♩Albert Ayler - In Heart Only

コルトレーンの "Welcome" と似た心境を感じる。大きな違いは、アイラーは合奏してはいるものの「独奏」いや「独唱」ではないかということ。一方、初期の Spiritual Unity (ESP) を聞いてみると溶け合っている。時を経て、アイラーは、個の際立ちと同時に万象に融和する「単独者」になっていったのかもしれない。

このアルバムが録音された4ヶ月後にアイラーはこの世を去っている。アルバムの冒頭で歌われる "In heart only"。意味深なタイトルである。5分足らずの演奏に、人生そのものを凝縮しようとしているかのようにも感じる。喜怒哀楽をそのまま表現した人間という一生物の言葉にできぬ生来の声の様にも聞こえてくる。

[追記]

"My name is Albert Ayler" というドキュメンタリー映画を見た。自分の音楽に絶対的な確信を持ち、また、自分のことを預言者と信じ、猛進するものの期待するほどの理解は得られない。当時流行していたロックにまで手を出し、また、歌ったりもし、のたうちまわっている。

「アイラーのような音楽をやりたい」とアイラーに打ち明けたコルトレーンは生前、アイラー(とコールマン)に葬儀での演奏をリクエストしている。自分を預言者だと信じていたアイラーと聖者になりたいと語っていたコルトレーン。両者には何が見え、聞こえていたのだろう。