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ハマイバ (甲州アルプス)

[ルート] すずらん昆虫館→牛奥ノ雁ヶ腹摺山→黒岳→白谷丸→湯ノ沢峠→大蔵高丸→ハマイバ→天下石→米背負峠→やまと天目山温泉 約18km、休憩込みで7時間半

 山に行ってきた。「甲州アルプス (2014年に名付けられたらしい)」の一部。甲斐大和駅から「すずらん昆虫館」までバスに揺られ、そこから、まずは牛奥ノ雁ヶ腹摺山。次に黒岳を経由し、先日登った白谷丸。湯ノ沢峠に下りて、先日はスルーした大蔵高丸に、ハマイバ。天下石を経由して米背負峠から大蔵沢大鹿林道に出て、やまと天目山温泉バス停まで。歩行距離は約18km、休憩込みで7時間半の山歩。

 今日の山行の主人公は、なんといっても「ペンション すずらん」さんである。「すずらん昆虫館」バス停で下車し、トイレをお借りしようと伺ってみると「どうぞどうぞ」と。お礼に何か購入しようと御土産を見ていると「おにぎり」をにぎってくれると仰るではないか。さらに、にぎってくれている間にお茶と菓子までご馳走になった。なんというご親切。言うまでもなく、もちろん、おにぎりはとても美味しかった。

ペンション すずらん

 登山口から牛奥ノ雁ヶ腹摺山まで1時間半かかった。登山道と林道のミックス。途中工事をしている場所があり迂回ルートが設けられていた。標高差は500m強。途中どでかいパノラマ岩があった。たしか途中にちょっとした岩場があった。山頂直下はなんとも印象的な縞枯れと笹原。ここまでくると山頂はすぐそこである。

縞枯れと笹原の組み合わせ
牛奥ノ雁ヶ腹摺山からの富士山

 5年前の5月に小屋平から石丸峠に登り、小金沢山から大蔵高丸まで縦走したことがあるが「すずらん昆虫館」からのルートは初。「ハマイバ」に登ることが目的だったのだが、それだけだとつまらないので、あれこれ考えてルートを組んだ。日が短いので、無理かなと思いつつ、いろいろルートを組んでみて、道が見えたので決行。 

白谷丸からの富士山 (2017年5月)

 牛奥ノ雁ヶ腹摺山から黒岳に向かおうとしたが道がわからず、少し迷い、山頂にいた方に聞いて解決。登ってきた道の左側を進むのだが、戻る感じがする。道標もあるが、ちょっとわかりづらい。一旦下るのだが、道が泥濘していて滑らないように気を使う。今日もストック一本と木の杖の併用。使い勝手がすこぶる良いのである。

黒岳への道 1/2

 150mほど下って、そこから登り返し。そういえば、甲斐大和駅に新たにバス停ができていた。今日はうまいこと甲斐大和駅の出口への階段から一番近いところで下車したため、1台目のバスに乗車できた。それも始発の8時10分より20分早く出発。時間を稼げたが「ペンションすずらん」に寄ったので稼げたのは10分程度。

黒岳への道 2/2

 黒岳の手前に「川胡桃沢の頭」という富士山眺望ポイントがあり一息つける。黒岳に到着するが眺望がないので先に進む。次は先日雲海が素晴らしかった白谷丸。牛奥ノ雁ヶ腹摺山から3km弱しかなく、飽きさせない変化のある道なのに長く感じたのは何故だろうと思いつつ進む。まだまだ先は長い。未踏の道も控えている。

川胡桃沢の頭からの景色

 白谷丸に到着。多くの登山客がいる。皆様、どこから登ってこられたのか。先日は車で湯ノ沢峠に行けたが、現在通行止めで、迂回を強いられる。ここで大休憩。比べようがないのだが、先日の雲海と比べてしまう。日が上るとどうしてもガスってしまうのだ。できれば早朝といきたいところだが公共の交通機関だと難しい。

白谷丸からの富士山
白谷小丸からの富士山 (2022/09/11)

 体力が回復したので湯ノ沢峠に向かう。日が当たらないのか泥濘しているところは山頂直下のみで助かる。急なので泥濘していたら難儀するだろうと思っていた箇所。あっという間に湯ノ沢峠に到着。標高差は250mほど。登り50分、下りは40分くらいか。しかし、すでに6kmくらい歩いているので先日とは全く異なる疲労感。

登山者カウンター。あまり押したことがない。

 鹿避けの扉を何度か開け閉めしつつ向かうは大蔵高丸。距離は1km強で、標高差も約130mと楽なはずだが、足が重い。今さっきいた白谷丸を振り返りつつ、ゆっくりと進む。ここまで予定よりも少し早いペースだが、まだ10km弱残っている。湯ノ沢峠に戻ってしまおうかと思ったりしているうちに大蔵高丸の山頂に到着。

大蔵高丸への道からの白谷丸
大蔵高丸からの富士山

 ここからは未踏の道。画像や動画を含む他人様の山行記録を事前にチェックするが、印象はひとそれぞれであることを再認識させられる。湯ノ沢峠からはぐっと人が少なくなったが、ハマイバに到着すると登山客がいらした。少し話をする。白谷丸からの絶景のことを話してしまったが、ハマイバ丸からも絶景です。失礼しました。

ハマイバからの富士山

 この先が少し心配な道なのである。時間が遅いせいもあるが、誰ともすれ違わなかった。道が不明瞭だとの記録があったが、心配していたほどではなかった。一部、つるつるの道があり難儀を覚悟していたが、ステップが刻まれていた。一人歩きは慣れたものだと思っていたが、急に人気がなくなったので、寂しさがこみ上げる。

トレラン大会用に刻まれた消えかかったステップ

 静かな道を一歩一歩進み、天下石に到着。思っていたほど大きくない。こういった石や岩を見るたびにどのようにしてその場に鎮座するようになったか知りたくなる。どんな景色を見てきたのだろう。石の記憶が再生できたりする時代が来るのだろうか…. いや、来ないか。仮に来たとしても考えが改まることはないだろう。

天下石
天下石 (裏側)

 天下石から500mほどで米背負峠なのだが長く感じた。目の前の大谷ヶ丸を見て、景徳院方面へ下ることをあきらめる。これまで太陽に導かれるように進んできたが、ここから陽の当たらない場所になった。厄介そうなトラバース部分に懸念があったが、予想していたほどではなかった。しかし、道は不明瞭である。

米背負峠のトラバース

 踏み跡がほぼないエリアに入るが、白テープがあちこちにあり、日があるならロストすることはないだろう。苔好きにはたまらないスポット(ちなみに私にその嗜好はない)。湿った落ち葉の道をゆく。林道に出るまで30分ほどだが、何分道が不明瞭なので長く感じる。バスの時間が気になるが、たぶん間に合わないだろう。

有難かった白テープ
おどろおどろしくはない苔スポット

 林道に着きほっとする。ここから長い林道歩き。車は通行不可なので静かだ。アスファルト上に落ち葉が敷き詰められているところも多く足に優しい。終盤にトンネルがあるがヘッドライトがないと厳しい。1時間ほどの林道歩きを終え、天目山温泉のバス停に到着。直ぐにバスが来て、うまい具合に電車の乗り継ぎができた。

 太陽に導かれた一日。合掌。