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機縁

峠道の途中の
ちょっとした空き地に
親父が車を止めた
どこだったかは
覚えていない

車を下りると
小さな渓流があり
トンボが飛んでいた
ただのトンボではない
オニヤンマである

急いで虫網を車から取り出し
捕まえようとしたものの
動きが速く何度も空振りした
そのうちトンボが同じところを
飛んでいることに気がついた

軌道上に網を置き待っていたら
何度目かで捕まえることができた
興奮して網からトンボを取り出し
羽が傷ついているのを見たら
一気に醒めた

虫捕りをやめた日のこと