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「楽園」 串田孫一

君の見付けた楽園は
君ひとりで
大切にして置くのがよろしい
仮に親しい者を
そこへ案内しても
君の満足するようには
悦びはしない
そのために君は楽園を失う
君が君の楽園を
ひとりで大切にするのは
黙っている限り
賢いことである

 それでも、串田さんは楽園を案内し続け、常に新たな楽園を探し求めていたのではなかろうか。そうして、築かれた著作の山。

 どこから取り付こうと、その山の頂に辿り着くことはないだろう。無限より来りて無限へと還る、無限の間 (あわい)。無言の歌。