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指月

 「言葉は『月を指す指』のことじゃな」「『指月の譬』ですか」「なにも『月』である必要はなかろう」「そうですね。どこを指したところで同じことですね。しかし、なんで『月』にしたのですかね」「偶々月夜だっただけのことだろう」

 「人騒がせも程々にしてほしいものですね」「月があまりにも綺麗だったので問うことをすっかり忘れてしまった、なんてこともあろう」「ほう、それなら合点します。解釈の隙もない」「ああ! などと勿体ぶる必要もない (笑)」「御尤も」