRN2)では陰陽2つのオシレーターを持つストラクチャとなっています。
MODは陰陽両方のHARMONICに作用しますが、detuneとPITCHは陰オシレーターにのみ作用します。
また陰陽オシレーターはbalanceノブで比率が調整されます。
このためDRN2ではbalanceを陽側に振り切っていた場合、PITCHやdetuneノブを動かしてもサウンドに変化は現れません。
ストラクチャによっては陽オシレーターのみだったり、利用される陰陽オシレーターの数が違う(陰2つ陽1つなど)ものがあります。
この陰陽のオシレーターによってプラス方向とマイナス方向にモジュレーションが働き、サウンドに対して一つのノブを回鵜だけで面白い揺らぎが発生していくのが醍醐テイストの一つなんじゃないかと思います。

尚、Ambient0での最大同時発音ボイス数に関してはこれらの要素が絡み合って、最終出力段で決定される形となるみたいです(マニュアルによると標準的には全レイヤーで10ボイス程度)。
発音の優先順位に関してはレイヤー1>レイヤー4となっており、優先順の低いレイヤーのサウンドからノートオフされる仕組みとなっていました。
この辺りはMEGA SYNTHESISのFMトラックと同様(FM3>FM1の順)ですね。

Ambient0のファーストインプレッションはこんな感じ。
シーケンスやランダムのトリガー、リアルタイム演奏などを織り交ぜています。
勿論、多少の慣れと練習は必要ですが、この様なサウンドを比較的シンプルな操作で作り出せる感じです。

と言うわけで今回はこの辺で。
アンビエントミュージック、奥が深すぎてヤバいですね。

Ambient0は発表・予約開始直後に初回出荷分がソールドアウトし、現在は第5次生産分(9月12日以降発送予定)の予約を受け付けている最中です。
気になる方、今のシステムに追加したい方、そして私の様にゼロからアンビエントを始めてみたい方、Ambient0製品ページをチェックしてみてください。

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