20周年の今だから 『スクライド』を観よう

スクライド。
能力者バトルアクションの不朽の名作と評されるアニメ。
私が生涯これ以上夢中になった作品ないだろうってアニメ。
そんな一作がついに今年20周年を迎えます。

私を古くからTwitterでフォローして頂いてる方は、スクライド知ってる方がほとんどだと思うのですが(Twitter垢開設当初ほんとにずっとスクライドの話ばっかしてた)、
まだ未見の方に向けてだったり、自分がこの作品に対して抱えている思いだったりをまとめていこうと思います。

どんなアニメ?

2001年の7月から、テレビ東京系の夕方に放映された作品。
近未来の日本、大規模な地殻変動が起こったせいで外界と断絶することとなった荒野「ロストグラウンド」が舞台となる。
この荒れ果てた大地に生きる二人の男、”カズマ”と"劉鳳"。
野生、粗暴な無法者として生きるカズマ。
正義、秩序の執行人として生きる劉鳳。
この相反する二人が出会い、激突することから始まる物語です。

この作品のキーとなるのが「アルター能力」。
このアルター能力は、上記した「ロストグラウンド」に生まれた子供たちに稀に備わる特殊能力。周囲の物質を素材にすることで、自分だけの特殊能力を行使するための存在を形にする力です。
イメージしやすいのはジョジョのスタンド能力でしょうか。
使える力は人の個性によって様々。
ドでかいロボットだったり、人を洗脳するマシンだったり、
自分の身体能力を何倍にまでも跳ね上げる鎧だったり、
あるいは自分だけの理想の女の子を作ったり(本当にそういう奴が劇中出てくる)。
この能力を駆使して、ロストグラウンドで生きる者たち同士が劇中幾度となく激戦を繰り広げていきます。

能力バトルアクションアニメとして

本作をジャンル分けするとしたらまぁこの一言が当てはまるでしょう。
主人公のカズマの能力は、ただひたすらに強いパンチを打ち出すための右腕「シェルブリット」。
されど、その強い拳を打ち出すための洗練された能力は強力無比。
第1話の初登場時、ビルと同等の大きさの巨大メカのようなアルターを、
カズマはこの拳一つで粉砕するという鮮烈なデビューを飾っています。
この時の演出・音楽が非ッッッッ常にカッコイイ。
この拳一本で、カズマは津々浦々、魑魅魍魎ひしめくアルター能力者たちと戦いを繰り広げていくわけです。

対してもう一人の主人公、劉鳳の能力は「絶影」。二本の鞭を振るう、冷酷無比な印象を受ける人間大の小型ロボットのようなアルター。
第1話の時点で、実はカズマはこの劉鳳に負けます。ボコボコにされます。
直前の戦いで鮮烈なデビューを飾ったのにも関わらず。
傷ひとつ、触れることすら叶わず、その自慢の拳は砕かれます。

しかし、ここからカズマの物語が進み始めます。
これまでただ無為に暴れ回るだけだったカズマが、
「絶対にあのいけ好かない劉鳳をブチのめしたい」
という意思の元、より力を求めるため前に進み始めます。

対する劉鳳も、その力の潜在性、そして何よりただのチンピラにしてはあまりにも強すぎる意思を感じ取るにつれ、ただの鎮圧した暴徒の一人でしかなかったカズマへの認識を改めていくこととなります。

この二人の激突が、ロストグラウンドに生きる様々な人々を巻き込んでいき、やがて大きなうねりとなる… というのがスクライドの大筋です。

やはりこのアルター能力を軸にした、派手かつ泥臭い戦闘が魅力ですね。
スクライドという作品は、
「カズマと劉鳳、この二人がどう決着を付けるか」
という終着点をもとに作られた非常に軸のシンプルな作品です。
このシンプルな話を最大限盛り上げるための熱い主題歌と、熱い演出と、熱い芝居、セリフ回し。これらがこの物語を最大級に彩ります。
「バカが拳で殴り合う」
これを最も楽しむために計算され、最適化されたプロの仕事の結晶。
スクライドが未だ愛されている要因の一つと言えるでしょう。

痛み、そして喪失の物語としてのスクライド

ただ、私がもう一つ付け加えたいのが、上記した
「痛み」「喪失」というキーワード。
私はこれがスクライドの好きな部分であり、今でも人の心のどこかにスクライドが残り続ける要素なんじゃないかと思っています。

カズマと劉鳳は、話が進むに連れてより強い力を求め、実際にそれを手にしていきます。
ただ、カズマと劉鳳はより強い力を手にする度に、大切な何かをどんどん失っていきます。
強さを手にしていくはずなのに、その影で生まれる悲劇、切り捨てたものの大きさ、果たせなかった本来の目的、そして失われるのは…

強くあるため、自分の意思を通すため。
カズマと劉鳳は様々なものを切り捨てていきます。
最終的にこの二人はあの世界で最強クラスのアルター使いとなっていくのですが、終盤の二人のとあるシーンでこれが非常に効いてきます…

そもそも、すべての根底にあるアルター能力。
周囲の物質を素材にして、自らの力を具現化する力。
実はこの素材にした物質はもとには戻らず、アルターの使用をやめ解除してしまうとそのまま消えてしまいます。
「何かを失いながらやっと使える能力」と捉えることもできるわけで。

まずスクライドは上記したように、非常に計算され尽くした作品です。
最初から最後まで観ると分かるんですが、全26話ほんとに無駄な話がないんですよ。どの話でも何かしろの話が進んでいて、一見進んでいなくとも物語の結末のために重要な要素が確実に組み込まれています。かつどの回も必ず魅せ場がある。

「喪失」というキーワード、たぶんスクライドの根底のテーマとして最初からあって、それを徹頭徹尾貫き通してるんじゃないかなと思っています。
舞台だって”ロスト”グラウンドなわけだし。この無駄ないシリーズ構成、ストーリーからして、最終回から逆算して物凄く丁寧に作った作品なんじゃないかなと。
だから私は、スクライドを「哀しい物語」だと思っています。
ただ、全ての登場人物が大なり小なり何かを失いながらも、それでも意思を以て前に進み続ける姿が本当に元気を貰えるんですよね。
だから最終回のED「旅立ちの鐘が鳴る」が本当に染みる…
この作品がもつ色んな要素、そのすべてが奥行きを深めていて。
それがスクライドを不朽の名作たらしめているのかなと今では思います。

おわりに

最後に申し訳ないんですが、私実は放送当時リアルタイムで見れてたわけではなくて、しばらく経ってからDVDとかで観て知った口なのです。
そういう意味では、少し古い作品ではあるけど思い出補正というよりは、作品そのものの面白さで人を魅了できるポテンシャルを持っていることの裏付けになれればなーと思っています。

視聴方法としては今のところバンダイチャンネルかdアニメストアですかね。

ちょっと前はアマゾンプライムでも見れてたんですが個別販売に。Dアニメストアと連携できればそっちでも観れるそうです。

実は10周年を迎えた際、劇場再編集版も作られていたりします。

映像も綺麗になり、最新技術で新規映像も追加されて大変良かったのですが、一部省略されたエピソードもあるのでやはり先にテレビ版を見ていただくのが個人的には嬉しいです。えっこれももう10年前!?

そんなこんなで20周年を迎えてしまったわけですが、
自分なりの何かしろの考えとか狂気を形にしてネットに残しておきたくて、ふと筆を執った次第であります。

今でも大好きな作品の一つなので、より多くの人に知ってもらえれば。
それから今でも好きでいてくれる方々、本当にありがとうございます。

20周年、なんか動きあるといいなぁ…

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