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「燈火」

 人と交わると露わになる「自分」。自然と交わると露わになる「人間」。坐れば「石」に、立てば「木」に。歩けば棒に当たる、って「俺」は犬でもあるのか。分け入っても分け入っても、絶え間なく変化する雲が流れる青い「空」。雲にもなり、また、空にも。ほう「無」の四つの点は「烈火」を意味するのか。「心」だと思っていたが、そう変わりはないか。

 全面的に共感できるものなどは探してもありはしないということに気づいてきた。そういうものは自分で書くより外に仕方ないというように思った。 (中略)  燈火は夜通し燃えているではないか。宵に目覚めた時に見る焔と、夜半に目覚めた時に見る焔と、明方に目覚めた時に見る焔は同一ではないといえよう。それでもやはり燈火は同一ではないか —— 書斎慢筆 —— 九鬼周造

九鬼周造随筆集 (岩波文庫)

 上記は、本屋で「偶然」手に取り、なんとなく本を開いたら、目に飛び込んできた言葉。読むかどうかはわからないが『「いき」の構造』より読みやすそうだし、とりあえず買っておこうか。お、そういえば、次は「九鬼山」に登ろうかと計画していたところだったな。二度目なので未踏のルートを模索中ではあるが「必然的」に別の山になるのかもしれないな。