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市の財政についてどう考える? その2

4年前にこんな文章を書いていました。4年間の続きでもあるので「その2」とつけました。

今回は、誰も書いていない視点から御前崎市の財政について変化球(多分)を投げたいと思います。議員なってみて初めて見えた風景です。

結論から言えば、御前崎の財政は、ずっと原子力政策に翻弄されてきたと私は考えています。誤解のないように書いておきますが、原子力そのものではなくて、原子力政策です。これがセンターピンです。

もちろん、国の政策のせいにしないで、自分達がもっとしっかりやったらいいではないかというご批判があることは理解します。それが正論です。でも、人口3万人を切っている高齢化率のかなり高いまちに「しっかりやれ」と指をさされても、それはちょっと机上の空論的だと私は思います。ごめんなさい。

東日本大震災後の2011年5月に浜岡原発が停止しました。

それから12年。(地元新聞のアンケートはこちらにありますのでご参考までに)
あのとき、まさ浜岡が12年も停止するとは誰も思っていなかったと思います。
今期で退任する御前崎市長も、まさか自分が市長任期の8年の間に再稼働ができないとは、就任された時には思ってもいなかったのではないでしょうか?私が議員なった4年前も、任期中に動きが出るだろうなあって思ってました。

御前崎市の財政は、以前から、浜岡原発が稼働するか?しないか?が大きいのは公然の事実です。加えて要するに今は↓

原子力政策で建ててきた公共施設が、原発が止まったままでは維持できなくなりそうになっている。
原発立地自治体の特典でもあるような高い公共サービスが、同様に維持できなくなってきている。

というのが、今回報道されたりしている財政の課題です。(追記:3月29日(金)の静岡新聞にも詳しく書かれていましたね。余談ですが、その記事で財政緊急事態宣言とかについて質問したのは私です。私は出した方がいいと言ったわけではなくて、出す気はあるのか?と市役所側(執行部)に質問しました。聞いている人によってのニュアンスの違いってありますね。

財政健全化は課題ですし、手をつけないで言い訳じゃない。ただ、その課題解決をするのが御前崎市だけなのか?とも、私は思うのです。

なぜなら、この財政の課題は、かつてのお金が潤沢にあった原子力政策+東日本大震災後の運転停止要請からその後の原子力規制委員会による審査がここまで長期化するとは誰もわからなかった事の、膿のようなものだとも、私は思うからです。

もっと言えば、行政の予算は単年度です。入ったものを多額に貯金することはできない仕組みなんです。だからかつて浜岡町時代は「どうやってお金を使うのか?」で苦労したとも聞いています。

なんでそんなバカバカしい仕組みをずっと変えることができなかったのか?いつか(当時は40年後)廃炉になる事は明らかなのだから、潤沢な予算をもっと来たるべき時の貯金に回すような政策はできなかったのか?原子力の補助金で作られる箱物もいつかは維持管理が難しくなることは、当時の誰もわからなかったのか?箱物に許認可を出した国なり県なりの責任はどこに行ってしまっているのか?こんなイケイケの補助金を出してきて、使ってきた責任はどことどこにあるのか?
この辺りの、国の政策や政策誘導はどうだったのかをいつかちゃんと調べてみたいです。まるで御前崎市のリーダーたちだけが愚かだったみたいなベクトルだともう一つの大事なことが見えなくなるんじゃないか?と思うんです。私には、そこが本丸のような匂いもします。

あと、御前崎市長の誰がなっても難しかったと思うんです。この町では、少なくとも(安全性は担保された上で)再稼働容認以上でないとトップにはなれないと今日の段階では思います。なので、「しばらく(ないし長い間)原発は動かないと思うから、財政を引き締めましょう」という、市民への一番わかりやすいメッセージを発する事は、多分このまちではできなかったです。

今回の議会でも、財政について、あいつが悪い、いやそうじゃなくて、、、っていうような内輪揉めのような感じで議論がされたりもありました。それはそれとして(私はそういう誰が悪いか的な議論はしない性分なのでやらないですが)、もっと上から俯瞰してみたら、御前崎の行政が翻弄されている原子力政策があることに気がつくでしょう。そこをどこかで議論してこれていたら、今頃には課題が整理できていたと思うのです。そこがもったいなさすぎと思います。でもそれがタブーだった事もよく理解しています。

私は、今回の御前崎市で起こっている事は、これからも日本のどこかで起こりうることだと思っています。原子力だけでなく、住民があまり喜ばない施設の受け入れを地方にお願いする事を多額の補助金で誘導するのならば、それが四半世紀後に負の遺産にならないような、責任ある政策誘導なり支援パッケージが必要だと思うのです。

責任を国とかに転嫁して、自分達は愚かでないと言うつもりは全くありません。やれることはやってきたし、これからもやるつもりです。
でも、考えれば考えるほど、本当に御前崎市だけの責任、市長だけの責任、議会の責任でいいのなんだろうか?そう思わされることによって、別の誰かの無責任やそれ以上のことを見逃していないか?とも思っています。

参考までに、猪瀬直樹氏(日本維新の会、参議院議員)の、国土強靭化という多額のお金が使われている政策についての最近の国会での質問をリンクしておきます。この構造を詳らかにした猪瀬さんはさすがだと思います。











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