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no.19 - 2021年の音楽を振り返って

みなさま、お久しぶりです。
今年は、ブログを全く更新できませんでした。ごめんなさい。

毎年恒例の、今年の振り返りです。


今年を振り返ってみると、個人的に音楽はいつも通りコンスタントに聴いていたし、20年以上謎だった音楽制作の技術がわかったり、自分自身としては自分の内面を掘り進め、かなり前進できた2021年であった。

が、一方で、ブログを書くモチベーションが全く湧かなかった。

1月くらいからアルファ株、4月からデルタ株が襲来し、ワクチンを接種するまで不安な日々を過ごし、色々とすることがあり、ブログを書く時間と精神的な余裕がなかった。決して人ごとでない感染症の前で、自分のしていることを見直したり、いろいろと考えたり、実行したり、試行錯誤していた。

まだまだウイルスは予断を許さない状況だが、2022年は新しい時代へ突入していくそうなので、今年一年準備したことで日々過ごして行きたいと思う。

今年、世界で鳴っていた音楽を選んでみましたので、どうぞ。
(特に順位づけはしていません。ランダムにお届けします。メジャー、インディーも関係なく挙げています。気に入ったアーティストがいたら、フォローしてみてください。)

(1)Doja Cat - You Right (feat. The Weekend )

アメリカ合衆国のシンガーソングライター、ラッパー、Doja Cat。
こちらの曲は、随分鳴った音楽だったのではないだろうか?トラップというビートも、7年前は誰も聴いていなかったが、完全に完成形としてメジャーレーベルで使われるようになってしまったな、と思った。

(2)ANZ - You could be (ft. George Riley)

マンチェスターを拠点とするDJ/プロデューサーAnzが、ロンドンのシンガーGeorge Rileyをフィーチャーした楽曲。
80年代のようなビート、Moogと思われるリードシンセ、メロウな音楽。

(3)Charlotte Day Wilson - I can only whisper (feat. BADBADNOTGOOD)

カナダ・トロントのR&B/ソウル・グループ The Wayo のボーカル/サックスを務めた、スムースな歌声の注目のシンガーソングライター Charlotte Day Wilson。
トロントを拠点に活動するインストバンド、BADBADNOTGOODをバックに、スムースな音楽を奏でる。

(4)BADBADNOTGOOD - Beside April (Feat. Arthur Verocai)

上記のBADBADNOTGOODが今年新しいアルバムを出したが、なんとブラジルの作曲家の大御所、アルトゥール・ベロカイとの共作のこのトラックは驚いた。
アルトゥール・ベロカイは、1972年の名作が有名で、DJ界隈で必聴アルバムとして名高い。
BADBADNOTGOODは、演奏をやりすぎない。いい間がある。聴いていて飽きないし心地いい。

(5)Adele - All Night Parking (with Erroll Garner) Interlude

今年、アデルがニューアルバムを出して、”Easy on me”がよく流れていた。
が、こちらのトラックの方が心地よかった。
私の大好きなジャズピアニストの巨匠、Erroll Garnerのピアノをサンプリングした素敵な曲。
最初聴いた時、声がアデルだとわからなかったが、新境地を見た感じがした。

(6)Machinedrum - Only One (feat. Angelica Bess)

久しぶりの、Machinedrumの新作。アメリカのトラックメーカー、トラヴィス・スチュアート。8年前くらいはよく聴いていた。
彼はだんだんに変拍子の音楽を作るようになってきたようだ。

(7)Samm Henshaw - Grow

イギリスのソングライター、Samm Henshaw。
ゴスペルルーツの彼の歌は、非常にソウルフルだった。

(8)Fred again.. feat. Baxter Dury - Baxter

イギリスのシンガー、ソングライター、マルチインストゥルメンタリスト、レコードプロデューサー、リミキサー、フレッド・ジョン・フィリップ・ギブソン。
非常にハウシーなトラックで、とにかく素晴らしい。今年はこの曲の開放感に救われた。

(9)Nuby Garcia - Pace (Moses Boyd Remix)

現代のUKジャズを牽引する集団、”Tomorrow’s Warriors “に位置する、女性サックス奏者、Nuby Garciaの曲をジャズドラマー、Moses Boydがリミックスした音楽。ビートはJukeのような雰囲気があり、新たな息吹がジャズに吹き込まれたと実感した。

(10)Athletic Progression - Osaka

デンマークを拠点に活動する、新しいジャズインストグループ、Athletic Progression。
生演奏ならではの疾走感と、異常なまでの細かいドラミングは、ジャズの新たな地平を切り開いた。

(11)Amber Mark - What It Is

ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサー、Amber Mark。
緩めのビートとアンバーの歌声が心地よい。来年、フルアルバムが出る模様。

(12)Brandee Younger - Reclamation

アメリカのハープ奏者、Brandee Younger。
クラブジャズを聴いていた人にはおなじみのドロシー・アシュビーとアリス・コルトレーンによって開拓されたハープの伝統に、クラシック、ジャズ、ソウル、ファンクの影響を吹き込んだ、新しい感覚。

(13)Hiatus Kaiyote - And We Go Gentle

久しぶりのHiatus Kaiyoteの新作。大手メジャーレーベルから、Flying Lotus主催のアメリカ西海岸のBrain Faderに移籍し、どこかしら音楽の自由度が上がった気がする。
ビデオは、自由度満載で、面白い。

(14)CHERISE - Remedy

新人のジャズ系シンガー、CHERISE。Gregory Porterの作品に参加したりと、歌声が評価されつつあるニューカマー。ほとんど情報がないので、どこの人かはわからないが、非常にいい歌だと思う。

(15)Cleo Sol - Promises

ウェストロンドン出身のCleo Sol。母方がセルビア系のシンガー兼ギタリスト、父方がジャマイカ系のベース&ピアニストという両親を持ったシンガーソングライター。
非常に内省的で、スピリチュアルな感じもある、間のある優れた音楽。

(16)Roy Hargrove & Mulgrew Miller - Blues for Mr. Hill

アメリカを代表するトランペッター、Roy Hargrove。最近音沙汰がないと思っていたら、2018年に腎障害で若くして逝去していたことを今年知った。非常に残念だが、今年出た彼のライブアルバム。
トランペットの音が非常にデカイ。
最近、MISIAと活動している日本を代表するトランペッター、黒田卓也氏も彼が大好きだったようだ。
現代の若手のトランペッターだと、Christian Scottも刀のような鋭利な音を奏でて好きだが、D’Angelloの名作”Boodoo”などでクールな新しい境地を開いたRoyのアプローチは永遠だろう。

(17)Alex Isley - Still Wonder (feat. Robert Glasper)

Isley Brothersのギタリスト、Ernie Isleyの娘で、UCLAでジャズ研究の学士号を取得した秀才、Alex Isley。ロバート・グラスパーのピアノをフューチャーし、また新しい響きを届けてくれる。
この曲は、コードのアプローチが旧来のジャズ理論からすると斬新で、非常に面白く勉強になるのだが、ここでは割愛する。
とにかく、聴いてて浮遊感を感じつつ、新しい音楽が聴ける。

(18)Jon Batiste - I NEED YOU

2022年のグラミー賞のタイトルをほとんどとってしまうだろうと言われている、Jon Batiste。ルイジアナ州出身で、ジュリアード音楽院を出ている。
聴いて面白いのは、スタイルが非常にオールドスクールで、南部ニューオリンズの音楽の歴史の系譜を色濃く反映している点。これが2022年のグラミー賞候補に選ばれているのは、彼の人種や文化への多様性認識と寛容性という精神が評価されてのことだと思う。
それにしても1950年代から1960年代のビートをベースに作っているこのトラックが、今アメリカで受けているという現状は非常に面白い。


(19)Alicia Keys - Best of Me

ご存知、アメリカ合衆国の女性シンガーソングライター、Alicia Keys。
デビュー曲があまりに完成度が高すぎて、その後随分と苦労したようだが、近年の彼女の音楽は素晴らしいと思う。
力んでなく、自然体で、音楽に浮遊感がある。そして芯をすごく感じる。

(20)Kenyon Dixon & PJ Morton - Escape

ソングライターとしてUsher, Mary J. Blige, Tyrese, John Legend, Faith Evansらに楽曲を提供し、シンガーであるKenyon Dixonと、マルーン5の一員でシンガーソングライター/プロデューサー/キーボード奏者として幅広い活動を続けるPJモートンの共作。
これも非常にいいトラックだった。

(21)Butcher Brown - Truck Fump

ヴァージニア州、リッチモンドのジャズファンクバンド、Butcher Brown。
現代的なヒップホップ、70年代フュージョン、60年代ジャズ、ファンク、そしてサザン・ロックなどジャンル、世代、民族、が混ざった不思議なバンド。
一聴して面白いな、と思った。

(22)Sinead Harnett - Distraction

タイ人の母親とアイルランド人の父親を持つエキゾチックな美貌と、艶やかなボーカルのイギリスのエレクトロR&Bアーティスト、Sinead Harnett。
非常に良いビートとクールな歌声が特徴的。

(23)VanJess - Caught Up  ft. Phony Ppl

アフリカ・ナイジェリア出身、LAで育った IvanaとJessicaの姉妹ユニット、VanJess。このトラックもよく聴いた。
こういう間のある心地よいエレクトロニックなバックトラックに、ソウルフルな歌声をのせる楽曲は、アメリカ、イギリスにおいては最近多く出てきているが、日本の音楽にはあまり反映されていないような気がした。

(24)Giveon - Heartbreak Anniversary

アメリカのR&Bシンガーソングライター、Giveon。
非常に個性的な歌声は、どこか悲しい。
この曲はタイトルを見ただけで切なくなるが、楽曲も非常に切なくて、素晴らしい。

(25)Melody Gardot - From Paris With Love

アメリカのジャズシンガー、メロディ・ガルドー。
若い頃に交通事故で視覚過敏の後遺症を背負ったが、リハビリとして医師に進められた音楽セラピーによって楽曲を書き始めたという経歴の持ち主。
この曲の癒しの力は素晴らしかった。夏にデルタ株が広がった辺り、この楽曲に私は救われながら、疫病が収束したその後に広がる人々の安堵の日々を想像していた。
人の痛みがわかるからこそ、こうした癒しのメロディーができるのだろう。


いかがでしたでしょうか?
来年から、このブログは、毎回一人の音楽家に焦点を絞って紹介していこうと思います。特に、現在アメリカやイギリスの現在志向形で、日本ではほとんど紹介されていない音楽家にスポットを当てて行きます。

検索システムやSNSがフィルターバブル化し、今年は特にAIが色々なものをオススメしてくる頻度が増え、ほとんどが的外れなものだったと個人的に感じました。
それはサブスクリプション音楽のシステムでも見られ、ほとんどの人が未知なる音楽に到達できない環境が揃った気がします。

音楽雑誌で情報を集めにくくなって、外国の音楽へのアプローチができなくなっている人が多いと聞いたので、そういった方々に少しでも参考になる記事を書いて行きたいと思います。


さて、ここでお知らせですが、2022年から、私、Masanori Takahashiの音楽プロジェクトSound Style Cloudsから、The Immersive Callingsというサウンドトラックをリリースします。

来年2月からリリースして参りますので、よろしくお願いします!

こちらも、どうぞ、お楽しみに!!

それでは皆さま、良いお年を。

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