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神秘

 少し離れたところへ買い物ついでに散歩をしていたら、ショウリョウバッタ (名前はさっき調べた) を見つけた。道路に飛び出しそうだったので捕まえて草むらに放した。子供の頃はトノサマバッタばかりを追いかけていたので名前も知らなかった。お盆の時期にしか見られないらしい。

 昆虫をよく見ると、ものすごく精巧に作られている。顕微鏡なんて持っていたら自然の神秘に一日中浸ってしまうかもしれない (いや、そんなことはないか)。むかし、友人が「昆虫こそスピリチュアルだ」なんて言っていたことを思い出した。それにしても妙なことを覚えているものだ。

 街の中の自然ではなく、自然の中の街であることを忘れがちだが、こうしたちょっとしたことで我に返る。見慣れた風景が一変する。解明することは永遠に不可能であろう見渡すかぎりの神秘。無限大の宇宙に浮かぶ極微の星での、奇跡中の奇跡のひと時。しあわせでありますように。

 わたしたちを驚かすのは、すでによく知られていて一般的に認められている規範から逸脱するものです。人が慣れ親しんでいる、ある種の明白さから逸脱するものです。ところが問題は、まさにそういった明白な世界など、じつはまるっきり存在していないということではありませんか。

「この驚くべき世界で」 シンボルスカ