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逍遥

 知っている (と思っていた) 街の、歩いたことのない道を歩いた。傾きかけた太陽に向かい、地図を見つつ。取り置きしてもらっている本を受け取りに。こぢんまりとした埃っぽくない古書店。昨日電話した後、休業日であることがわかったのだが、後ほど電話がかかってきた。聞くと用事があって店に来たとのことだった。

 ひと通り棚を見て、もう一冊購入した。合わせて二冊。店を出ると、ぐるりと大回りして駅へと向かうことにした。いい雰囲気の街だ。昼と夜では景色が変わって見える (たぶん夜は歩いたことがある)。取り置きしてもらった本は想像と違ったが、帰りに別の本屋に寄ってみたら、見つからないだろうと思っていた本があった。

 「我に返る」という言葉がひっかかっていたのだが、なぜかは分からずじまい。何か書けるかもしれないと思っていたのだが、どれも無理がある。もしかすると今日買った本に道標があるのかもしれない。街をそぞろ歩きするのもいいものだ。山に行きたいのだが「ここ」という山は見つかっていない。次は雪道になるのかな。