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リモート葬儀のはなし

リモートで通夜と葬儀がありました

海辺の小さい町の、小さい斎場でお葬式がありました。
ばあちゃんのお葬式で、喪主は我が父です。

この「ご時世」なので、斎場の方が、通夜と葬儀(出棺まで)を配信して下さり、県外在住の私含めた孫たちはモニター越しに参列でした。
県内在住の親族、ばあちゃんの子(親世代)は生身で参列です。

通夜のときは音声の不都合があり、画面も固定だったため、なんだかふんわりした参列となりました。
それでも、久しぶりにイトコやおじちゃんたちの顔が見れたので、参列した甲斐はあったかな、という感じです。

親戚一同、各地に散らばっているせいもあって、冠婚葬祭以外ではめったに会いません。仲が悪いわけではないけれど、まさに遠くの親類・近くの他人です。
結婚式も祝い事もしない派が多いので、数年に一度の葬式が再会の場になっています。
今回は画面越しの再会になりましたが。

なので、ばあちゃんともたまにしか会わず、ばあちゃんが死んでうわーん悲しいよ~!という気持ちは正直、湧いてきません。
ちょっとだけ、ばあちゃんはどんなことを考えながら、考えを変化させながら生きてきたのかな?という興味、その答えを知ることはもうないのだな、という一種の喪失感はありますが。

と、話がずれました。

通夜はふんわりした感じになったものの、翌日の葬儀では、音声の調整もしていただいて、メインの固定画面以外に、動いて配信してくださる係の方もおり、通夜よりも参列した雰囲気を感じられました。
しっかりちゃんとお葬式でした。


お葬式の意義とリモートの効果

「お葬式は故人のためというよりも、遺された人のため」
と言いますが。
悲しんで良い場をつくる、儀式を通じて気持ちを切り替える、といった効果の他に、
近しい人で集まって、おしゃべりしたりゆっくり過ごしたり、久しぶりの再会でほっこりしたり、そういう気持ちを紛らわせる効果もあるんだな、と改めて思いました。

今回のリモート葬儀では、葬儀場内だけの配信だったので、前述のようなお葬式ならではの楽しみ(楽しみ、というと不謹慎かもしれませんが)がなくて、より淋しさが増した気がします。

淋しさが増した、というよりも、親戚と絡むという刺激がなかったぶん、「お葬式とは、人の死を悼むとは」について考える余裕があった、と言う方がしっくりくるかも知れません。
普段のお葬式では感じない感覚でした。

ぼんやりとこんなことを考えていました。

――お葬式を通して、自分の中に先祖代々のかけらが増えていくんだろうか。
(スピリチュアル的な意味ではなくて)葬儀を通じて考えたり、見たりして感じたことが、何かのかたちで参列者のなかに蓄積される。それが何世代も前から続いている。
遺された人の中に故人がつづく、とはそういうことなのかも知れないな。

「遺された人のため」というのは、何かを感じて、自分の経験値や価値観にひとつ加える意味合いも含まれているのかな。
葬儀の場はそれを複数人で共有する場なのかな――、と。

見て聞いて何か感じて考えてしまった以上は、それ以前の自分には戻れませんからね。たとえ深く考えずに、意味も分からず参列したとしても、何か感じるものはあるでしょう。
針のさきより小さい刺激で、すぐに埋もれてしまう場合もあるかも知れませんが。

と、リモート葬儀ってこんなんだったよ、というようりも。
リモートといういろいろ考えられる環境だったため、いろいろ考えちゃったことの話になりました。


今の時代に合いそうなお葬式のかたち

さて、そんな考える時間を与えてくれたリモート葬儀ですが。
率直な感想としては「ご時世関係なくアリだな」でした。

何がアリかって、

・移動時間や待ち時間を別途使用できる
(お葬式まで合理化・効率化せんでも…とは思いますが)

・親戚付き合いが難しい人もいる
(血縁関係に縛られない家族の多様化、進んでますよね)

・どんな人でも参加できる
(入院中でも、人に会えない・出かけにくい事情があっても)

・費用の低減
(交通費や宿泊費はかかりませんし、斎場の規模もコンパクトで済むでしょう)

というメリットです。
今の時代(多様性を認めていく)に合ったお葬式のかたちだな、と思いました。

個人的には、斎場の飾りがtheシンプルだったのが良かったです。

少人数だったせいか、喪主の好み(父はシンプル好き)が反映されたせいか、今まで参列したお葬式のなかでいちばんシンプルでした。
(シンプルということは、無駄に捨てられる花やゴミも少なくて済むメリットもあるのでは、と思います)

もちろん、シンプルに送るのも、きらびやかに飾って送るのも、ご遺族の自由だと思っていますよ。

そんな風にメリットを感じたリモート葬儀ですので、この後廃れてしまうのはもったいないです。
このまま世に浸透するには、もう少し進化が必要かもしれませんが。


これからのリモート葬儀

今回のリモート葬儀では、まだまだ発展途上の分野なんだな、ということを感じました。

斎場の方も、配信に特化した人員をそろえているわけでもないでしょうし、手探りの中、遺された人のことを思ってはじめられた取り組みでしょう。
それには感謝と尊敬しか湧きません。

ですが、もしこれからこの葬儀のかたちが進展していくのなら、ここが改善されると嬉しいな、という点もありました。

今回は出棺のお見送りまでの配信で、最後まで見送れないのはすこし淋しい気もあり、火葬場まで配信があっても良かったなと感じました。
火葬待ちは親戚のおしゃべりタイムという一面もあるので、配信係でいる斎場の人は気まずい気持ちになりそうですが。

それに付随して、親戚たちと少しお話できるといいな、とも思いました。
お話できるのがデフォルトとなると、最低限の関りだけで葬儀を済ませたい人にはしんどいかも知れませんが。

もちろん、撮影の技術などは向上してくれるものとして考えてます。
親戚内でやりたい人がいれば、撮影&配信を任せてもいいかも知れませんね。

あと、別に要望ではないのですが、リモート葬儀の画面から香典をワンクリック送信(クレジットカード払い)とかできる時代もくるのかな、とか想像しています。
(そうなると香典泥棒(←死語?)とかの心配も減って、管理も楽になるでしょうね)


さて、新しいことが始まると、反発が起こるのが常なので。
もしかしたら、このご時世でなければ「リモート葬儀などはけしからん」みたいな声もあったかもしれません。

実際に参列してみると、ぜんぜんそんなこと(けしからん感じ)はなかったです。

私も「あまり参列した気にならないかな?」と思っていましたが、ちゃんと着替えて、ちゃんとPCの前に座ってたら、ちゃんとお葬式でした。

もちろんバレないので、だらっと部屋着で寝転がっても見れました。

けしからんくなるかならないか、要は参列する方の気の持ちようだろうな、と思います。
参列しててもダリィなぁ、などと思ってたら、それはけしからんくないのかって話です。

(※別にリモートけしからん!と言われたわけではないので、想像のクレームと戦いました)


これから先、実際に参列する、リモートで参列する。どちらでも状況に合った方を選べるようになると良いなぁと思います。


最後に。
田舎の小さい斎場でしたが、リモート配信してくださったことに感謝です!
(そういうの都会の大きいとこでしかしてないのかな、と思ってました🙇‍♀️)

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