『山からの言葉』 辻まこと

地球上で一番に不可解な動物はなにかといえば、誰でもそれは人間だと答えるだろう。つまりは自分が最も理解し難い動物だということになる。犬、猫、ネズミさては鳥類のこととなると、その行動や心理はもうすっかり学者などには解っていることと素人は信じている。昔の人が坊主やキリストのいったことを鵜呑みに信じてしまったように、現代は科学的？に説明されると、それは理解されたことになってしまうのである。科学者の理解はいつだって正しくはないからこそ科学は進歩しつづけるのである。そしてそれは永遠に正しくないのである。教会やお寺が何千年建ちつづけても人の魂などできなかったのと同じだ。人間はなぜ信じようとしたり、理解しようとしたりしたがるのであろうか。つまり心が山道を登っているうちに草臥れて、腰をおろして休みたいからだ。よくばって柄にない大荷物を背負っている奴ほどすぐに休みたがるのである….. -『山からの言葉 (41)』- 辻まこと　※イラストは「辻まこと」さんによるものです。

　弱肉強食などと看破しつつも競争を続ける、いや、続けさせられている「人間」という怪物。理性や知性を纏った「野性」。自戒を込めて。

　It's not all that glitter is gold. Half the story has never been told - Get Up Stand Up - The Wailers  「話半分」ならまだ救いようがあるが….