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光風

 風のない蒸し暑い初夏の山中にて——中腹を流れる沢で顔を洗っていたらたなごころに何やら光るもの。「おお!これってもしかして砂金ではないのか!」などと驚いたら山に笑われただろう。

 いや、山が笑えば、体が揺れて風が吹くか。ならば、茶番を演じてみるのもいいかもしれない。水面に映る光景の後に太陽。振り向くと溢れんばかりの静寂。今一度、じっと掌を見つめた。