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ペーソスと、ユーモア。

 『山の彼方の』という山本太郎 (詩人)さんの本に「辻まこと」さんの文章が引用されていた。『辻まことの世界』という本に収録されているらしいのだが、まったく覚えがない (既に手元にはない)… ので、書き残しておくことにする。再読が必要とあらば手放した本はいずれ手に入ることだろう。

 風景を過ぎる一匹の沈黙。この動物の生命の象は、拒絶的に見えるかも知れないが、けっして風景を絶してはいない。山の沈黙、樹木の沈黙がけっして一匹を拒絶していない様に、存在は話しかけることをしないで関係している話を知っていてわるいわけはない。距離のペーソスは生まれるだろう。それくらいの悲しみはむしろ動物的であろう。さて、そうしておいて、自分の世界を前方に見つけ、駆けよって行くというほうがいい。自然を抜け動物を抜け、人間を抜け、人を抜け、自分を抜けてみるまで、どんな権威の前にも立ち止まらないようにしよう ー 歩く旅人のものの譜 「辻まことの世界」