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自在

 「あ、俺は要するに鳥なんだな」という小さな独り言が聞こえた。「こんばんは、コトリです」と歌い手が簡単な自己紹介をして歌いはじめる。以前と変わったようには聞こえないが、その歌い手の内部では革命的な変化が生じているのかもしれない。

 荘子の大鳳の話を思い出す。法螺笛が信じられないくらい大きな音を上げたとしても、目が開かれるわけではない。言うまでもないが、目は既に開かれているのだ。絶え間なく変形し、百面相を見せるプリズム。遊びながら学び忘れる、無邪気な光。