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真意

 「呼吸をしているのは誰じゃ」「もちろん『私』です、とでも言わせたいと」「寝ている時にその『私』はどこにおる、という質問を先読みしたのじゃな」「『私』であり『私』ではない、とでも答えておきましょうか」

 「まず木が必要じゃな。そして、その木が存在するためには... もうお分かりか」「分かつことのできない『全体』。しかしその『全体』には人格も名もない、ではいかがでしょう」「山川草木、森羅万象、『私』じゃな」

 「その意図を探れば、解釈無限。出口のない道に迷い込む」「そして、入口も出口もないことに気付くまで旅は続く」「疲れ果て坐りこんだ途端に『ああ!』と」「何度も何度も。何をしようがどこへ行こうが『ここ』じゃと」

 「その『ここ』とはどこだと問えば『至るところ』ということに」「『永遠の今ここ』などとは言わんぞ」「変化せぬものは変化のみ」「さて、呼吸をしておるのは誰じゃ」「一体全体 などとほざけば 凍てつく心なり」「喝」