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スイッチ

わが愛するチャップリンが
川崎洋

わが愛するチャップリンが
あるとき
山高帽にステッキの例の格好で
こっそり
チャップリンの そっくりさん大会に
出たら
二等だった
という話が私は好きだ
ステッキの人を見かけると
いつも思い出す
そして誰かに話したくなる

詩集『海を思わないとき (1978)』

 「そういえば『詩人』と称されるコメンテーターをテレビで見たことないな」「え、テレビ見るの?」「いや、見ないし、テレビもない。でも、そんなコメンテーターがいると面白いんじゃないかなぁと」「俳人でも歌人でもいいんじゃない」「そっちの方がありえるか」「え、いるって?」

 「『えー、実をいうと、わたしは今日発掘されたのです。恐竜の姿はしていませんけど、恐竜になったりもします』なんて自己紹介したり」「『恐竜』じゃ、次はないだろうな」「じゃ、何ならいいのさ」「なんて話しているうちにスイッチが入る人が出てこないとも限らない、ってか」