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光彩

 「順境の時、人は変化を求めず、逆境の時には変化を願う。それを看破する者は、平常心を求める。どうかね」「いずれにしても変化は止められないですね」「変化ありきの話ということか。抗っても仕方がないと」「なんとかなることもありますが、なんとかならないこともあります」「なんとかなってもならなくても同じことは二度と起きないな」

 「臨機応変、当意即妙」「そんな大層な言葉を使わなくともそうしとると思うがのう」「言葉というのは不思議なものです」「とらわれたり、惑わされたり、また、解き放たれたり」「そして、そんな言葉の作用に気づかされたり」「言葉の源は無言じゃな」「直観に感情、そして、経験により蓄積された記憶。しかし、その源はというと...」「無論、無言」

 「動物的であるとも言えます」「植物的かもしれん」「生物的」「生命のはたらきか」「人間以外は言葉を操りません」「いや、言葉こそ使わんが、何かしらで伝達し合っているのではないか」「人間はどうでしょう」「心の話か?」「いや、心の源の話です」「荘子は『万物斉同』と看破したな」「無限の彩ですか」「白紙なくしてどう表そうというのか」