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九鬼山+花咲山

 二週連続の山歩。一座目は5年ぶりの九鬼山を別ルートで、二座目は秀麗富嶽十二景であるお伊勢山、と思っていたのだが、花咲山が予想以上にハードで、富士山も雲隠れしていたので、今回は見送ることにした。桜の名所なので花見がてらゆるりと出直そうかと。

[一座目] 田野倉駅→池の山コース→天狗岩→九鬼山→杉山新道→禾生駅 (からバスで大月駅)  約7km、休憩込みで3時間の山歩

 前回は愛宕神社から登り札金峠から田野倉駅へ下山。今回は「池の山」コース。このコースは登りはじめてすぐに富士山が見える。途中で愛宕神社ルートと合流すると山頂まで結構な急登。雪がついていたがチェーンスパイクを付けずに登頂。田野倉駅から一時間半くらい。

お、雪だ。ちょっと降ったのかな
渡渉して登山道
で、すぐに富士山。ここで引き返してもいいかな….
….なんて思っていたら登山道を横切る大きな跡
途端に目が覚める どうみても人間のものではない

 斜度もなく緩やかな登り。雪もさらさらでチェーンスパイク無しでも滑らず。既に記憶が朧げだが、一箇所、右が切れ落ちていてロープが設置されているところがあった気がする。落ち葉が積もっていて雪ものっていたので、歩かれる方はご留意を (記憶違いの可能性あり)。

いい感じの道です
愛宕神社ルートとの合流地点 (だと思います)
「これより急坂」その通りでした
急坂の踏跡が見当たらないので新登山道を選択

 愛宕神社ルートとの合流地点の少し先の長い急登を登りきると天狗岩への分岐。数分で着くが、凍っていたらちょっと危ない道。天狗岩にはべったりと雪がついていたので、恐る恐る富士山をパチリ。先に進んで直登できそうな感じだったが戻って通常ルートに合流。

「天狗岩」からの富士山
もうすぐ山頂 (杉山新道と合流)
手前の滑りやすい登りにロープあり

 天狗岩からすぐに山頂かと思いきや、最後はロープにつかまりようやく山頂。しばらくすると、ひと方やって来て嬉々としてモールス通信をはじめた。「よく発見したな」という驚き程度しか科学知識は持ち合わせていないのに話を伺ってみる。月面反射通信??

反対側には富士山が見える (サムネ画像)

 二座目が控えているのと、寒くて通信を見ていられなくなったので、下山開始。登りよりも雪が多いような感じなのでチェンスパ装着。安心感たっぷりで日向の道を下りていくが、途中から樹林帯に入る。大月までのバスの時間には間に合いそうなのでゆっくり進む。

日向の気持ちいい道
日陰に入る
杉山新道も途中で富士山が見える
迷っていたが来て正解

 山頂から一時間くらいで下山。危険箇所はなかったと思う。山頂直下の急登も登りで使ったルートほどではないので、ゆったり登るにはいいルートかもしれない。バスの時間には余裕があるのでのんびり禾生駅まで歩き、バスに乗り大月駅へと移動。一座目終了。

「杉山新道」入口
印象的だった「馬頭観音」像
歩いたと思われる稜線

[ルート・標高グラフ]

[二座目] 大月駅→花咲山 東登山口→花咲峠→花咲山→大岩山→女幕岩→花咲山 西登山口→下原バス停→大月駅 約5.5km、休みなしで2時間半の山歩

 え、点線ルート (現在は「実線」らしい) なんだ。どうりで踏跡は薄いし、ハードなわけだ (でも道標はある)。大月駅から歩くこと2kmで登山口に到着。途中数カ所ショートカットできそうなところがあり少し入ったみたが諦めた。体力温存。急がば回れ。

登山口への途中に階段があったが少し登って諦める
至って普通の登山口

 しかし、里山は短い距離で一気に登る山が多いな…. ということで、いきなりきつい登り。それが終わるとゆるく藪漕ぎ。え、冬だよね。ゆるい山じゃないの?? と思いつつ進む (他人様の記録からは想像できなかった展開)。ザレた道。幸いなことに雪はついていない。

季節外れの藪
登山道が見えません

 しばらくすると視界が開けた気持ちのいい尾根道に出る。それも束の間。落ち葉に埋もれた細いトラバースの道。右は切れている。ロープがなかったら、立ち往生していたかもしれない。その次は、急な下りに、急な登り返し。しかし、まだお伊勢山は諦めていない。

写真では伝わりませんが難所です
ここを下ってきました
そして、ここを登り返します

 この辺りからひたすら前へ進むことに集中し、記憶が定かではなくなる。ザレた起伏に削られつつ、花咲山だと思われる山の岩肌が見えてきた。さらに、数多なる偽ピーク (疲れていただけかもしれない) を通過し、ようやく花咲山。眺望はなかったと思う (って….)。

稚児落としを思わせる岩肌
ここまで一人の登山者とすれ違ったのみ
ちなみに九鬼山では二人
偽ピーク (だったと思う)
ピーク手前にも虎ロープあり
無ければ滑って登れません

 花咲山を過ぎると「胎内仏道」と「難路」との標識。え、これまでも「難路」はありましたが…. と進むと本日の核心部。雪がついて落ち葉が堆積した急坂をゆるく張られた (理由があるのだろうか) ロープと鎖に頼って登る。完全に無心になるしかなかったところ。

いやー、ここはすごかった (としか言いようがない)
ロープは有難いのですが、ゆるいのです
鎖がなかったら登れなかったでしょう

 なんとか登り切ると「胎内仏道」だと思われる巨岩があった。休むような場所でもなかったので進むと「女幕岩」という岩の背に出る。富士山に雲がかかりはじめているので、ようやくここで「お伊勢山」は諦める。ここからも続いたザレていて滑りやすい下り。

上からみた巨岩 (胎内仏道?)
女幕岩
結局雲は取れませんでした

 麓の集落が大きく見えてきてほっとする。「お伊勢山」を無しにしたのでバスの時間には余裕がある。平和な集落を歩きバス停で時刻表を見るとダイヤを勘違いしていたことが判明。結果オーライ。地元の方の含蓄のある会話を聞きながら身支度する。心が大事。

あれ、道標がないなと思ったら….
続きがありました
ここが西側の登山口

 GPSの記録を見ると5.5kmで二時間半しかたっていないが、中身が濃い山歩だった。東西どちらから登ってもハードなルート。花咲山が一座目だったら二座目はなかっただろう。大月駅前の観光地図を見たら、花咲山のルートはなかった。無事で何より。合掌。

[ルート・標高グラフ]

[追記]

 先日熊谷守一さんの『木村定三コレクション』という画集を入手したのだが、久しぶりに『へたも絵のうち』を開いたら、花咲山の隣の「岩殿山」の絵があった (残念なことに白黒。実物はカラー)。池袋に美術館があるのは知っているが訪れる時が来たのかな。

熊谷守一:岩殿山  (1960)
https://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=156199&edaban=1