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【ドレフォン産駒の価格を考える】第1回

(1)1口馬主ドレフォン産駒は高い or 安い ?

この稿を書いたきっかけは東京サラブレッドクラブで募集されているドレフォン産駒の2頭(ルージュリッシュとレッドバロッサ)の1口価格を見ての感想だ。

ルージュリッシュ(メス、1口:10万円/400口)

レッドバロッサ(牡、1口:12.5万円/400口)

社台・サンデーの1口馬主(40口)に換算すると、ルージュリッシュは100万円、レッドバロッサは125万円となる。

ルージュリッシュは祖母にベルワトリング Belle Watling (2006年生まれ、父Dushyantor、チリ年度代表馬)。

レッドバロッサはおじにフライングアップル (セン馬、2004 年生まれ、父Rahy、スプリングS(G2)優勝)、ナイスミーチュー (牡、2007 年生まれ、父キングカメハメハ、 シリウスS(G3)、マーキュリーC(G3)優勝)。

両馬とも一応、良血といっていいが、牝馬で100万円とは、高い。

高価格帯のディープインパクト産駒牝馬の相場が40分の1で1口125~

175万円からすると、それに次ぐ価格帯に属する。

(2)東サラ2019年産のドレフォン産駒募集額が高い理由

高いのにはわけがある。

東京サラブレッドクラブ募集のドレフォン産駒はセレクトセールで仕入れてきているから、募集価格も当然、セールでの落札額に上乗せした形になる。

募集額が高いということは、落札額も高いということだ。

そこで2019年と2020年のセレクトセールのドレフォン産駒落札額を調べてみた。

●セレクトセール2019・当歳馬のドレフォン産駒落札額

セレクトセール2019ドレフォン産駒当歳価格①

セレクトセール2019ドレフォン産駒当歳価②

落札された産駒は12頭で平均落札額が5700万円。

牡馬は7頭で平均落札額が7571万円。

牝馬は5頭で平均落札額が3080万円。

アドマイヤセプターの2019とヴェルザンディの2019の良血2頭がそれぞれ2億5000万円と4000万円の高額で取引されたため、平均落札額を押し上げている。

ちなみにノーザンファーム系の生産者(販売者)の上場馬については、9頭で平均落札額が6878万年。

うち、牡馬が5頭で平均落札額9680万円。牝馬が4頭で平均落札額3375万円。

さすがにノーザンファアームブランドである。

この年はドレフォン産駒の上場初年度ということもあり、話題作りのためにノーザンファームは良血馬アドマイヤセプターの2019を上場させた。

しかもドレフォン産駒の中で競りの最初に持ってきて、高額の価格形成を誘導しようという目論見がズバリ当たった形だ。

東京サラブレッドクラブのドレフォン産駒の2頭(ルージュリッシュとレッドバロッサ)の高価格もこのようなノーザンファームの戦略のあおりを受けて高額で落札された価格が募集価格に反映されたと考えることができる。

(3)セレクトセール2020でドレフォン産駒の落札額

それでは、その後、ドレフォン産駒の落札額はどのように変化したのだろうか。

セレクトセール2020でドレフォン産駒の落札額を見てみる。

●セレクトセール2020・1歳馬のドレフォン産駒落札額

セレクトセール2020ドレフォン産駒1歳価格

セレクトセール2020ドレフォン産駒1歳価格②

●セレクトセール2020・当歳馬のドレフォン産駒落札額

セレクトセール2020ドレフォン産駒当歳価格

まず1歳馬から。

落札された産駒は11頭で平均落札額が3164万円。

牡馬は6頭で平均落札額が3700万円。

牝馬は5頭で平均落札額が2520万円。

次に当歳馬。

落札された産駒は6頭で平均落札額が3183万円。

牡馬は5頭で平均落札額が3220万円。

牝馬は1頭で落札額が3220万円。

セレクトセール2020のドレフォン産駒、当歳馬・1歳馬をまとめると以下の通り。

落札された産駒は17頭で平均落札額が3171万円。

牡馬は11頭で平均落札額が3482万円。

牝馬は6頭で落札額が3133万円。

(4)セレクトセールでのドレフォン産駒落札額の推移

以上、セレクトセール2019と2020のドレフォン産駒落札額をまとめた表を作成した。

●セレクトセールでのドレフォン産駒落札額の推移(金額いずれも平均、値は万円)

2019年のドレフォン産駒平均落札額が5700万円であったが、これはアドマイヤセプターの2019(2億5000万円)が平均値を引き上げているので、この馬の落札額を除外して再計算したものを2029年修正値として掲示した。

この表を見ると、2019年のセレクトセールでは、平均落札額が2020年に比べて高い。

アドマイヤセプターの2019が2億5000万円と突出しているからこのような数字になるが、この馬を除外した修正値で比較しても平均落札額と牡馬の平均落札額が2019年のほうが2020年よりも1000万円以上高い。

これは、繁殖馬の質の違いで説明できるかもしれないが、その質をうまく数値化できないので、アドマイヤセプターの2019を除外して、考えないことにすると、やはり、初年度ドレフォン産駒に対する期待とノーザンファームの戦略に購買者はまんまと乗せられたと見ることができる。

ただし、この年落札されたドレフォン産駒が活躍すれば、むしろ購買者の先見の明があったと賞賛することができるだろう。

【ドレフォン産駒の価格を考える】第1回 終わり

【ドレフォン産駒の価格を考える】第2回 1口馬主のドレフォン産駒価格を考える に続く

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