【母系インブリードから探せ】社台&サンデー2024年募集選馬
(1)すべてはHighlightから始まった
ディープインパクトの5代血統表を見ると、4代母に Highlight という馬がいることに気が付く。
この Highlight は今年(2024年)の桜花賞を優勝したステレンボッシュの6代母でもある。
Highlight の5代血統表を見ると、Hyperion(ハイペリオン)の3 x 2(37.50%)という濃いインブリードを持っていることがわかる。
Hyperion と言えば、20世紀以降の現代競馬の基礎を作った偉大な種牡馬であり、「サラブレッドの芸術品」とまで言わしめた稀代(きだい)のサラブレッドである。
Highlight はこの血を三分の一以上も受け継いでいる。
この Highlight の子孫でG1優勝馬について、私が気づいた分だけを挙げると、以下のような名馬・優駿を輩出している(母系しかもボトムラインのみに限定して見ることにする)。
(国内)
・ディープインパクト(牡、3冠馬、ジャパンカップなどG1を7勝)
・ウインクリューガー (牡、NHKマイルC(G1)ほか)
・レイデオロ(牡、東京優駿(G1)、天皇賞(秋)(G1)ほか)
・レガレイラ (メス、ホープフルS(G1))
・ステレンボッシュ(メス、桜花賞(G1))
(海外)
・タリスマニック (牡、BCターフ(G1)、種牡馬)
・ウインドインハーヘア(メス、アラルポカル(G1)、ディープインパクトの母)
・Fly to the Stars(牡、ロッキンジS(G1)、種牡馬)
・Right Approach(牡、ドバイデューティフリー(G1)、種牡馬)
G2・G3ともなると数えきれないほどの優勝馬が Highlight の血を持っている。
ここ1、2年に限定してみても、去年(2023年)のG3 紫苑ステークスを勝ったモリアーナ(メス、父エピファネイア)もボトムラインの6代母が Highlight である。
このような濃いインブリードを持つ繁殖牝馬や種牡馬の子孫から多くのG1優勝馬を出している。
この現象は、生産者が名馬の血をインブリードという形で一点に集めて(凝縮)、名馬のパフォーマンスをその馬や子孫の馬たちで再現する(解放)という構造をとっている。
つまり、濃いインブリードを持つ馬(今回の記事では繁殖牝馬)に注目してその血を受け継ぐ子孫の馬を選馬することで、重賞勝ち馬を抽出することができる。
このような理論を「血の凝縮と解放」と呼ぶことにする。
こうした考えは私が最初に唱えたものではない。
血統評論家や様々なメディアでプロアマ問わず言われていたことである。
こうした断片的な知識を私は事例を豊富に集めて体系化し、わかりやすく解説した。
この記事では、この「血の凝縮と解放」理論をもとに今年(2024年)の社台&サンデーサラブレッドクラブの募集馬のなから、ボトムラインに濃いインブリードを持つ牝馬に光を当てて、当たり馬を模索してゆきたいと考えている。
選馬の決め手のひとつとして、私が開発した「新・測尺評価法」に基づく馬体評価も加味した。
クラブホームページで測尺が発表され次第、この記事で取り上げた募集馬について、計算・評価を行い、巻末に付す予定である。
ほかに巻末に付録として、2021年~2024年のJRA重賞優勝馬のボトムラインに濃いインブリードを持つ馬のリストを作成して添付した。
会員の皆様の参考になれば幸いです。
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