御尤

　「『隻手の音声』という公案を与えられ、即座に師の横っ面を引っ叩いたものがいたそうじゃ」「本当ですか (即座に横っ面を引っ叩かれる)」「ここにもおりますぞ (と、引っ叩き返す)」「茶番だな」「はい」

　「白隠禅師は引っ叩かれたかったのではなかろうか」「莫妄想」「それとも引っ叩き続けていたのかもしれん」「莫妄想」「妄想は尽きんな」「無尽は知れぬがゆえ」「尤もらしいことは不変に尤もらしい、か」